【ホワイトデー】学生達のWhite Day!｜リアクション

【ホワイトデー】学生達のWhite Day!

【ホワイトデー前】

　乃木成美はスーパーのカゴ片手にムッツリと思案に暮れていた。

（先月のお返しどうしようかな……）
　料理が得意な成美はスーパーにも行き慣れている。今日だってそもそも夕食の材料を買いに来たのだ。けれども眼帯のスラリとした男子高校生がスーパーのカゴを持って思慮深く立っていれば、否が応でも目立つ。トキメキを忘れかけた主婦達の熱い視線を浴びながらも、成美はそれには全く気付かなかった。
　最近の彼の頭は仲村渠鳴へのお返しでいっぱいだったのだ。

　バレンタインに鳴から手作りチョコを貰った成美。その時に自分も贈り物をしたのだが、やはりホワイトデーは『彼女』にお返しをしたかった。
　『』でくくったのは、文字通りの意味だから。そう、彼らは今月のひなまつり、めでたく恋人同士になったのである。

　『彼氏』として嬉しく迎えられるホワイトデー。鳴の好みはなんだろうと思いながら何とはなしに店内を歩いていた成美。燦然と輝く赤い棚の前で足を止めた。
（そうだ、苺飴にしよう）
　成美の目の前にはスーパーのライトにキラキラと照らされた苺があった。ヘタを取った苺を爪楊枝でさして、煮溶かしたザラメにつけて固める。きっと綺麗な苺飴が出来上がる。
（……どうせなら、鳴とお昼はお弁当を一緒に食べて、デザートとして出してあげようかな）
　そうなるとお弁当の献立も考えないと。
　だし巻き卵にほうれん草と人参のおひたし、ウィンナーに、胡瓜とプチトマトのサラダ。後は１口サイズの小さなオニギリも用意しよう。女の子サイズの方が鳴も食べやすいからね。
　どこまで鳴仕様の思考が出来るのだろうこの男は。成美は恋する瞳でふふと微笑み、スーパーのオバチャン達をイケナイ道に堕とすのだった。

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