【修了式】ラストスパートは華やかに｜リアクション

【修了式】ラストスパートは華やかに

生徒会室
　志波武道が鍵を開けている最中、あら、と横手から声が上がる。顔を向けると、緩く三つ編みをした早坂恩が華やかな笑顔で歩いてきた。
「武道ちゃん、お掃除の手伝いにきたわ」
「助かるよ、恩くん。普通の教室並みに広いからね☆」

　爽やかな笑顔でドアを開けた。
　武道は中に入ると真っ先に古い棚へと向かった。書類の束を取り出し、長机に置いた。
「俺は書類の整理から始めるよ。いらないのはシュレッダー行きだね！」
「私は、そうね」
　冷静な目で室内を見ていく。恩は陽光に照らされた窓に向かった。
「汚い窓をピカピカに磨くわね♪」
　両方の袖を捲る。よろしくー、と書類の選別をしていた武道が言った。
　二人は着々とこなしていく。
「これで書類関係は終わりだね！」
　パイプ椅子に座っていた武道が立ち上がる。
「こちらも窓は終わったわ」
「んじゃ、あとは床と机だね☆」
　武道は雑巾を手にして機嫌よく机を拭いて回る。
　恩は箒を使って掃き掃除を買って出た。
　息の合った二人は、ほぼ同時に仕事を終わらせた。
「おっと、まだ黒板が残ってたＺＥ☆」
　武道は鼻歌交じりに表面を拭いていく。躍動する様子を恩は静かに見ていた。
「今日の武道ちゃんはいつもより、少しテンションが高いのかしら？」
「まーねー。今日は打ち上げのカラオケがあるんだＹＯ！　恩くんもよかったら参加しないか」

「もちろん、私もいくわー♪　ひとりできゃぴきゃぴもいいけど、誰かとデュエットもいいわね」
　恩はマイクを握る手付きで軽く踊る。
「じゃー、決まりってことで！」
「そうね、その前にホスト部の方もお掃除しないとね」
「俺も部員としてそっちも行きたいんだけど、水泳部の部室が気になるから」
　武道は顔の前で手を合わせて、悪い、と頭を下げた。
「武道ちゃん、気にしないで。忙しいことはわかっているから」
「個人ロッカーに物が溜まってて、どうしても今日中には片付けておきたいんだ」
「私もホスト部が気になるから、またあとで合流しましょ♪」
　恩は微笑みを浮かべて歩き出す。思い付いたかのように足を止めた。
「生徒会長、今年度、お疲れさま。来年度もよろしくね」
「バンバンよろしくしちゃうよ☆　カラオケでタンバリンも叩いちゃうＺＥ！」
「楽しみにしてるわ」
　小さく手を振る恩に武道は親指を立てて見せた。