ねこ温泉郷の三日間｜リアクション

ねこ温泉郷の三日間

「気付いたら夜があけてしまいましたね」
「朝風呂、きもちよかったー！」
　お土産の瓶入りサイダーを一本ずつ片手に持ちながら、リリエルとメリィが楽し気に石段を下りていく。
　女子会の集いは今日でおしまい。
　主催者の女子ふたりと日暮と番頭猫に見送られ、参加者たちが三々五々、穏やかな日差しの石段を舞い散る桜と共に去っていく。
「メリィちゃん、女子会って楽しかったですね！」
　隣を歩くメリィと頷き合い、リリエルは頭上に咲き乱れる桜を仰いだ。ひらひらと落ちてきた花びらを白い掌に受け、みんなで過ごした三日間を思い出してくすくすと笑う。星幽塔に帰ったら、向こうでも開催してみよう。職場であるBarアストラルに参加者募集の貼り紙をすれば、きっと誰か彼か集まってくれるに違いない。
(でも、映画ってあっちでも見れますかね？)
　見るとすれば、どんな映画がいいだろう。
　ぐるりを見回せば、見送りに立っている主催者の女子ふたりにお淑やかなお辞儀をするクレオの姿があった。

「おかげで楽しく過ごせたわ。ありがとう」　
「クレオちゃん！」
　一緒に映画鑑賞もしてお風呂も入ったクレオに、どんな映画が好きか、一昨日見たホラー映画みたいなものがやっぱり好きなのかと問えば、
「……ホラー映画は当分いいわ……」
　クレオはげんなりとした顔で肩を落とした。
「でも、女子会は楽しかったですね」
「智瑜さんはどんな映画が見たいですか？」
　クレオの肩を優しく叩いて励ます智瑜にも、リリエルは問う。
「うーん……でも、また開催するのなら次も参加したいです！」
　桜が咲くような笑顔で、智瑜はねこ温泉郷に咲き乱れる薄紅の桜を見遣る。
(そういえば)
　ここは寝子島よりも桜の開花が早かったけれど、おかげで一足早くお花見を楽しめたけれど、

(寝子島の桜ももうすぐ見頃になりますね)
　桜の本番はまだまだこれから。
　爛漫の春が、もうすぐやってくる――

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あとがき

担当マスター：阿瀬春
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お待たせいたしました。
ねこ温泉郷での三日間、お届けにあがりました。

温泉宿でのお泊り女子会。とても憧れます。
その憧れな女子会を描くことができまして、とてもとても！　楽しかったです！
ご参加くださいましたみなさま方にもお楽しみいただけましたら幸いです。

お読みくださいまして、ご参加くださいまして、ありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。ご縁がございましたら、寝子島でのお花見でも。

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