カメラを持って外に出よう｜リアクション

カメラを持って外に出よう

■本条小萩のニャンスターグニャム
　人類よ、本条小萩を知っているか。
　ワールドクラスにカワイイ美少女、こはぎちゃんである。
　勿論こはぎちゃんは希代の天才なので、スマホをいじってニャンスタを見つけた瞬間にその存在価値に気づいていた。
　よく読まずにニャン『スター』グニャムと発音しているが、こはぎちゃんがスターと言ったらスターなのである。星っぽくていいじゃあないか。
　さて、ニャンスタといえば写真を世界に公開できるツールである。
　世界とこはぎちゃんというワードが重なればやることは一つ。
　そう、こはぎちゃんの写真を世界の人々の目に届けるのである。

　こはぎちゃんの写真がネットにアップされる
　↓
　世界中の人がこはぎちゃんの可愛さを知る
　↓
　世界平和

　である。
　きっとファンも増えるだろう。うまいたとえが思いつかないが、とにかくなんか有名な人っぽくなるに違いない。
「ふふーっ、やる気が出てきました！　そうと決まれば……！」
　小萩はクローゼットからお出かけ用の洋服をぽいぽい取り出すと、暫く迷ったあとちゃかちゃか着替え、スマホ片手にお部屋を飛び出した。

　外は空前のニャンスタブーム……というわけではなく、割と皆フツーにしていた。
　今からこはぎちゃんムーブメントが巻き起こることを誰も気づいていないらしい。流石は天才、誰にも気づかないことに気づいているとは。
「そうですねー。まずはこのお花畑にしてみましょうか。普通のお花畑も小萩のあみだしたこのテクで……！」
　スマホを自撮モードにして背景と重ねると、横ピースで撮影した。
「自分を撮影しつつ背景を撮影するなんて、ただのお花畑が一瞬にしてキラキラして見えますね」
　撮影した写真をうっとりしながら眺める小萩。
　とはいえこれで終わりでは無い。
　『小萩と花畑』に続きましては『小萩と銅像』『小萩と野良猫』『小萩とマンホール』『小萩と街灯』『小萩とベンチ』『小萩とさびた電柱の看板みたいなアレ』『小萩と古い郵便ポスト』『小萩とカフェテラス』『小萩とコーヒー』『小萩と鏡に映った小萩』……と軽く写真集ができるくらいに撮影しまくった。
　できあがった写真をカフェでぼーっと眺めつつうっとりする。
　そんな、小萩の一日である。

　後日、新しくできた小萩のアカウントは自己主張満点の写真集と化していた。
　それはそれで、ちょっぴりアーティスティックであったという。