無人島一泊二日のフシギ旅｜リアクション

無人島一泊二日のフシギ旅

■ふたりの無人島　八神修と椿美咲紀の場合
　八神修と椿美咲紀は仲良しコンビです。
　家が物理的にも家柄的にもついでに精神的にも近いので、まあなにかあると一緒に行動するいわばマブダチみたいな間柄です。
　そんなわけで、シューくんが無人島に行くぞとサバイバルガイド片手に言い出した時も、かなりナチュラルに『じゃあ二人分のセット持って行きますね』となったのでした。
　美咲紀が想像した無人島暮らしは、ちょっとしたキャンプです。
　レジャーシートにランタンを置いて、自然のテントに囲まれつつフライパンでお魚焼いて食べるのです。
　一方でシューくんはあえて手ぶらで無人島に飛び込み、本から学んだサバイバル知識やろっこん能力を駆使して便利に一晩過ごしちゃおうというチャレンジでした。
　二人は価値観に若干の違いがあったものの、そこは長年続くあうんの呼吸というもので、うまい具合に違いのやりたいことをあわせながらの……。
「やってきました無人島、なのです！」
「美咲紀、その荷物は持つよ。貸してくれ」
　リュックサックにあれやこれやを詰め込んでいた美咲紀をみかねて、シューくんが手を差し出しました。
　シューくんだって荷物が……と思って目をやると、彼の手には学生鞄が一つあるだけです。
　よく修学旅行にセカンドバッグだけで来る猛者とかいましたが、シューくんは無人島にファーストバッグオンリーでした。
　しかも中身は勉強道具でした。
「サバイバルといっても、趣味の時間は大事だろう？」
「こんな所まで来てお勉強はイヤです……」
　けど重い荷物は持って欲しいですと言ってリュックサックと学生鞄を交換し、二人は無人島生活を始めました。

　別に一日分のご飯を我慢して土の上に転がってしまっても、まあ次の朝くらいまでは生きていられると思うのですが、それでは来たかいというものがありません。
　シューくんは早速その辺の岩を持ってきて海にポケット状のエリアを作り始めました。
「潮がひいたらここに魚や貝が残されるって仕組みさ。まあ、かかる保証はないから吊りくらいはするが……」
　陸地の食料を頼んでいいか？　と美咲紀を送り出しました。
　美咲紀は美咲紀で、食料を確保しつつ寝床の選定を始めておりました。
　こういう場合は好きなところを選んでもいいのですが、美咲紀は無人島っぽさが出る上にちょっと安心するので浅い洞窟を選びました。
　岩場にぽこっとあいた横穴というか、ふかいくぼみというか、あまり奥まっていない所です。奥まりすぎると中がじめじめしてしまうので、美咲紀的には安心できないのです。
　というわけで『ここをキャンプ地とする！』とノリノリで旗みたいなものを立てると、食べられそうな野草やちょっとした果実を集めに行きました。

　世の中に生えている草花の大半は食べられます。
　ただし、その後の保証はなしという条件がつくのです。
　たとえばユーカリの葉っぱはコアラさんももしゃもしゃやってますが、あの後強烈な毒素とカロリーと戦うべく暫く動かないという対価を払うのです。
　道に生えてる黄色いタンポポだって食べられますが、多分お腹を壊します。
　けど木イチゴくらいなら直にいけますし、よく七草がゆに数えられる草の多くはその辺に生えています。煮てあく抜きしてあれやこれやすれば、食べることができるのです。
　スーパーで売ってるキャベツやほうれん草がどれだけ『直でまんま食える』ように改良されてきたのか分かりますね。農家の人は偉大ですね。
　シューくんや美咲紀はそのことを知識として知っていましたので、集めてきた野草を煮て、海水の水分を火で飛ばしてつくった塩でもって味をつけてむしゃむしゃやりました。
　魚は豪快にまんま焼いて食べました。
　美咲紀の持ち込んだシートやランタンが最大限活用されていますが、周りに組んだ軽く一月過ごせそうなテントはシューくんの作品です。
　分解能力とその操作能力で綺麗に編み込んで作った葉っぱや枝やツルをドーム状にしたものです。
　葉っぱや石を洗ってお皿にしてみたり、貝殻や木の実でドームをちょっぴり飾り付けてみたり、美咲紀もちゃっかり状況を楽しみました。
「美咲紀。お土産にいいと思ってこんなものを拾ってきた」
　シューくんは日課のお勉強をこなしながら、巻き貝を取り出しました。
　耳をあてると海の音がするよーっていうあれです。
「アウトドアな感じで、たのしいですにゃー」
「これで終わりじゃあないぞ。後で外に出て、星を見てみよう。きっと綺麗だ」

　二人はこうして無人島を堪能したあと、お土産を手に翌朝を迎えるのでした。

このページにイラストを設定する

無人島一泊二日のフシギ旅

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