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全力全開、うさばらし
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「もー勉強なんかやってられっか!」
二輪免許取得のための学科試験模擬問題集を机にばさりと投げ出し、
楢木 春彦
はミルクティのような柔らかな色した頭をがしがしと掻く。
春休み中にはどうにかして二輪免許を取得したいと苦手な学科試験のための勉強に励んでいたものの、問題を山ほど解いた頭はパンク寸前。
熱でも出そうなくらい疲れた頭を冷やすには、
(バイク走らせっか)
それがいちばん。
勉強を放棄してうきうきと準備を始める。向かうはいつもの如く、九夜山の裾野にある二輪車用スポーツ施設のスポーツランドNYAGO。施設内であればライセンス不要でバイクを走らせることが出来るとあって、モーターサイクル好きな春彦は暇があれば通っている。
桜花寮を出、準備運動がてら、菜の花の咲く道を春風と共に駆けだす。春風よりも軽い足取りで逃走経路をひた走ったその先、
「ん」
星ヶ丘方面からうつむきがちに坂道を下りてくる色素の薄い金の髪した少年の姿を見つけた。
「よう、弦月!」
「あ、……楢木さん」
躊躇うことなく駆け寄り、年上の友人の弟である
呉井 弦月
の肩をぱしりと叩く。
親しく声を掛けられて初めて、弦月は兄の友人に気づいた。陽の色した睫毛に囲われた雪雲色の瞳を瞬かせ、兄とよく似た鋭い目つきを和ませて笑う。
「今日は」
「どうした、……元気ねぇ?」
「……いえ、そんなことは」
「またアイツと喧嘩したのか?」
兄との仲違い状態を知る春彦に探るように顔を覗き込まれ、弦月は言葉に詰まる。
「またと言うか、まだと言うか」
白い頬に金色の睫毛の影を落とす弦月をしばらく眺め、春彦は殊更に元気よく笑って見せた。本当はバイクを走らせに行くつもりではあったけれど、
(予定変更、)
「ゲーセン、行こうぜ!」
「え?」
まだいくばくか線の細い十四の少年の背中を掌で張る。よろける弦月を追い越すかたちで先に立ち、春彦は肩越しに振り返ってまた笑う。
「うさばらし! しようぜ、な?」
シーサイドタウン駅にほど近い、うっかり見落としてしまいそうな路地の奥にあるレトロな雰囲気のゲームセンターに入る。入口付近にあるリズムゲームやクレーンゲームが場違いに明るく思えるほど、なんとなく薄暗い雰囲気のゲームセンター内は、けれど案外熱気に溢れていた。
ミッションコンプリート画面の前に颯爽と立つ少女じみた少年の背中を眺めつつ、少年ふたりが最初に向かったのはバイクゲームの筐体の前。
「よく来るんですか?」
「んー、普段はレース系か体動かすので遊んでる」
周囲に溢れるゲーム音楽やコントローラーを操作する音を背景に、春彦が一番に手を出したのはバイクゲームの一人タイムアタック。
「見ててな」
オリーブグリーンの瞳を勝気に笑ませ、春彦はレーサーレプリカタイプの機体に跨る。
(クレーンはぜってー取れねぇし)
あれはあれで楽しいけれど、一度手を出してしまうと分かってはいても取れないことが悔しくて二度三度とコインをつぎ込んでしまうから、
(今日はパス!)
一人や弦月の兄にならともかく、弦月に情けない格好はあまり晒したくなかった。
メーターの脇にあるスリットにコインを投入し、画面に映し出される指示通りにクラッチを踏み込み、アクセルを回す。始まるゲームに目を輝かせ、現実より大分物足りない感はありながらそれでもこれはこれで充分に楽しい二次元のコースを走らせる。
「んー……」
ゴールの後、鳴り響くファンファーレと共に弾き出されたタイムに満足できずにもう一度挑戦しようかと考えかけて、機体の傍らで一緒になって興味津々に画面を覗き込む弦月の横顔に気づいた。
「おう、弦月もやってみるか?」
対戦モードもあるから、と隣の機体を指し示す。
「こういうのは初めてなので、……」
上手く操縦できるかな、と首を捻って、それでも弦月はどこか楽し気に春彦の隣の機体に慣れない様子で腰を下ろした。正面の画面に記しだされる操縦方法を真剣な眼差しで見つめ、春彦に倣ってコインを入れる。
「勝負すんなら手は抜かねぇ」
「望むところです」
悪戯っぽく笑う春彦に気の強い相槌を打ち、シートに座り直す。ブレーキを一回強く引けば、レースはスタート。
「う」
スタートしたところで、弦月は早速アクセルの扱いにつまづいた。コーナーでの機体の傾け方にもつまづき、思わず呻く。操作方法を頭に入れていても、いざやってみると難しい。
(楢木さんは乗り方も操縦も凄く慣れているな)
春彦に随分と水をあけられゴールして、弦月は肩を落とす。
「……流石です、完敗です」
嬉しそうに笑うかと思ったのに、春彦はどこか申し訳なさげな顔をした。
「初心者に大人げなかったな」
悪ぃ、と心底から詫びる兄の友人に、弦月は首を大きく横に振る。バイクを降り、次はあれをしましょうとガンシューティングゲームの筐体を指し示す。
前プレイヤーがシングルプレイで全面クリアしたスコアを感嘆の目で見ながら、弦月は大画面の前にセットされた銃の二丁あるうちの一丁を春彦に差し出した。
