異世界からの迷い人｜リアクション

異世界からの迷い人

寝子島
　旧市街に佇む老舗の銭湯、杜の湯から真境名アリサがさっぱりした様子で出てきた。薄手の白いコートに水色のシャツを合わせてパンツルックで纏めていた。毛先が少し湿っているのか。指先で軽く弄る。
「少し張り切り過ぎたかな」
　朝陽に向かってコツンと自分の頭を叩いて見せる。すぐに表情を改めた。
　――あたしが副店長ね。未だに実感はないんだけど、店長から告げられた言葉は今でも、青になったわ。
　横断歩道をカツカツと歩いて分岐で迷う。
　――どうしようかな。参道商店街で買い物をしようと思ったんだけど、午前中はのんびりできるからシーサイドタウンのアウトレットを見て回ることもできるのよね。
　アリサは苦笑いで言った。
「本当に張り切り過ぎ」
　探し求めるような目を方々に向けるのだった。

このページにイラストを設定する