【星幽塔】第九階層　星が飾ったカナーリス｜リアクション

【星幽塔】第九階層　星が飾ったカナーリス

　閑話休題だが。
「ピエロット」
　真剣な顔をしたロベルトにピエロットは首を傾いだ。赤毛に、整った顔立ち――そして何時にない真摯な瞳は眠たげな青年をしっかりと見据えている。
「一つ、頼みが……」
　その瞳から感じられる情熱は、彼が時折口にする芸術(うつしいおとこのこ)に似ていて。
　クッションを抱きしめたピエロットはその様子に更に首をこてりと傾げて「んー？」と問い掛けた。
「ピエロットの力を、僕に使って欲しいんだ」
「僕の力を～……？」
　ピエロットの力はある意味で特別製だ。勿論、予想通り、彼はアステリズム。
　金の髪を揺らした彼の能力が『幸福な夢を見せる力』であると知ったロベルトが望んだのは―――……

『ロベルトォ』
　愛らしい少年が、すり、と頬へと擦り寄った。
　バレンタインのチョコレートを手に、恥ずかし気に頬を赤らめる愛らしい少年たち。
　その夢は、ロベルトにとっては文字通り『幸福な夢』であった。
「はぁああ～～～～……美少年がいっぱいだ……幸せだ……！」

　その夢に悶える様に小さく笑みを溢すロベルト。
　瞳を丸くして首を傾いだピエロットはサンマさんで安らぎを与えてくれる瑠樹を顔を見合わせた。
「幸せそうだねぇ」
「そうだねえ～……幸せなのはいいことだぁ……くぅ……」
　ピエロットさん、と揺さぶる瑠樹に「寝ちゃったァ」と呑気な青年は返す。
　夢から覚めたロベルトの本気で堪能したのだという『真顔』はピエロットが見た誰よりも決意が決まっていた……。

「これで頑張れそうだ」

　疲れたらいつでも――君になら力を使うから、と励ます様に言ったアステリズムの気持ちは……。