カメラを持って外に出よう｜リアクション

カメラを持って外に出よう

■春賀幽のニャンスタグニャム
　知らない人のために紹介しておこう。
　この一見女子高生に見える男子、春賀幽は新聞部と美術部を掛け持ちする男子である。
　新聞と美術を結ぶものは何かと言えば。そう、皆さんご存じの写真ですね。
　写真撮影の仕方は勿論のこと、技術的な側面から綺麗な写真を撮ろうとする彼の姿勢は新聞部の発行するハイクオリティな記事に大きく貢献している。しているよね？
「今日は、不思議な気持ちになれる一枚。日常からちょっとだけ離れた一枚をテーマに撮ってみようと思うんですよぉ」
　部室でそんな風に語る幽は、予め撮ってきた写真の数枚をプリントして並べて見せた。
　遠近感を利用しただまし絵めいた写真や、光の屈折で不思議なきらめきに見える写真である。割とよく見る手法だが、素人が撮るのと技術を学んだ人が撮るのとでは画角のとらえ方や線の取り方が異なるものだ。
　分かりやすく具体例を出すと、黄金比の例で使われる渦巻き線にそったあの並びである。
「そのうえで、今の季節を感じられるものにしたいですねぇ。ものによっては、写真をモチーフにして絵画にしてもいいかなって……」
　そう言いながら、写真で撮った風景をあえて感情的に描いた絵画――を更に元の風景と重ねて設置した写真を見せた。
　何重にも凝ったアートである。
「そうそう、写真といえば……動画も撮影してみたくて。ネットの記事に動画をアップロードしてみるのもよさそうですよねぇ」
　ＧＩＦ形式の動画にしてページに埋め込むパターンを提示してみたり、してみなかったり。
　積極的な姿勢を褒められて、幽はおっとりと目を伏せた。
「新聞のネタもそうですが、常に自分は情報を求めて動き続けてますね。美術の背景も含めて」
　加えて最近に撮影した写真をデスクに広げていく。
「不思議な体験だけに限りません。普通な記事もあげていきますよぉ」

　こうして、幽のアカウントや新聞部のアカウントに季節の写真や動画がアップされていくのである。