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花残し月のあなたへ
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「そっか、彼らはニューヨークに……」
そこが一家にとっての楽しい場所だと良いと夏夜は思う。寝子島は不思議の多い場所だが、危険な事件に遭遇することもある。
(もう彼等は不思議な事に巻き込まれずに済むかもしれない。例の『調香師』とやらにも)
夏夜の固い表情に気づいて、弦月が近づいてきた。
「あれからああいう危険な事件は起こってないようですし——」
「ああ。今は心の隅にしまっておこう」
「いいえ、行くからこそ。少し話しをしませんか」
イリヤが両脇の紅緒と泉、正面の夏夜と弦月までしか届かない静かな声でしゃべり始めた。彼は事件のあとから自分の曖昧な記憶を辿り、考えてきたのだ。
「事件の前に僕は何度か蛇を——音春に有り得ないって言い切られたような蛇を見ました。それから目隠をした赤い髪の奇妙な女性に会いました」
「調香師、だね」と夏夜。イリヤの言葉を紅緒が引き継いだ。
「セン。あの時イリヤを吐かせましたわよね」
「アル中かと思ったから」イリヤが赤くなって縮こまるので、泉の冗談はそこで終わりになった。「あれワインの匂いがしたな」
イリヤの胸の前で組んだ指が、小刻みに震えている。
「ワイン——葡萄。気になってたんです。聖書の『禁断の実』は聞いた事がありますか?」
夏夜がテーブルのアップルパイへ視線を投げる。イリヤは頷きつつ、否定した。
「僕の故郷では葡萄とされています」
「分かったわ!」
紅緒は彼女の分厚いハードカバーを猛然とめくって、あるページを開いた。創作の材料がのっているそこに、禍々しい絵のコピーが貼られている。
「楽園に葡萄の木を植え、人を誘惑し、飲酒で堕落させた。盲目のエデンの園の赤い蛇——『毒の天使』」
「あれが……調香師が悪魔だって、そう言いたいんですか」
弦月は誰に聞いたらいいのかわからず、床に向かって言葉を吐く。
「同じとは限らない。と言うか思いたくはないです。でも連想させるんです。ただ真似ている何かだとしても、人間が関わっちゃいけないものだと僕は思うから。
もし遭遇したら迷わず逃げて欲しくて——」
楽しい会のなかで、重い沈黙が彼らの間だけに訪れる。しかし泉が盆をひっくり返すように皮肉めいて笑った。
「壮大な話だな。
つーか。あれが悪魔かそれに準ずる何かだったとしても、心配するほど何度も遭遇するチャンスなんか無いだろ」
「何故そう言いきれますの?」
「俺たちが神の子でも預言者でもない、普通の人間だから。
こんな狭い国の、小さい島の、普通の学生を何度も誘惑するほど、向こうも暇じゃないんじゃね」
「そんなに暇なのは私くらいだよね!」
「うんうんそうですわね……ってぅぎゃッ! 鬼ちゃん! いつの間に!?」
唐突に空間に現れた鬼ちゃんは、初対面だと言うのに夏夜と弦月をフレンドリーすぎるノリで巻き込んだ。
「心配すんなって。なんかあったらダチのダチのよしみで鬼ちゃんが守ってやんよ!
ヤバイ薬操る調香師・正気トんでマジ危険毒死・猛威躱して逃避せよ同士・鬼ちゃん使う武力行使!」
ライムを刻みながら目の前に出された着物の童女の拳を、二人はまじまじと見つめた。
「Fist bump」泉が小声で二人へ伝え、鬼ちゃんの拳と自分の拳を合わせて見せた。夏夜と弦月はハッとしてそれに倣う。
「……そ、そう」
「ありがとう?」
鬼ちゃんはぱーりーぴーぽー的に調子付いて、両手を人差し指にして自分を示した。
「ウェーイ。鬼ごっこの妖精舐めんなよ!?」
ヒップでホップな空気と鬼ちゃんの見た目と声は食い合わせが非常に悪く、真面目な話しが笑いで締まる結果になった。
*
さて、会の開始早々肌色の記憶でいっぱいになっていた刀だが、友人の姿を見つけて「よう」と手を挙げた。気を紛らわそう作戦だ。
「大道寺どうしたんだ変な顔して。大丈夫か?」
「調香師武力行使……くっ、あんなもので笑うなんて!」
「ラップ?」
「鬼ちゃんが——」振り向くともう姿が消えていた。超常の存在はいつも気まぐれだ。
紅緒がまだ唇をむにゅむにゅしているのを、刀はストレスでもたまっているのかと思い、彼女のガス抜きになればいいと会話を振ってみた。
この頃紅緒は学業と仕事の両立で、持てる時間いっぱい消費してしまうらしい。
しかし彼女は「順調ですわよ」と笑う。
「疲れてないのか?」
「ええ。今は新しいことに立ち向かう怖さすら、楽しいと感じられるようになってきましたの。貴方がたのお陰かしら」
「そうか、安心した」
刀は陽毬の方へ首を回した。
「伊橋も忙しいらしいな。最近の調子というかどんな感じなんだ?」
陽毬の所属事務所の件は、風の噂に聞いていた。
学生の身で朝から晩までスケジュールが埋まる二人を見ていると(本当に俺と同じ高校生か?)とすら思うが、テレビや雑誌で活躍する子役や学生タレントが居るのだから、自分の前に存在していてもおかしくはない。
ところで会話を振ったと言うのに、陽毬の目線は別の方向へ向いていた。そこでは数人が会話中だったが、小学生の奏ですら「ふむ」と見抜いた。
「陽毬ちゃん、お兄のこと好きなの?」
「ひょ! がッ、んんんんー!」
陽毬は飛び上がって唇を噛んで大惨事になっている。
