花残し月のあなたへ｜リアクション

花残し月のあなたへ

　いつかの日。寝子島の海と繋がる場所から。

＊　＊　＊　＊　＊

　休日の賑わいを見せる水族館で、エリセイは画面に映る弟の笑顔を見ていた。
「——ロッティ、俺じゃなくてカメラを見て。撮るよ」
　撮影したイメージが表示されると、レナートは泉の末妹ロッティを見て溜息をついた。
「はあ、子供かわいいなあ。おばさんとノエルが俺たちにロッティみたいな妹をくれますよーに痛ッでぇ！」
　思い切り抓ってやった腕を摩っているレナートを見て、イリヤは満足そうに口の端を上げた。二人の兄が泉の妹たちにきゃあきゃあ言われるのさえ面白くないのだ。
　『唯一の弟』の座が脅かされるとなれば、いよいよ我慢ならない。
「これ以上ライバルはいらないから」
「ベイビー、お前心狭すぎ。小学生と張り合うなよ」泉が呆れている。
「泉こそわかってない。エミリーとクロエの距離の詰め方はガチだ。女の子の怖さに年齢は関係ないんだよ」
「イリヤ」ロッティが足元でぴょんぴょん跳ねている。「ラッコ写った？」
「写ったよ。ほら」イリヤはすでにSNSの投稿画面になっているのを見せた。
「よめない」
「『僕達は元気だよ』って。今度ロッティにも日本の文字を教えてあげるよ。僕もみんなに教えて貰ったんだ」
　目を閉じれば思い出せる懐かしいあの島を思いながら、イリヤは投稿ボタンを押した。
　遠い地から想いを込めて、花残し月のあなたたちへ——。

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あとがき

担当マスター：東安曇
ファンレターはマスターページから！

シナリオにご参加頂き有難うございました、東安曇です。

ジュラヴリョフ兄弟は旅立ち、紅緒と陽毬と状態異常の面々たちはそれぞれの目標に向かいます。彼らの最終情報はプロフィール欄でご覧ください。
それでは今まで有難うございました。
PCさんたちの日々を３６本も執筆することができて光栄でした！　皆さんの寝子島での日々が、さらに素敵なものになることを願っています。

＊

以下、シナリオ終了時点のミルクホールの情報です。今後アクションに絡ませる際のご参考にどうぞ。設定の変更や追加などはPL様同士で様子をみて、仲良く使って下さいませ。

『寝子島ミルクホール』
　参道商店街の裏道にあるカフェ・レストラン。
　店長は３０歳代の男性田崎。
　PCらアルバイトのほか、厨房担当のコックたちとパートタイム従業員なども働いている。

　老齢のオーナーが代々継いできたかなり古い店で、アンティークの家具や内装は現在もそのままで営業。　
　三階建ての建物で、二階は従業員の休憩室になっている。
　ソファに寝転んで仮眠もできるが、天井に誰の悪戯かしらすの写真の拡大コピーが貼られているので、まったく落ち着いて眠れない。

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