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ひとり。
小山内 海
は筆を動かすことも忘れて、佇んでいた。
その場所はとある路地の奥にある階段の足元。この狭い階段を上ると街を一望できる小さな広場がある。
そこは、海にとってちょっとした思い出の場所だった。
「……!」
けれど今はその広場ではなく、この階段の前で立ち止まっていた。
素っ気ない路地の階段だったはずのそこは、今は見事な桜のアーチで彩られていたのだ。
花であふれる街を抜け、狭い路地を抜けて辿り着いたそこには、まるで来訪者を歓迎するかのようなアーチ。
海は少しの間、それを惚けたように見つめ続けていた。
「!」
そして次の瞬間、弾けるようにスケッチを始め、その情景を切り取った。
舞い散る花びら。街灯に照らされる夜桜。この階段を抜けた後の広場で街を眺めることを想像するだけで胸が躍る。
海の頭はもうそのことでいっぱいだった。その広場から、この花に覆われた街を見たい。
だから、気付かなかった。
この思い出の場所を訪れるのは、自分ひとりではないという可能性に。
☆
「――うみ?」
その声に、海の背筋がピンと伸びた。
騒がしい街並みではあったが、自分に話しかけてくる呼び声と喧騒はまるで違う。今夜初めてかけられた言葉に、海は我が耳を疑った。
できすぎている。
だってそうでしょう。
夜中に目覚めたと思ったら花だらけの楽しい街並みで。
普段見られない様子をスケッチし放題で。
桜で飾られた思い出の場所をひとりで訪れたと思ったら。
「やっぱり海だ。こんなとこで何をしているんだ?」
この場所を初めて、一緒に見つけたひとが来てくれる、なんて――。
☆
訪れたのは
御剣 刀
だった。
「やっぱり海だ。こんなところで何を――っていうのは愚問かな」
刀は海が手にしたスケッチブックを見て微笑む。
決まっている。こんな夜に、いつか見たあの風景を海が見ようとしたなら、その目的は。
『うん』
海は、いつも使っているスケッチブックの1ページを示した。更に別のページに書き足す。
『街を眺めたい』
刀も、当然のようにそれに応じた。
「ああ――行こうか」
狭い階段。ふたりは並んで昇った。
海の髪にかかろうとした桜の枝をさりげなく退かせてくれる刀の気遣いが嬉しい。
階段を昇りきるとそこは想像通りの、いや、想像以上の眺めだった。
「――」
ふたりはしばし、それを言葉もなく見守った。
こんな夜だ、いっそ寝ている人の方が少ないのかもしれない。煌々と輝く街灯り、照らされる梅、桃、桜。
花で覆い尽くされた寝子島にはどこもかしこも花びらが舞い踊る。
しばしの後も、ふたりは何も言わなかった。
ただ、その風景に心を奪われる。
そして、海はこの風景を心だけでなく、自分の手元に焼き付けるため、スケッチを始めた。
刀はただ、それを優しく見守っていた。
この時間が永遠に続けばいい。海はそう思ったけれど、たったひとつ。
『……』
「――?」
『……』
物言わぬ海の口が、微かに動いたのを刀は見逃さなかったけれど、海はそれを否定した。
言えるわけもない。
たったひとつ、望んでしまったなどと。
この風景を、自分達も含めたこの寝子島の風景を、誰かスケッチしておいて欲しい、なんて。
☆
「やっと見つけましたよ!」
綾辻 綾花
はようやくはぐれた
天利 二十
を発見した。
神社の境内で何人かの学生と歩いている天利の腕を取る。
「おお、学生さん。猫はいたかい」
はぐれても綾花を探そうとしていなかった天利だが、悪びれもせず訊ねる。
「もう、いませんでしたよ。それより私の依頼はどうなったんですかぁ、一緒にお花見しましょうって」
言いかけて、綾花ははっと口をつぐんだ。
「ははは……」
天利はただ笑って、それを受け止めた。一応、綾花の依頼は寝子島を花が覆い尽くしてしまった現状の解明の筈だ。
「まぁ、いいじゃねえか。ほれ、その辺に座ろうぜ」
「――もう」
綾花はため息混じりに、持参したレジャーシートを敷く。
「依頼と言えばよ、こっちの方はどうすんだよ、おっさん?」
天利と一緒にいた
新江 天懸
は言いながらも、レジャーシートに座った。
「まぁ、一応こっちの学生さんのほうが先約でな。終わったら薔薇の刺抜きでも何でも付き合ってやるよ、坊主」
「しゃーねーな。そんなら先にこいつで花見といくか」
天懸はコンビニで買った羊羹を取り出した。それを目ざとく見つけたのは
屋敷野 梢
だ。
「あ、おいしそうですねー。ひと口くださーい」
「やんねーよ」
天懸と梢がなにやら始めたのを尻目に、綾花は天利の隣に座った。
「はい、どうぞ」
差し出された甘酒の缶を受け取る天利。
「いいのか、まだ依頼は終わっちゃいないが」
「――もう、意地悪言わないで下さいよ」
ニヤリともしない天利、綾花からの報酬を受け取ってカシュッと開けた。
「――はい」
「おう、乾杯」
桜の樹の下、自然に缶を合わせるふたり。
目を上げると、夜空には満月。
「何だか、夜が多いですね、私たちの騒動は」
「――ああ、そうだな」
特に何も考えずに返答する天利。
「それで、調査結果はどんなですか?」
軽く微笑みながら、綾花は意趣返しとばかりに天利に訊ねた。
こんな状況でまともに調査などできている筈もない。
「そうだな――」
綾花が気まぐれに手のひらに乗せた花びらがいちまい、そっと風に乗った。
「そうですね―ー」
天利がそれを見送って、ひらりと舞った花びらは、梢と天懸の間をふわりふわりと。
「ああ――」
「そうですねー……」
やがて、ふわりと舞い上がる花びらを見守りながら、梢はぽつりとつぶやいた。
「もうじき、終わります……」
もう、誰もが分かっていた。これは夢なのだと。何者かが見せている一夜限りの夢。
それも、もうすぐ終わろうとしている。
春の嵐と共に。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
まるよし
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月12日
参加申し込みの期限
2017年03月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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