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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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【ホワイトデー】学生達のWhite Day!
騒がしい食堂の前で１人顎に手を当て難しい……と言うか若干不機嫌そうな人物がいた。
（トワの代わりにこのクッキーを渡すんだが）
夜海霧 楓は足元に置かれた大きな紙袋に視線を落とした後、ポケットから巻物のような長い紙を引っ張りだした。
「リストが長すぎるんだよ……まとめ買いした後の買い物のレシートか」
ずるずるずるずる。そこには途切れなく彼の同居人トワ・E・ライトフェロゥの字が記されている。そう、寝子高に来られない小学生のトワのため、楓はリストの人物にクッキーを配ろうというのだ。
不本意であったが楓は休み時間全部を使って何とかリストを消化しようとした。が、しかし。
（配り切れる訳ねぇんだよ）
ジト目でリストを見ながら楓は悪態をつく。それはそうだ。そもそも最初はこの大きな紙袋は２つあり、それぞれ山盛り入っていたのだ。けれども１度頼まれてしまった事。出来ないと言う訳にはいかなかった。
この後はさっさと方向音痴のトワと合流したい。リストの残りの奴らは、放課後開かれるお菓子パーティとやらに参加してるだろうと踏んだ楓は、取りあえず食堂に来てみたのだった。
楓は慌てる事なく食堂の入り口でじっとしていた。すると。
「えーとあんたは……先日の嬢ちゃんか」
食堂から飛び出して来たのは犬杜 初だ。突然声をかけられ、初は目をぱちくりさせた後、あー！ と叫んだ。
「この前の客！」
「此処にいるって事は高校生……よくて中学生くらいかと。前は嬢ちゃん扱いして悪かったな」
「ほっといてよ！ 何でいるのよ！ もう報酬貰ったって喋らないからね！」
ボリューム全開で噛みついてくる初に、楓は片目をつぶって思わず耳を押さえた。
「そんな耳元でキャンキャンせんでくれ。代わりと言っちゃなんだがこれをやる」
「何よ、コレ。……クッキー？」
楓に渡されたクッキーを、初はしげしげと眺める。それに頓着せずに楓は別の紙袋を取りだし、幾つかクッキーの袋を詰める。そして別にメモしておいたリストと一緒に初に差し出した。
「悪いんだが菓子パーティとやらに参加してる奴らにどんと追加で渡してくれないか。トワっつー突撃方向音痴小学生女子からのプレゼントだっつって」
「あんたからのじゃないの？」
「当たり前だ。お嬢……トワは何度か高校に突っ込んできてる。ある程度面識あるんで、多分それで通じる」
「あんたが行けばいいじゃない」
「俺は食堂の中の甘い空気だけで、もうなるべく入りたくないんだ。報酬はそのクッキーと缶コーヒー」
食堂から流れてくる甘い香りに、楓はだるそうに襟元を気持ち緩めた。
初はちょっと思案気な顔になる。しかし最初に受け取った猫のクッキーが可愛くて気に入ったのだろう、楓から缶コーヒーと一緒に紙袋とリストを受け取った。
「野々 ののこ、七夜 あおい、串田 美弥子、神楽 舞、詠 寛美……ちょっと、いっぱいいるじゃない」
「ま、つー事で任せた」
「……今度店に来たら報酬倍取るからね」
ぶうと初は口を尖らたが、何のかんの言って了承したらしい。紙袋を腕に下げ、リストを見ながらぶつぶつと食堂に戻って行った。
楓はその背中を確認すると、今度は食堂手前の隅っこにいる人物の許に歩み寄った。
「……で、胡乱路はこっそり見てるだけでいいのか」
胡乱路 秘子がんふふと振り返った。
「あら、見つかってしまいました」
「あんた別に隠れてはないだろう」
秘子の煙に巻くような様子に楓は肩を竦めた。
「ま、どうしようが人の勝手ではあるが」
楓の前で、変わらず秘子はしっとりとした笑みを湛えている。その現実離れした佇まいは思わず地に足が着いているのかと確かめたくなるが。
（……どうでもいい事だな）
楓はふっと笑うと、彼女にクッキーを差し出した。
「あの時世話になった礼だ……正確に言うと、うちの姫さんからだがな」
「ありがとうございます。……姫さん？」
受け取った秘子は、笑みはそのままに小首を傾げる。楓は手にした紙袋を持ち上げた。
「これを用意したのはな。まだ箱には大量にあるし、やつは友達の友達は友達ってタイプだ」
「では姫さんにもよろしくお伝えください」
んふふっ♪ と秘子は楓に微笑む。その金色の瞳に軽く頷くと、楓は踵を返した。
ようやく甘ったるい校舎からおさらばできる。けれど寝子高の騒ぎを見てると何だか街も危ないような気がしてきたぜ。
この後の予定を思い楓はうんざりと天を仰ぐ。しかしその脳裏にあのふわふわ金色の笑顔が思い浮かび、楓はぼりぼりと首を掻いた。
「しゃーねえ、行くか」
