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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
全力全開、うさばらし
水守 流はスマートフォンを両手で握りしめる。
眩しい光を溢れさせる画面には、今巷で人気のソーシャルネットワークゲームのオープニングが流れている。
桜花寮の自室の勉強机の椅子に腰掛け、けれど机の上に広げているのは勉強道具ではない。椿の花に缶入りドロップ、シロツメクサ。
「……よし」
重々しく呟き、画面をタップする。
今日は普段からプレイしているソシャゲに出てくるキャラクターのピックアップガチャが始まる日。いつもはコンマ2パーセント以下な排出率が、今日は十倍の2パーセントに跳ね上がる。
98パーセント外れるとは言え、ゲームを始めた当初からずっと狙っていたキャラクターが(超低確率で)ゲットできると胸を高鳴らせ、ピックアップが発表された日からこの日のために、ログインボーナスやストーリー攻略報酬として配布されるガチャポイントをせっせと貯め込んできたのだ。
「……よし」
机の上に広げた怪しい品を確認する。『キャラクターに関連のある品物を目の前に置いてガチャを回せば、狙いのキャラクターが現れる』。ねこったーに流れて来ていた噂を神頼みだと苦笑いしつつちょっぴり恥ずかしく思いつつ、半ばは本気でキャラクターが身に着けているものを集め、供物よろしく机に並べた。
これで狙いのキャラが手に入れば安いもの。
回りを見回す。しばらくは誰も部屋には入ってこないだろうとあたりをつける。
貯めに貯めたガチャポイントは十連ガチャ一回分。それでも、単発ガチャを引きたい誘惑を堪えに堪えて貯めた、課金も出来ぬ学生には貴重な資材。
「いざぁ！」
祈るようにキャラクター十連ガチャのボタンを押す。
「……ん」
画面の中、くるくるとカードが十枚回る。
現れたのは、ノーマルキャラが十体。
「……んんんんんー！ 爆死！」
ものの見事なハズレっぷりに、流はたまらずのけぞった。
「レアキャラすらでやしねぇ！」
ノーマルキャラのノーマルキャラらしいおざなりな登場台詞にもたまりかね、思わずスマホを投げ捨てようとして止める。机の傍のベッドの布団に叩き付けるに納める。
「やはりガチャは悪い文明！」
破壊するしかあるまい、と怒りに燃える瞳で見つめて後、がくりと項垂れる。呪術じみたことをしても、念願のキャラクターゲットはならなかった。やはり課金して回数をこなすしかないのだろうか。
「こんな時には……」
課金の誘惑を振り払うが如く、流はゆらりと立ち上がる。そう、こんな時には、
(ゲームセンターで格闘ゲームするのに限るぜ！)
敢然と立ち上がり、財布とスマホを引っ掴んで部屋を飛び出す。春色の町を駆けて向かうは、シーサイドタウン駅の路地にある行きつけの小さなゲームセンター。
ほの暗い店内には格闘ゲームの筐体がズラリと並び、今日も今日とて集まった格闘ゲーマーたちが鎬を削りあっている。
ボタンを連打する音やスティックを操作する音、画面内のキャラたちが必殺技を叫ぶ声ばかりが響く戦場に流は足を踏み入れた。ところどころさび付いた丸椅子に早速腰掛け、
「くっくっく」
据わった黒い瞳に画面を映す。
普段は多少なり自重し互いに楽しめる紳士的なプレイを心がけているが、今日の彼はちょっと違う。何しろ貯めに貯めたガチャポイントを一瞬にして喪った悲しみに満ちた荒ぶる漢。
対戦相手が向かいの筐体にスタンバイしているのを確かめ、筐体の上に積んだ小銭の一枚を投入する。
(残念だったな、今日の俺は紳士的じゃないんだぜ！)
今宵使うはフツウのゲーセン通いの日々には封印せし『ネコノTRF水曜拳』。この地のゲーマーたちに恐れられる、いわゆる自重を投げ捨てたプレイスタイル。
(とくと味わうがよい！)
ジョインジョインと操作スティックを動かし選ぶは、ゲーム内最強と名高く、名高いがために普段は皆が使用を控えているキャラクター。
『テオォ！』
機体が叫んだ最強キャラの名に、向かい側に座った対戦相手が腰を浮かせて動揺する。その様子にうっかり悪い笑みを浮かべるも、続いて対戦画面に現れた対戦キャラに流は目を剥いた。
「まさかっ……！」
そのまさかな対戦相手は、己が選んだ最強キャラと同じ。
(相手も水曜拳の使い手だったとはな……)
色違いのキャラクターが取る全く同じな戦闘態勢に、流はむしろ燃えた。
「んじゃあ、……行くぜ！」
対戦は楽しかった。
自重しないプレイスタイル同士の戦いは観客を呼び込む一大対戦となった。防御を捨てた派手な攻撃が飛び交い、最後には最強でありながら病弱な両キャラが吐血しながらの熱闘となった。
(楽しかった、が)
対戦を終え、やり遂げた男同士の熱いまなざしを相手と交えて後、流は次なる戦場へと向かう。
(すっきりというよりぐってりだなこりゃ)
となれば、次は気分転換、
(音ゲーでも久しぶりにやるかぁ)
出入り口付近に設置されているニャンレボとニャップン、カラフルな機体を見遣り、ポケットの小銭スタックを指先で確かめる。
時間は充分、小銭も充分。こうなればすっきりするまでゲーム三昧といこうと決意を定め、うおおお、と気合いを入れる。
「俺の戦いはこれからだ！」
