荒野のウェスタン　～ネコジマ大陸は夕日に暮れて～｜リアクション

荒野のウェスタン　～ネコジマ大陸は夕日に暮れて～

■運命の車輪は転がっていく
　貸倉庫の中には美咲紀の鉱山から盗まれた鉱石が荷車に隠される形で積まれていた。
　修はそれをあらためて、がっくりと肩を落とした。
「お宝じゃなかったのか」
「おたから？」
「『金鉱帝』の隠し財産さ。このメダルが目印だと言われてね」
　修が取り出したメダルに、美咲紀はぱっと目を見開いた。
「まあ、それは夫が鉱山夫たちに配ったメダルなのです！」
「……なんだって？」
「夫はいつも言っていたのです。自分の宝は鉱山と、そこで働いてくれる鉱山夫たちだって。だから皆にこのメダルを配ったのです。お金に困ったらいつでも売るようにって」
「……そうか」
　笑って息をつく修。
「お宝は、鉱山と鉱山夫……か。俺らしくもなく、安易な考え方をしちゃったかな」
「これも何かの縁なのです。もしよかったら、うちの鉱山でボディーガードをしませんか？」
　美咲紀と修は笑いあった。修は彼女に応じる意味を込めて、メダルを彼女へ差し出した。
　一方。
「アネット。そういえばきみにも用があったんだ」
　朱真が布袋を突きだした。
　開いてぴゃあと声をあげるアネット。
　中に入っていたのは銀の二丁拳銃。
「ワイアット！　アープ！」
「保安官のお手伝いとはいえ、無給はよろしくないからね。お給料がわりだ」
「ありがとう！」
　つま先立ちでぴょんぴょん跳ねるアネット。
　その横で、まもるが真顔になっていた。
「なあ、もしかしてそのお給料って」
「勿論きみ持ちだ」
「ですよねえ！」

　運命のわだちは交わり、そして未来へと転がっていく。
　車輪の行き先を、少しだけのぞいていこう。

　アネット・ガトパルド――大人になると同時に第二の保安官に任命される。愛用の二丁拳銃を手に悪党と戦った。
　鎌八まもる――後輩のアネットを育てながら町を悪から守り続ける。
　椎井莉鳥――ウェインを暗殺してから行方不明になっていたが、名前を変えて酒場で再び働いているとか。
　ジュスト・ランベール――自由気ままなカウボーイとして今日も町のどこかでミルクをひっかけている。
　椿美咲紀――優秀なボディーガードと共に町をもり立てていく。ウェイン亡き町でも奢ること無く財をなし、次なる時代に繋いでいった。
　八神修――美咲紀の片腕として活躍し、やがて航空事業に携わることになる。
　葉月朱真――静かなガンスミスとして生涯を送る。晩年は航空事業から技術を買われることに。
　新田亮――行く先々でトラブルに見舞われ、そのたびにご飯を食べ損なう日々をおくる。
　羽生碧南――目覚めた才能を活かしてカウガールとして活躍する。なんだかんだで生涯独身を貫いたとか。
　檜扇舞華――名物ウェイトレスとして死ぬまで好き放題生きた。死後かなりたってから子孫によって酒場が世界的にチェーン展開することに。

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