狼子島人狼殺人事件｜リアクション

狼子島人狼殺人事件

● プロローグ

　現場には、野々ののこの死体が転がっている。

　寝子島――ならぬ狼子島（ろこじま）の、顎のほくろのような位置にある狼子島高校の図書室には、事件の容疑者たる六名――早川珪、瓜山メイ、桐島義弘、富士山権蔵（フジコ）、鷲尾礼美、胡乱路秘子――と、北風貴子、海原茂、そして１０名の探偵が集っていた。

「野々……可哀想に」
　殺害されたののこに手を合わせるのは体育会系探偵・優木遥斗！

「コレってマジなのかよ！？　野々……オマエ殺されちまったのかよ！？」
　信じられないと目を剥くのは猪突猛進探偵・楢木春彦！

「皆が嘘をついている？　そんな……。珪先生、私は珪先生を信じてます」
　ひたり、早川先生の傍に寄り添うのは、恋する女子高生探偵・綾辻綾花！

「凶器はロコミケパンフですか……」
　手を触れないように視線を落とすのは、蝶のように舞い蜂のように刺す（かもしれない）探偵・屋敷野梢！

「この事件……俺が解決してみせる！　じっちゃんの名にかけて！　なんてなー」
　じっちゃんがいるかいないかわからないが、じっちゃんの名にかけて探偵・水守流！

「小さくたって頭脳は大人！　いや、成長期なだけだけどな……！？」
　胸を張るのは小さくたって迷探偵（物理）・卯木衛！

「HEY！　トワはー探偵デス！　見た目は子供、頭脳も子供！　ジジツはタブン１つってーヤツデス」
　おなじく胸を張るのは、モノホン小学生迷探偵・トワ・E・ライトフェロゥ！

「そんな、野々が……！？　犯人がこの中にいる、ってことは……探さないと俺らも危ない、よな」
　可愛く慄くのは、どう見てもヒロイン枠（美少年）・来島アカリ！

「流石狼子島、事件が起きるとはね。……私は推理はしない、いや多少はする。
　正確に言えば『推理の手伝いをする』星のもとに生まれた女！　――『超高校級の鑑識』とは私の事よ！」
　モデル立ちでポーズを決める、超高校級鑑識・弘明寺能美子！

　そこにしゃぼん玉がぷかぷか浮かび流れくる。自己紹介のトリを務めるのは、頭を良くする為に眼鏡をかけ（謎！）、しゃぼん玉が出るパイプを咥えた（謎！）、謎のまるっとお見通し探偵・桜庭円！

「んー、ののこちゃんがなぜ図書館で殺されたか。
　瓜山先生がなぜ図書館に呼び出されていたか。
　そして、辞書ではなく何故あの本で殺されたか――」

「複雑。１＋１で２００だ！　10倍だよ10倍！　ぷっぷー」

　シャボン玉液にパイプを浸し、ふーっと吹く。
　パイプから大量に吹き出すしゃぼん玉で、死体のある図書室はメルヘンな雰囲気に様変わりする。
　集まった一同は、あたりに舞うしゃぼん玉を手で払ったり、ふーっと宙に吹き上げ遊んだり。

　カオスである。

　ちゃんとまとまるのか一抹の不安を抱えつつ、次ページへつづく！！

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