眩しい光を溢れさせる画面には、今巷で人気のソーシャルネットワークゲームのオープニングが流れている。
桜花寮の自室の勉強机の椅子に腰掛け、けれど机の上に広げているのは勉強道具ではない。椿の花に缶入りドロップ、シロツメクサ。
「……よし」
重々しく呟き、画面をタップする。
今日は普段からプレイしているソシャゲに出てくるキャラクターのピックアップガチャが始まる日。いつもはコンマ2パーセント以下な排出率が、今日は十倍の2パーセントに跳ね上がる。
98パーセント外れるとは言え、ゲームを始めた当初からずっと狙っていたキャラクターが(超低確率で)ゲットできると胸を高鳴らせ、ピックアップが発表された日からこの日のために、ログインボーナスやストーリー攻略報酬として配布されるガチャポイントをせっせと貯め込んできたのだ。
「……よし」
机の上に広げた怪しい品を確認する。『キャラクターに関連のある品物を目の前に置いてガチャを回せば、狙いのキャラクターが現れる』。ねこったーに流れて来ていた噂を神頼みだと苦笑いしつつちょっぴり恥ずかしく思いつつ、半ばは本気でキャラクターが身に着けているものを集め、供物よろしく机に並べた。
これで狙いのキャラが手に入れば安いもの。
回りを見回す。しばらくは誰も部屋には入ってこないだろうとあたりをつける。
貯めに貯めたガチャポイントは十連ガチャ一回分。それでも、単発ガチャを引きたい誘惑を堪えに堪えて貯めた、課金も出来ぬ学生には貴重な資材。
「いざぁ！」
祈るようにキャラクター十連ガチャのボタンを押す。
「……ん」
画面の中、くるくるとカードが十枚回る。
現れたのは、ノーマルキャラが十体。
「……んんんんんー！ 爆死！」
ものの見事なハズレっぷりに、流はたまらずのけぞった。
「レアキャラすらでやしねぇ！」
ノーマルキャラのノーマルキャラらしいおざなりな登場台詞にもたまりかね、思わずスマホを投げ捨てようとして止める。机の傍のベッドの布団に叩き付けるに納める。
「やはりガチャは悪い文明！」
破壊するしかあるまい、と怒りに燃える瞳で見つめて後、がくりと項垂れる。呪術じみたことをしても、念願のキャラクターゲットはならなかった。やはり課金して回数をこなすしかないのだろうか。
「こんな時には……」
課金の誘惑を振り払うが如く、流はゆらりと立ち上がる。そう、こんな時には、
(ゲームセンターで格闘ゲームするのに限るぜ！)
敢然と立ち上がり、財布とスマホを引っ掴んで部屋を飛び出す。春色の町を駆けて向かうは、シーサイドタウン駅の路地にある行きつけの小さなゲームセンター。
ほの暗い店内には格闘ゲームの筐体がズラリと並び、今日も今日とて集まった格闘ゲーマーたちが鎬を削りあっている。
ボタンを連打する音やスティックを操作する音、画面内のキャラたちが必殺技を叫ぶ声ばかりが響く戦場に流は足を踏み入れた。ところどころさび付いた丸椅子に早速腰掛け、
「くっくっく」
据わった黒い瞳に画面を映す。
普段は多少なり自重し互いに楽しめる紳士的なプレイを心がけているが、今日の彼はちょっと違う。何しろ貯めに貯めたガチャポイントを一瞬にして喪った悲しみに満ちた荒ぶる漢。
対戦相手が向かいの筐体にスタンバイしているのを確かめ、筐体の上に積んだ小銭の一枚を投入する。
(残念だったな、今日の俺は紳士的じゃないんだぜ！)
今宵使うはフツウのゲーセン通いの日々には封印せし『ネコノTRF水曜拳』。この地のゲーマーたちに恐れられる、いわゆる自重を投げ捨てたプレイスタイル。
(とくと味わうがよい！)
ジョインジョインと操作スティックを動かし選ぶは、ゲーム内最強と名高く、名高いがために普段は皆が使用を控えているキャラクター。
『テオォ！』
機体が叫んだ最強キャラの名に、向かい側に座った対戦相手が腰を浮かせて動揺する。その様子にうっかり悪い笑みを浮かべるも、続いて対戦画面に現れた対戦キャラに流は目を剥いた。
「まさかっ……！」
そのまさかな対戦相手は、己が選んだ最強キャラと同じ。
(相手も水曜拳の使い手だったとはな……)
色違いのキャラクターが取る全く同じな戦闘態勢に、流はむしろ燃えた。
「んじゃあ、……行くぜ！」
対戦は楽しかった。
自重しないプレイスタイル同士の戦いは観客を呼び込む一大対戦となった。防御を捨てた派手な攻撃が飛び交い、最後には最強でありながら病弱な両キャラが吐血しながらの熱闘となった。
(楽しかった、が)
対戦を終え、やり遂げた男同士の熱いまなざしを相手と交えて後、流は次なる戦場へと向かう。
(すっきりというよりぐってりだなこりゃ)
となれば、次は気分転換、
(音ゲーでも久しぶりにやるかぁ)
出入り口付近に設置されているニャンレボとニャップン、カラフルな機体を見遣り、ポケットの小銭スタックを指先で確かめる。
時間は充分、小銭も充分。こうなればすっきりするまでゲーム三昧といこうと決意を定め、うおおお、と気合いを入れる。
「俺の戦いはこれからだ！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年05月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年05月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年05月08日 11時00分
