【ホワイトデー】学生達のWhite Day!｜リアクション

【ホワイトデー】学生達のWhite Day!

　たくさんの個性豊かな生徒達で賑わうお菓子パーティ。その席で、恵御納夏朝はわいわいとした雰囲気を楽しんでいた。

　目の前に盛られたお菓子は、クッキーだったりキャンディだったりなぜか煎餅だったりとバラエティ豊かだ。きっとののこ達はバレンタイン、びっくりするくらいたくさんの生徒達にチョコを配り歩いたのだろう。お菓子の山を見ているだけでも楽しいパーティだ。
　夏朝は置かれているお菓子を食べながら、のんびりと周囲を見渡す。すると何だか大変そうな友人の姿。
（そうか、今は花粉の季節……）
　夏朝は気の毒に思いながらその子に近付いて行った。

「大丈夫？　串田さん」
　夏朝はくしゃみを連発している串田美弥子に声をかけた。
「だ……いじょ……へぷし！」
　余り大丈夫じゃなさそうな様子で、美弥子が振り返った。その鼻は真っ赤だ。
「これホワイトデーのクッキーなんだけど……体調良くなったら食べてね」
　夏朝は美弥子の目の前にそっと友クッキーを置いた。
「ありが……と……ﾌﾟｼｯ！　あの……ね、私もクッキー焼いたから持ってきた……」
　懸命にくしゃみを堪えながら、美弥子も小さな包みを夏朝に渡した。
「わ、ありがとう。　……お大事にね、串田さん」
　夏朝はありがたくクッキーを頂くと、これ以上美弥子のくしゃみが出ないようにそっとその場を離れた。

　夏朝は別の席に、犬杜初の姿を見つけた。マカロンを頬張りながら、隣の男子とお喋りをしている。
（良かった、楽しそう……）
　フツウに溶け込む姿にほっとしながら夏朝は初の許へ歩いていった。
　ポンと夏朝は彼女の肩を叩く。茶色のツインテールが振り返った。
「初ちゃん、コレ。ホワイトデーのお菓子なんだけど」
「え？　ういに？！」
　驚きに初はマカロンを落としかけ、慌ててパクリと口に放り込む。そんな元気な姿を微笑ましく思いながら夏朝は初にクッキーを渡した。
「あ……ありがと！」
　瞳をキラキラさせている初に夏朝は軽く微笑むと、自分の席に戻っていった。

（まだ、クッキー余ってるな……）
　夏朝は多めに作ってきて良かったと思いながら、周囲の生徒達にもお裾分けをした。するとそこにヒョイと志波武道が顔を出した。
「美味しそうダネ☆」
「あ……先輩。先輩もどうぞ」
　生徒会長の登場に少し驚きながらも、夏朝は武道にクッキーを勧めた。
「おー、サンキュ」
　武道は嬉しそうに受け取り、代わりに鞄からジャムを取り出した。
「俺はコレ☆　お茶のお供にも是非どうぞ。クッキーにつけても美味しいカナ？」
「あ、いいですね」
　夏朝は武道とお喋りを楽しみながら、カフェオレ味のミルクジャムをつけ、自分のクッキーをさくりと食べた。
　クッキーの味はまた変わり、甘く柔らかい。紅茶に口をつけながら、夏朝はほうっと幸せそうに息をついた。
　今までで一番楽しいホワイトデー。来年もこんな風に平穏に過ごせたらいいな。そして。
　夏朝は談笑している生徒達に視線を移し、穏やかに笑った。
（皆の先々に……幸せがありますように！）