――しろいこねこがふたこえないて。
気付くと一面、ピンク色。
「……」
君は寝惚けている。
これは夢、だろうか。
もしそうでなければ、誰かが君の部屋を溢れんばかりの梅と桃と桜の花で埋め尽くしていった、ということになる。
「……何これ」
そんなわけで君の部屋は、今とにかくいっぱいの梅と桃と桜の花に占領されているのだ。
どうらやら真夜中に目を覚ましたらしい。もちろん場所は君の部屋、君のベッドだ。
時間は――まあどうでもいいだろう。些細な問題だ。
それよりも問題はこの梅と桃と桜であろう。しかもよく見るとベッドの下や本棚、ドアの隙間や天井から直接樹の枝が生えているではないか。
さらに言えば、窓の外を見るにつけ、どうも街中が――恐らくは寝子島中が――同じ状態であるように見受けられるのだ。
「なるほど」
ここに来て、君の脳細胞は改めてひとつの結論を弾き出した。
やはりこれは夢だ。きっとそうだ。
ならばすることは決まっている。君は上着を手にまだ肌寒い3月の夜空の下へと踏み出した。
ちょうど世間はお花見シーズン、この自己主張の激しい梅と桃と桜を堪能するために君は歩き出す。
見れば結構みんな外に出てきているようだ。
まるで時間が止まったかのような錯覚。人々の喧騒の中に感じる、奇妙な静寂。
不思議な空気の中。次々にお花見を始めた人々と街並みを眺めているのは、白いドレスに身を包んだひとりの白い髪の女性だった。
「――ふふ、こんな春の夜も、また乙なものでございましょう?」
みなさんこんにちは、まるよしと申します。
しばらくお休みをいただいておりましたが、少しずつ復帰の方向で動いております。
思い出したようにシナリオを出して行きたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
今回は春らしく? お花見? シナリオです。お気軽にご参加ください。
◆お花見
時刻は真夜中。天気は晴れ。丸い月に照らされた梅と桃と桜が、寝子島を覆い尽くす勢いで咲いています。
明らかな異常事態ですが、そもそもこれが現実かどうか分からないので、特に慌てる必要もないようです。
直接的な実害はありませんが、梅と桃と桜の樹は街のあらゆるところから生えてきていますので、交通機関は機能しない可能性が高いです。
みなさんは花に埋め尽くされた寝子島を楽しんでいただきます。何らかの解決方法を模索するもよし、異常ながらも花見を楽しむもよしです。
一応、以前のシナリオ『白いハコニワ~温泉旅館にようこそ~』の続の体裁をとっていますが、特に参照する必要はありません。
該当シナリオに参加されたPCさまは、前の話を引っ張っても問題ありません。
◆夢か現実か
これが夢なのか現実の出来事なのかはわかりません。
街は普通に機能しているようで、深夜営業のコンビニなどでは商品を買い求めることができます。
また、この異常な状況の中で出店を出したりしている人たちもいるようで、うまく便乗すればちょっとしたお花見イベントとして盛り上げることができるかもしれません。
◆白髪の女性について
以前は旅館の女将として登場した彼女です。前回はただの案内役として登場しました。
腰までの白髪を垂らした色白の女性で、白いドレスを着込んで街中を散歩しています。妖艶な美女に見える瞬間もあれば、童女のような面持ちを見せる時もあります。
出会うことは容易ですが、今回の出来事の解決については何の役にも立ちません。
◆しろいこねこ?
猫はそこら辺にたくさんいます。何しろここは寝子島ですから。
◆エトセトラ?
梅や桃や桜のほかにも、春だから生えてきそうなモノや、この際だから生やしとけ、というモノがありましたら遠慮なくアクション内で記載してください。
もちろん全てが通るワケではありませんが、面白そうなものは積極的に採用していきます。主題である梅や桃や桜の樹のように、どこから生えていてもよいものとします。
◆NPCについて
私立探偵 天利 二十(あまり にとお)については、プロフィールページをご参照ください。
彼の住居兼事務所は旧市街にありますので、この事態には気がついています。
が、特に危険がないようなので、彼が何らかの行動を自発的に起こすことはありません。
特にアクションがかからなかった場合は、登場しません。
そのほかのNPCは今回リアクションに登場できません、ご了承ください。
◆アクションについての目安
アクションをかける際、PCの台詞や心情を交えて下さると、キャラクターの雰囲気を掴みやすいです。
そのPCさまが何をしたいのか、そのために何をするのか、という目的と手段をはっきりさせるとGMとしても行動を取らせやすく、その目的を叶えやすくなります(あくまでも目安、ですが)。
それでは、皆様の楽しいアクションをお待ちしています。よろしくお願いいたします。