「今度は協力プレイしませんか」
「意外と弦月もゲーセン慣れしてんだなー」
手慣れた様子で出されたガン型コントローラーと弦月を交互に見、春彦は目を丸くする。
「こういうトコ来たことねぇかと思ってたぜ」
「……まあ、一応。久しぶりに来ました」
腕が鈍っているかも、とゲームをスタートさせてみれば、やり始めてしまえば勘が戻ってきた弦月が細かい操作に案外手間取ってピンチに陥りがちな春彦のフォローに回る形となった。
終わってみれば、春彦が一回コンティニューしただけの上々のスコア。
「ナイスアシスト、弦月」
「楢木さんも、流石です」
春彦がひょいと掲げた手に僅かに戸惑いながらもハイタッチを交わし、ふたりは次のゲームに向かう。
「……!?」
と、不意に弦月がクレーンゲームの一台を示した。次のゲームに迷って周りを見ていた春彦の袖を咄嗟に引き、薄暗い店内にあってピカピカに明るい機体の硝子面に貼りつく。
大きく瞠った雪雲色の瞳に映っているのは、今まで見たことのなかった白い犬のぬいぐるみ。
「あ、あの……ちょっとチャレンジしてみてもいいですか?」
新入荷らしい犬のつぶらな黒い目と見つめ合ったまま、弦月はそろりと口にする。あの位置にあるのならば、
「もう少しで取れそう……」
だから、と背後から覗き込む春彦を振り返る。
「やってみたいです」
「おう、イイぜ!」
同意を得、嬉々として操作盤に取り付く弦月の背を眺めて後、春彦は自分には絶対取れなさそうな位置にあるもこもこした白い犬のぬいぐるみを見遣る。
「アレで落ちんのか?」
「落とします……!」
(取れるのが楽しい系ってヤツかな?)
それとも、実は可愛いぬいぐるみが好きなのか。
真剣な表情でクレーンを操作する弦月の横顔に、春彦は苦笑まじりに自分の考えを否定する。
(……なんてな)
そうこうするうちに、弦月の操るクレーンは狙いを定めた白い犬の大き目の首をがっしり挟んだ。
「おっ、すげー」
春彦が歓声をあげると同時、持ち上がった白犬の体が脇に転がっていたハチワレ柄の猫ともパンダともつかぬ顔したぬいぐるみの頭に当たる。
「……」
結果、猫パンダが景品口の穴に転がり落ち、白犬はクレーンから外れてほとんど元の位置に落ちて戻った。
絶句しつつ、よく分からない変な顔したぬいぐるみを手にする弦月に春彦は思わず吹き出す。
「凄ぇの取ったな。しっかし一発で取れるなんて上手いもんだなー」
(あ、なんかコレじゃねぇって顔してんな)
褒められても浮かぬ顔の弦月に、春彦は悟る。となれば、
「なぁ、コレ貰っていいか?」
「え……」
こんなの欲しい人いない、とむくれかけていたところへの春彦の申し出に、弦月は首を捻った。
「アイツに押し付けようぜ」
春彦の言う『アイツ』が己の兄であることは明白で、だからこそ弦月はまた目を丸くする。
「……本気ですか?」
「持ってたら笑えねぇ?」
「それは、まあ……」
微妙な顔をしたぬいぐるみを受け取った兄が、どんな反応をするかは見てみたかった。
「いらねぇって言いそうだケドなんとしても押し付けて、問題解決した後で実は弦月からつー種明かしで、」
春彦は楽しそうに悪だくみをする。仲違いをしてから、弟は兄へプレゼントなど一切していないだろう。
「捨てらんねぇようにしたら面白ぇよなー」
「僕からっていうのが、すごく悩ましいんですけれど」
「余計なお世話だろうケド。嫌がらせも兼ねつつな」
嫌がらせと言いながらどこまでも明るく人の好い笑顔につられて笑い、弦月はぬいぐるみを差し出した。
「分かりました、楢木さんに預けます」
「任せとけ」
ゲームセンターを出たふたりが話すのは、弦月の兄を呼び出すその方法について。
「桜の季節だし、花見とか良くねぇ?」
街角でつぼみを膨らせつつある桜の木を見仰ぎ、春彦は目を細める。
「花の下で話し合ってみねぇか? 互いに何とかしようと思ってんだし、後は切欠だけだよな」
「……はい」
決意宿した瞳で頷く弦月を見て、春彦は思う。
(弟のが肝据わってるよな)
仲直りの件は、兄よりも弟の弦月に頑張ってもらったほうが上手くいくだろう。
「楢木さん」
肩を並べて歩きながら、弦月は春彦と目を合わせる。
今日も、この前変な家に閉じ込められたときも、その前に家出したときも、兄の友人であるこのひとには世話になってばかりいる。
「僕、頑張ります」
このひとが手を差し伸べてくれたから、悪化の一途を辿るばかりだった兄との関係にも改善の兆しが見られるようになった。だからせめて、このひとが助けてくれた分だけでも、兄に自分の気持ちをきちんと伝えたい。思っていることをちゃんと言葉にしたい。
「おう」
拗れてしまったがゆえにきっと苦しいに違いない兄との関係修復を、それでも一生懸命頑張ろうとする弟の一途な真摯さに、春彦は破顔する。
「頑張れよ、弦月」
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月01日
参加申し込みの期限
2017年05月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月08日 11時00分
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