【星幽塔】第十階層　本の迷宮｜リアクション

【星幽塔】第十階層　本の迷宮

★地下五階

「ここからオーブまでは、向うに一直線だにゃ」
　階段を下りたスピカが爪を奥へ向けた。
　マグライトを向けると、確かに遠くの壁にオーブらしきものが見える。
「ただ黒い影が強力になっていて、一人じゃとても無理だったにゃ」
　四方八方の書架から、黒い影が湧き出してきた！
「目的地につくための邪魔はさせませんよ！」　
　リリエルが叫ぶ。
「ここは私たちが引き受けます。オーブに火を！」
「ああ、俺たちが引きつける！　このザ・ストレイト／バーストトランスに任せろ！」
　【ホープ・ストライク】を構えた轟が、片っ端から影を引きつけ、拳を叩き込んで吹き飛ばす。
「ホープ・ストライクの名前の由来は、この街の人達……塔全てに希望を取り戻すという誓いと、皆の希望。この拳に込めて、敵を打ち倒す！」
　　
（戦闘は他のやつに任せて、俺は、先に進んでオーブに火を灯すのを優先しよう）
　アカリとロベルトは目を見交わし、走りだす。
　だが背後に黒い影が追いかけてきているのに、二人は気づかない。
『後ろに敵だ！』
　そのとき、二人の頭に言葉が浮かび、慌てて振り向く。
　後方にいたアルレッテが虹の力を使って伝えたのだ。
　やむを得ず、ダガーを構え近接戦に挑むロベルト。
「人型なら急所を狙い、相手のバランスを崩せるのに」
　そこへろっこん『加速』を発動させた刀が追いすがる。
「お前たちの相手は俺がする」
　言うが早いか黒い影を切り伏せていった。
　刀に薙ぎ払われた黒い影はまるで血煙のように立ち上り、消滅していく。

　オーブを視認した修は、誰よりも早く駆け出していた。
　それを見てルトも走り出す。
　だが修の気合のほうが上回っていた。
（全力で灯す！）
　黒い影が修の背を飲み込む寸前。
　手は、オーブに達した。
「智の光が満ちれば、影は……！」
　その瞬間、オーブは光に満たされる。
　影たちは、跡形もなく消えていった。

「しっかり、もう大丈夫なのです！」
　美咲紀が負傷者たちを、ろっこん『舞花の祈り』で回復させていった。

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