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花残し月のあなたへ
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「私はストレートティーしか飲めないけどカンパーイ!」
水樹がティーカップを上げると、皆が何度目か分からない乾杯で湧き上がる。
宴もたけなわなホールを隅から遠巻きにしている武道の隣へ、望月がやってきた。
虚ろな目で「こわい、男の娘こわい」と繰り返している彼を武道はとりあえず落ち着かせることに成功した。
「——だから、たまに妖精になるケド、しっかりしたいい子だよ。ウン」
「ぶどーちゃん、あの兄弟達と仲良いんだ?」
普通の質問なのに武道は一瞬答えに詰まる。望月は頷いた。
「俺は細かい事とかよくわかんねぇけど。あの兄弟達には何かあんだろうなとは思ってた」
体育科に所属する望月は、普通科の双子に関わった記憶は薄い。末弟ともまともに会話はしていないが、両親不在の家族構成から何らかの事情があるのだけは察していた。
「けど、それを知られたくない奴も居んじゃん。だから俺も聞かないで通したまでの話。ま、俺様もあんまり聞かれたくねー話があるからわかった感じ?」
望月は「俺両親居ねーのよ?」と、ホール中の話し声のなかへ混ぜた。
「あのさ! もっちー」武道は笑顔を作る。「ごめんちょっと餞別の準備があって、事務所戻るネ!」
「あ、うん。いてらー」
「マタあとで!」
武道は事務所に飛び込んだ。誰にも涙はみせたくない、ジュラヴリョフ兄弟には笑顔だけを覚えていて欲しいと頑張ってみたが、こみ上げるものが多すぎる。少ない時間で気持ちを伝えられるように、頭を冷やしたかった。
感情をため息と共に吐ききった後、彼は三兄弟を呼び寄せた。
「イリヤ君は?」
「イリアちゃんならすぐ呼べるけど」
「おお。後にする」武道はロッカーにしまっていたプレゼントを出した。サンマさんのついたシャープペンシルと、手帳のセットである。
「これは……」と大げさに驚いてくれる双子が嬉しい。
「寝子島クオリティをアメリカで羨ましがるがいいHAHAHA!」
高笑いをしてみたものの、なんとなくその声が虚しく感じてしまう。武道は俯いた。
「正直言うと、寂しいよ」
「どした。らしくねーじゃん」
エリセイの声に気遣いを感じて、武道は唇を噛む。(縁の数だけ、別れがあるのは分かってる。でも俺はそれでも笑顔で送り出す。送り出さなきゃ、ダメなんだ)
「はは、俺結構脆いから、だから皆に見られないよう呼び出したわけで」
「バーカ知ってるわそんなの」
悪態をついたレナートの顔は酷く優しくて、武道は傷ついてしまいそうだ。
「しょーがない奴」
双子はソファへ座ると武道を真ん中に引っ張った。
「弟だけのスペシャルシートに座らせてやろう」「イーリャに言うなよ、あれは嫉妬深い」
「刺されちゃう?」武道がおどけてみせると、双子はケラケラ笑った。
「——叔母さん、プロポーズを断ったこと俺らには隠してたんだけど、ほらパートの川島さん、おしゃべりだろ」
「ああ、バラしちゃったのネ」
「そ。
叔母さんは俺らの為に色んなもの犠牲にしてるし、俺の病気とかもあって、面倒をみる事へ義務感みたいなものを感じているんだと思う。断った原因もそれなのが分かってたから、なんかイラッときて」
「もー大喧嘩だよ。
言い合いしても収拾つかなくて、翌日も口効かないでいるのをイーリャが見かねてノエルに連絡したらしいんだ」
「それで丸く収まったのか。イリヤ君頭いいなあ」
経緯を知った武道は、康子の恋人が彼らを理解してくれる人物だと分かって安堵した。
「なあ武道。この間俺たち、祖父母って奴に会っちゃった」
「叔母さんとノエルが結婚の報告行くのについてった時に。すっげー嫌な感じだったわ。玄関先で話しただけ、滞在時間約3分。もう来るなとか言われたし」
「父の浮気相手の親なんて、被害者なのに俺たちに泣いて謝って金まで押し付けたのにさ。逆じゃね?」
「でもなんかセーセーしたね。血縁者つったって、他人なんだなーってはっきり分かった」
武道がどちらを見たらいいのか分からないテンポでつなげた言葉を、レナートが最後に切った。
