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FEAR THE FORCE:変異-METAMORPHOSE
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鬼河内萌は萌らしいやり方で、自失状態の生徒たちの目を覚ましていった。
まずは運動部のグラウンドだー! と屋外に飛び出し、
「カモン☆ ウェイク・アップ!!」
などと彼らの口に次々と、カレーのスパイスとして使っていたブートジョロキアパウダーを投げ込んでいくのである。それはまるで赤い悪魔、強烈無比の刺激が彼らの口中で爆炎を上げる。
「うわっ! なにこれっ!」
「辛っ! かっらー!」
「辛いよー!」
効果てきめん! 見たか、これが寝た子を起こすスパイシーパワーだ。夢見がちなうっかりさんたちは辛みとともに悪夢(たぶん)から現世に引き戻されていく。実際に火炎が出たりはしないが、火を吐いている気持ちのボーイズ・アンド・ガールズも多いことだろう。ブートジョロキアパウダーは爆弾、それも、猛烈なる辛み爆弾なのである。
ところが萌がある程度駆け巡ったところで、
「あらら?」
スパイシーボムを投じるより前に、目を覚ます人たちがでてきはじめた。彼らは三々五々気がついて、今まで何が起こったのか理解できない様子できょろきょろしている。覚めたことを心から惜しんでいる者も少なくなかった。
あのチャイムの効果は、長時間続かないの……?
焔を振りまく辛み天使(ホット・エンジェル)を名乗ろうと思っていただけに、ちょっと残念……と萌は肩を落としかけたものの、いやいやいや、無事に戻ってこれるならいいんだよ、と気を取り直していた。
だがこれで終わりではなかった。
まもなくして二度目のチャイムが鳴ったのである。不吉に、長く、重く。
そして、
「ボクのブートジョロキアパウダーが……敗れた!?」
認めたくない、しかし認めざるを得ない事実に萌は直面したのだった。
なんと、ブートジョロキアパウダーで目を覚まさせた生徒まで、みずから望むようにして、再びあの、生ける屍のごとき状態へと戻ったのである。同じ夢を見ているのか、違う夢に入ったのかは知らない。けれどそれは一種の逃避行動だと萌は見た。
これは元を絶たねば意味がない――ここに至り、萌ははっきりと思うのである。
二度目の鐘が鳴った。
夜海霧楓は息を止めて、これが鳴り止むのを待つ。
予想通りだった。窓から階下を調べて楓は知った。一時的に目覚めた生徒が、またあの忘我の状態になっている。DVDの再生中、うっかりリモコンを押してしまいチャプターの頭に場面が飛んでしまったのに似ている。
二度目も無事だったが、と楓は思った。
もしあれが三度、四度と繰り返されればいつか落ちてしまうかもしれない。
やはり、急ぐべきだろうな――。
彼は移動しつつも、途上における蟲との関わりは避けた。前と違って、彼らが塞いでいる場所を通らぬ限り襲われないということは学んだものの、それでも徹底して隠密行動をはかり、目撃されないよう警戒した。物陰、遮蔽物を利用するのはいうまでもなく、ときには廊下の道を避けて窓の外にしがみつき、校舎の外壁を伝うことすらした。
――仮に戦闘にならなくても、連中の目が、監視カメラの役割を果たしている可能性はある。
それが楓の読みだ。どうあっても黒幕には、自分が接近していることを悟られたくない。
元を絶たぬ限り、この現象に終わりはないと楓は考えていた。いくらバケツやたらいで受けようと、蛇口を閉めぬ限り水はあふれ続けるのだ。そのためには、不意を打つのが確実だろう。
このときも、楓は三階の窓から身を躍らせ、窓の上のわずかなスペースに両足をかけながら外壁を進んでいた。しかも上階の窓から目撃されるのを避けるよう、身をかがめて。
苦しい姿勢ではあるが、傭兵時代にこういった訓練は積んでいる。ただし訓練とは違って、足を滑らせれば運が良くて骨折、運がなければそれまでになってしまうことだろう。まだ土の下に眠る気はない。慎重にいきたい。
「このまま屋上まで行かれるのですか?」
さしもの楓も、これには思わず手を滑らせそうになった。
すぐ頭上、窓の外から少女の白い顔が覗いているのだ。どこか湿り気のある笑い声とともに、真上から楓を見おろしている。緋色が飼った長い髪が垂れ、楓の頬をくすぐっていた。麝香に似た濃い香りがした。
「あんたは、誰だ?」
敵ではない、そう直観的に楓は思う。敵であれば、わざわざ声を掛けてきたりせず、すぐにこちらを始末するはずだ。
少女は、楓の問いにはすぐに答えず、
「んふふふふっ」
とチェシャ猫のように謎めいた笑みを浮かべた。そういえば彼女はどこから現れたのだろう。窓が開く気配はなかったはずだ。なにもない空間から忽然と出現したと言われても驚かないだろう。
そんな楓の心を読んだのか、たまたまか、にちゃり、と唾液をすするような音を立てた後、彼女は黄金の瞳をすうっと細めた。
「お初にお目にかかります。わたくし、胡乱路秘子と申します」
「俺は夜海霧楓、じっくり自己紹介するのはまたの機会にしたいもんだ。で、その胡乱路女史が俺に何の用かな?」
けれども秘子は、さっと髪をかき上げただけで質問に答えない。かわりに、言った。
「ご存じですか、夜海霧さん? あの鐘の音で自意識を失った人が、どうなっているのか?」
「夢でも見てんだろ」
「近いですが、少し違います。あの方々は、もうひとつの『現実』……無数に存在する別の、理想的な世界に移動しているのですよ。短い時間だけですけれどね」
「だったら同じだ。都合のいい夢を見ているだけじゃねーか」
「おや冷たい言いようですね。夜海霧さんは、そんな世界に興味がないのですか?」
「逆だね。過去を変えたい、もっと理想的な自分になりたい……そんなことは、何十回、何百回、何千回と願って願って、願い続けてきたんだよ、俺は。それでも
ただの一度も
結末の変わらない夢を見続けてきた。今だって、今朝だって、見た。そんな俺が……今さらそんな誘いに乗ると思うか?」
楓は唇を噛みしめていた。血がにじむほどに、強く。
そんな楓の頬を撫でるように、音もなく白い手がさしのべられた。
秘子の手だ。
「私のいるこの窓から入って下さい。この教室からなら、あとは屋上まで一直線です」
楓は無言で秘子の手を握った。氷のように冷たい手だった。
無人の教室に這い入ったとき、秘子はすでに、ふわっと空中を滑るようにして教室の出口に向かっていた。
「では、ごきげんよう……」
そして出て行く。んふふふふっ、と含み笑いを残して。
秘子の姿が消えても、笑みだけはまだ、その場に残されているうような気がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
FEAR THE FORCE:前哨
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
21人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月22日
参加申し込みの期限
2017年01月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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