「伊橋、何がなにやらさっぱりなんだが」と刀が眉をひそめると、陽毬の親友と魔法少女ひまりんの相棒が説明してくれた。
「音春でしょう」
「べべ紅緒ちゃん何言って」
「夜に送って貰ったり、お姫様抱っこで助けられたり、ホワイトデーに手作りお菓子を貰ったりして落ちたみたいです」
「馬桐君ッ!」
「あの男、年上が好きなんですって。よかったわね陽毬」
「『人気アイドル声優バンドマンと熱愛発覚』で炎上コース。お疲れ様です」
紅緒と馬桐は「ぷぷぷ」と笑って陽毬をいじっている。刀はくそまじめに捉えた。
「はあ、炎上? よく分からないけど気にすんな。
実際にやってみないとさ上手くいくかいかないかを始めどんな感じになるか分からないじゃん? 先ずは目指してやってみろよ。一人で上手く出来ないなら手伝うし」
「ひまりんがまず目指すのは、脱妹キャラからですね」
「私が年上なのに!?」
「だって陽毬ちゃんお姉ちゃんってかんじしないなー」よりにもよって奏に言われてしまう。
そんな折に、渦中の人音春がやってきた。陽毬の分かりやすすぎる反応で、刀は(なるほど)と紅緒たちと目配せして頷きあった。
「何の話し?」
「ひまりんが身長伸びないって」
「どれ」音春は自分の頭に片手をのせ、もう片方を陽毬の頭にやって差を見ている。一昔前の少女漫画の如く赤くなる陽毬をみて、皆甘酸っぱさに悶えた。
「初対面のときから更に差が開いたような? 頭一つ分くらい空きそう。タヌキっぽいのにコレじゃモルモットじゃん」
「ですね。ひまりんがまず目指すのは、脱モフモフ動物からでした」と馬桐。
「陽毬さん何かしてんの?」音春が瞬きするのを横目に、刀はずーんと落ち込んだ陽毬の肩を叩いた。
「伊橋、頑張れよ。いや友達だし、困ってたら手くらい貸すよ」
*
「望月さん」
突然背後からするりと背中を撫でられ、望月は素っ頓狂な声をあげて飛び上がった。
「イイイイイリ」
「イリアちゃん、ですよ。ふふ」
メイド風エプロンドレスを着たイリアちゃんが、シィッと唇に人差し指を当てて立っていた。陽毬と美希と言うスペシャリストが居るとは言え短時間で仕上げてくる堂に入った妖精ぶりを、まさかの叔母の前で披露するあたり、もう吹っ切れた感がある。
「なーななな……ナンノゴヨウデスカ?」
望月は肉体に刻まれた恐怖の記憶から、椅子から落ちた上、必要以上に声を震わせている。イリアちゃんはあくまで妖精の微笑みで、彼を見下ろしていた。
「ホワイトデーはどうしましたか?」
「マカロンハデスネー……」望月はイリアちゃんの笑っていない目を直視出来ない。
「ケンカの腹いせに喰われた、姪っ子に」
「可哀想に!」イリアちゃんは同情で泣き出しそうにくしゃっと顔を歪めた。
「前日の夜までしっかり隠し場所に有ったの確認したんだぞ。……そんなにまずかったのかよー」
「何がです?」
「貯金箱からこっそりお金借りた……。ああうん、マカロンの材料費をね、ちょこっと」
「やれ」イリアちゃんがフィンガースナップすると、望月は瞬時に間合いに入ったエリセイに持ち上げられて、カナディアンバックブリーカーを極められる。
「折れる折れる骨折れる!!」身体を無理やりそらされながらバタバタあがいた。
「人のお金に手をつけるなんて、背骨くらい折れれば良いんです」
「か、金は返したよ! おこづかい日過ぎてすぐ! でもあのその……」
「イリア、はっきりしない男の人って嫌い」
「何でニャンプラの最新作が発売されるのがホワイトデーの直前なんだよう!」
望月がぎゅっと目を閉じて絶叫した後、イリアちゃんのスナップはならず、店内が一瞬静まりかえった。望月が恐る恐る目を開けると、イリアちゃんはなんとも言えない顔をして彼を見つめている。
「かつてイリアのパーパは、イリアがあまりに可愛らしいので犯罪に巻き込まれないようにと、兄さんたちとは違う格闘術を教えました」
さりげなく自分の可愛さを強調しつつ、イリアちゃんはヘッドドレスをロングヘアのカツラごと放った。
「僕が出すのは、魅せ技じゃありませんよ」
メイドで美少年が拳を構えるちぐはぐな絵面だが、異様な迫力で空気がぴりぴりと痛い。
「い、イリアちゃん話し合いを」
「時に肉体が口よりも雄弁に語ることもあります。
パーパは言いました。痛みは一切の迷いを粉砕する。死ぬような思いをすれば、覚悟なんて簡単に出来るようになるものです。
さあ望月さん、僕が男にしてあげますからね——」
グロスで光るピンク色の唇が歪んだ直後、うさぎ屋まで聞こえるほどの望月の断末魔が響き渡った。
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日常
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定員
20人
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15人
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シナリオガイド公開日
2017年05月11日
参加申し込みの期限
2017年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月18日 11時00分
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