「不思議と辛くないんだよ。
今はさ。笑って送り出してくれる人がいるから、別にいいや」
*
その後イリヤも合流したあと、エリセイから頼まれた武道は、友人たちを集めて裏庭へ向かった。
(ろっこんを持ってそうな人だけってどうして……)
何か真剣な話でもあるのかと慎重に扉を開けた瞬間——。
「さぷらーいず。ジュラヴリョフ式いりゅーじょーん! みんな今までありがとー」
エリセイの声と共に広がったのは、真っ白になった庭だった。
今この時間が永遠になったかのように、春の緑に萌える木々は凍りつき、幻想的に霧がかった空気に氷の結晶がキラキラ瞬いている。
「これって雪?」英二が言うと、「ろっこんか」と刀が頷いた。
「アイディアわきそう」
桜は溢れる創作意欲で目を輝かせながら、自作のアクセサリーを指先でいじっている。
「コレはこたつで丸まってなんかいられないね♪」
タルトがニコニコして言うので、夏夜はこくりと頷く。
「不思議だ。こんなのに冷たいのに、暖かさが……」
誉は皆の注目に気づいて、思わず口走っていた言葉を切った。しかしレナートに微笑まれるのは、もう恥ずかしい事とは思わない。
「レナ先輩」
「ん?」
「先輩に感性が豊かだって言われたの、凄く嬉しかった。今だから言えるけど、あの時の言葉は大事にしたいんです」
「有難う、俺も君の素直なところが好きだな」
「レーナばっかずるいー俺も褒めてー!」エリセイが騒ぐので、誉は笑いながら彼について考えた。
「エリ先輩にはいきなり担がれたというのが一番印象に残ってて。ちょっぴり不思議で楽しいエリ先輩が俺は好きです」
「うは、告られた!」
雪の上で跳ねて足跡を作ったエリセイの隣から、ポンチクが駆けてきた。「ポンチク!」誉は両手を広げてポンチクを受け止める。
「いつも癒して貰った。
俺は友情を感じてるんだ、つまりは友達だな。ポンチクもそうだったら嬉しいけど。
「イリヤと先輩達の事、よろしくな」
大きく返事をしてポンチクはエリセイのところへ戻っていく。自由に走り回るポンチクを見ていると追いかけたくなったが、エリセイが首を横に振った。
「めっちゃ寒いから、あんま近づかない方がいいよー」
「凍傷んなるし」とレナートにやんわり忠告されて、望月が「マジで!?」と足を止めた。
イリヤは心配げだ。
「雪だるまの方が良かったんじゃないかな。あっちの方がカワイイよ」
「それなら歌った方が良かったかも。レリ——」
裏声を出しかけたエリセイだったが、イリヤの氷がサクッと足元を刺して兄のソロコンサートを強制終了させた。
「危なっ、イーリャお前兄に向かってなんてことを! あれ? なんか視界悪くなってきてない? レーナ? 真っ白だよ? あれーなんも見えない! レーナごめんもう歌わないから! 出口どっち!?」
雪と氷の嵐と化した場に長兄を残して、レナートとイリヤがコートを脱ぎながら皆の方へ戻ってきた。
「皆さん、もう戻らないと不審に思われますわよ」
中の様子を気にする紅緒に強制的に引っ張られて、皆なかへ戻っていく。
弦月は衿花と顔を見合わせた。
「相変わらず仲が良くてほっとしました」
「そうね」
二人の微笑みの余韻が残る中、一人遅れた武道の肩をエリセイが掴んだ。氷のように冷たい手で触れられて身体が跳ねる。
「冷たッ!! ナニコレほんとに冷たいYO!」
「いつも通りに戻れた?」
エリセイがニッと笑うと、レナートが反対側から武道の肩を掴む。
「ブドーくん」
「ハイ?」
「『俺のクソ人生に関わってくれて』有難う」
武道の中で何かが弾けそうになったとき、イリヤが彼の口角を人差し指と中指で押し上げた。その気持ちを受け取って、武道は最後まで笑って見せた。
「ここでのバイトは、大学行くまでは続けるよ。そして俺は今まで通り、フツウを守っていく」
ミルクホールへ戻る時、心の中は少しだけすっきりしていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月11日
参加申し込みの期限
2017年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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