ほしゅうじゅぎょう　が　あらわれた！｜リアクション

ほしゅうじゅぎょう　が　あらわれた！

■後木真央のフシギな補習授業
　最初に言っておこう。
　今日の真央ちゃんは無敵である。
　誘惑に負けてふらふらしちゃう真央ちゃんや、フシギ現象にばたばたしちゃう真央ちゃんや、なんならカテナカッタモードの真央ちゃんは今回ご覧頂けない。
　その手の真央ちゃんファンにはまことに申し訳ないが、今日は無敵モードの真央ちゃんをお楽しみ頂きたい。
　ということで早速語ることにしよう。

　時は戦国学歴時代。
　学生服という鎧を纏い、教育制度という馬を繰り、ペンという名の刀をとった真央ちゃんという侍女子高生がおりました。
　真央ちゃんはお昼までお布団と仲良くしたりゲーム三昧できゃっきゃする日々に忙しくうっかり単位という敵兵に取り囲まれてしまった。
　しかし彼らへ平等に託された補習授業という最後の武器。これさえあればどんなピンチもくぐり抜けることができるというが……。
　おっとここで伏兵だ。フシギの影が真央に誘惑を仕掛けてくるではないか。
　背後に現われ『ひと狩り行こうぜ』と囁きかける不気味な影。しかしここは天下御免の真央ちゃんである。
「アハハハハ！　真央ちゃんの読みを甘く見るななのだー！」
　ていやーと言いながら目つぶし（目はあるのかな？）を食らわせて、『ひっしょう』と書かれたはちまきを締め直した。
「追試のときもセンセが分身して邪魔しに来たのだ。今度は真央ちゃんが分身するにきまってるのだ！　アハハハハハハハー！」
　血走った目で天を仰ぐ真央ちゃん。
「三人寄れば文殊の知恵というのだ。いっそ分身して補習をかわりにやってもらえば……ハッ、だめなのだ！　まずは学校にいくのだ！」
　そう。学校に行かねば補習授業は受けられない。っていうか学校に行かなかったから補習授業を受けているのだが、その辺はほら、ね？　終わりよければ全てよしっていうじゃあないですか。
　ふらふらしながら通学路をゆく真央ちゃん。
　そんな彼女を誘惑すべく、道ばたにひょいひょい現われた影がきのことたけのこのチョコを交互に食べて見せたりもう帰ろうよと誘ってくるが、寝起きでテンションがおかしくなっている無敵モードの真央ちゃんには通じなかった。
「ウフフー。どんなおいしいお菓子も楽しいゲームも、大手を振って歩けなくなる恐怖に比べればへのかっぱなのだ。おじいにマストから吊るされて外洋を疾走するのはいやなのだ……」
　なんか影じゃない別のものが見えているらしく、真央ちゃんは恐怖にガタガタ震えながら通学路を歩いていく。
　見るからに大丈夫じゃあない有様だったが、この後なんとか補習授業を受けて進級を許されたというハナシである。