軽い足取りでもなければ憂鬱な足取りでもない。しっかりとした足取りで、楓は歩き出した。
（トワの代わりにこのクッキーを渡すんだが）
夜海霧 楓は足元に置かれた大きな紙袋に視線を落とした後、ポケットから巻物のような長い紙を引っ張りだした。
「リストが長すぎるんだよ……まとめ買いした後の買い物のレシートか」
ずるずるずるずる。そこには途切れなく彼の同居人トワ・E・ライトフェロゥの字が記されている。そう、寝子高に来られない小学生のトワのため、楓はリストの人物にクッキーを配ろうというのだ。
不本意であったが楓は休み時間全部を使って何とかリストを消化しようとした。が、しかし。
（配り切れる訳ねぇんだよ）
ジト目でリストを見ながら楓は悪態をつく。それはそうだ。そもそも最初はこの大きな紙袋は２つあり、それぞれ山盛り入っていたのだ。けれども１度頼まれてしまった事。出来ないと言う訳にはいかなかった。
この後はさっさと方向音痴のトワと合流したい。リストの残りの奴らは、放課後開かれるお菓子パーティとやらに参加してるだろうと踏んだ楓は、取りあえず食堂に来てみたのだった。
楓は慌てる事なく食堂の入り口でじっとしていた。すると。
「えーとあんたは……先日の嬢ちゃんか」
食堂から飛び出して来たのは犬杜 初だ。突然声をかけられ、初は目をぱちくりさせた後、あー！ と叫んだ。
「この前の客！」
「此処にいるって事は高校生……よくて中学生くらいかと。前は嬢ちゃん扱いして悪かったな」
「ほっといてよ！ 何でいるのよ！ もう報酬貰ったって喋らないからね！」
ボリューム全開で噛みついてくる初に、楓は片目をつぶって思わず耳を押さえた。
「そんな耳元でキャンキャンせんでくれ。代わりと言っちゃなんだがこれをやる」
「何よ、コレ。……クッキー？」
楓に渡されたクッキーを、初はしげしげと眺める。それに頓着せずに楓は別の紙袋を取りだし、幾つかクッキーの袋を詰める。そして別にメモしておいたリストと一緒に初に差し出した。
「悪いんだが菓子パーティとやらに参加してる奴らにどんと追加で渡してくれないか。トワっつー突撃方向音痴小学生女子からのプレゼントだっつって」
「あんたからのじゃないの？」
「当たり前だ。お嬢……トワは何度か高校に突っ込んできてる。ある程度面識あるんで、多分それで通じる」
「あんたが行けばいいじゃない」
「俺は食堂の中の甘い空気だけで、もうなるべく入りたくないんだ。報酬はそのクッキーと缶コーヒー」
食堂から流れてくる甘い香りに、楓はだるそうに襟元を気持ち緩めた。
初はちょっと思案気な顔になる。しかし最初に受け取った猫のクッキーが可愛くて気に入ったのだろう、楓から缶コーヒーと一緒に紙袋とリストを受け取った。
「野々 ののこ、七夜 あおい、串田 美弥子、神楽 舞、詠 寛美……ちょっと、いっぱいいるじゃない」
「ま、つー事で任せた」
「……今度店に来たら報酬倍取るからね」
ぶうと初は口を尖らたが、何のかんの言って了承したらしい。紙袋を腕に下げ、リストを見ながらぶつぶつと食堂に戻って行った。
楓はその背中を確認すると、今度は食堂手前の隅っこにいる人物の許に歩み寄った。
「……で、胡乱路はこっそり見てるだけでいいのか」
胡乱路 秘子がんふふと振り返った。
「あら、見つかってしまいました」
「あんた別に隠れてはないだろう」
秘子の煙に巻くような様子に楓は肩を竦めた。
「ま、どうしようが人の勝手ではあるが」
楓の前で、変わらず秘子はしっとりとした笑みを湛えている。その現実離れした佇まいは思わず地に足が着いているのかと確かめたくなるが。
（……どうでもいい事だな）
楓はふっと笑うと、彼女にクッキーを差し出した。
「あの時世話になった礼だ……正確に言うと、うちの姫さんからだがな」
「ありがとうございます。……姫さん？」
受け取った秘子は、笑みはそのままに小首を傾げる。楓は手にした紙袋を持ち上げた。
「これを用意したのはな。まだ箱には大量にあるし、やつは友達の友達は友達ってタイプだ」
「では姫さんにもよろしくお伝えください」
んふふっ♪ と秘子は楓に微笑む。その金色の瞳に軽く頷くと、楓は踵を返した。
ようやく甘ったるい校舎からおさらばできる。けれど寝子高の騒ぎを見てると何だか街も危ないような気がしてきたぜ。
この後の予定を思い楓はうんざりと天を仰ぐ。しかしその脳裏にあのふわふわ金色の笑顔が思い浮かび、楓はぼりぼりと首を掻いた。
「しゃーねえ、行くか」
軽い足取りでもなければ憂鬱な足取りでもない。しっかりとした足取りで、楓は歩き出した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年03月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年03月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年03月12日 11時00分
