「今度は海なの~! レッツゴーなの~!」
明るいステラの声によって、誘われ……いや、落ちていったという方が正しいのかもしれない。
あ――と長い雄叫びの様な声をあげて、虚空より落ちた
龍目 豪の眼前には青があった。
正確に言えば『鮮やかな青一色の海』だ。
燦々と降り注ぐ陽光と共に青色は受け入れる準備は万全だと告げているかのようだ。
「ちょ、待っ」
思わず唇から飛び出したのは在り来たりな驚愕な言葉であった。
水面とこのままぶつかればどうなるか。下手をすれば……さぁ、と血の気が引いたのは当たり前だったのかもしれない。
「ステラ!」
彼女を呼べど、楽し気な笑い声が聞こえるだけだ。
(ぶつかる――――!?)
「グキりは禁物だよ~!」
漫画のような効果音と共に軟着陸を果したのは海面ではなく、船の上。
先に到着していたのだろうか、楽しげに笑った
入江 みつびは待ってましたという様に彼を迎え入れた。
「ようこそ、第九層! って、私が言う事じゃないのかも?」
くすくすと笑った彼女は豪くんと手を差し伸べた。星幽塔は第九層に差し掛かる。
階層によってさまざまな姿を見せるが、今回は周囲を見渡しても海だけ、なのだろうか。
「んにゃ、海以外もありますよーて」
眠たげに、誰かが言葉を漏らす。欠伸交じりなそれは今から始まる冒険を感じさせないものであった。
くるりと振り返る豪の前にはふんわりとした金の髪を束ねた青年が立っている。
よく見れば羊を模した角を生やしているようだ――彼がこの階層のアステリズムなのだろうか。
青年は「いらっしゃいませだー」と柔らかに笑い、大海原に吹く風を吸い込む様に両手を広げた。
「ぼくはこの階層の、なんだっけー? なんか、えらいひとです」
えへん、と胸張った羊の青年は自身の名を『ピエロット』と名乗った。
たどたどしく話す彼曰く、この階層のオーブは消えているそうだ。
「ピエロット、私たちは何をすればいいの?」
「んーとね、オーブを灯すのかなあ……ふああ、でも、ぼく、眠くって……」
役に立たない羊である。
彼から聞き出した話を総合すれば、この第九階層は大海原に幾つもの島が存在しているらしい。
小さな島々は曰く、宝島であったり、無人島であったりと様々。海洋国家と呼ぶにふさわしい。
そして、この船は――交易船『アルゴー』という。
「つまりは、俺たちはアルゴーに乗って、どこかに咲いてる黄金の花を探せばいいってわけか!」
「そうともいうねえ」
それ以外に何というのか。
黄金の花は星の力に反応して花開く。眠たがりのアステリズムは自分一人では花を探せないと小さな欠伸を漏らした。
「黄金の花ってどういうの?」
「んーとねー、かわいくっておしゃべりする女の子ーかなあー。名前はないよお」
この海原の何処か、洞窟に咲いた幻の花をこの交易船『アルゴー』の機関部に差し込めばいいそうだ。
その理由と言うのも……
「んとね、悪影響があるんだなあ。交易船『アルゴー』と黄金花は二つで一つなんだよう。
でもねえ、なんでか黄金花が枯れちゃってー、海にもたくさんの『かいぶつ』ががおーってしてるんだあ」
のんびりと突拍子もないことをいう羊である。
その言葉に誘われたように船に覆いかぶさったのは巨大な魚影と――
「く、くじら……!?」
日下部と申します。よろしくおねがいいたします。
龍目さん、入江さんはガイドへのご出演ありがとうございました。
大海原でトレジャーハンターになりませんか、という第九層目です。
ステージ
辺り一面海に囲まれたステージ。周辺には海洋国家が存在しますが、果てまで蒼く、その先は人知れず。
基本は船での交易を中心としており、海上には様々な船があります。
その中でもひときわ大きな交易船『アルゴー』。皆様の足となるとても特殊な船です。
交易船『アルゴー』
機関部に黄金花を添えることによって大海原の果てまで行くという船。
現在は機動が落ちているため近海での行動のみに制限されています。
言葉足らずなピエロット曰く、オーブこそ黄金花がアルゴーに差し込まれたときに灯るものだそうです。
冒険へ出かけましょう
※行動はおひとつ(もしくはおふたつ)に絞っていただけますと幸いです!
■1■ 1の島へと出かけてみる。
非常に交易豊かな島です。島々に名前はないのかピエロットには1の島と呼ばれています。
魚人を模した人々が行き交い非常に賑わっています。情報などもこちらで得れるようです。
冒険終了後、こちらでお買い物などもできますよ!
■2■ 2の島へと出かけてみる。
無人島。森林に覆われた場所です。どこにあるのかは分かりません。
情報は少ないですが、1の島の商人たちならば何か知っているかも……?
森林には様々な『かいぶつ』が存在しています。『かいぶつ』を倒しながら黄金花が咲く洞窟を探してください。
黄金花は非常に脆いものですが、特殊な存在であるようで、来るべき人が現れれば美しく咲くそうです。
■3■ 巨大化した『大きなかいぶつ』を倒す!
出かけるにも海には危険な影がたくさんあります。ピエロット曰く『かいぶつ』はアルゴーを見かけると襲い掛かってくることでしょう。
そんなアルゴーを護衛し、無事、島々へと運んであげてください。
冒険終了後も海洋国家を見て回ることはできます。
この階層からでることはできませんが、「こんな島があるかも?」と推測してみてください。
きっと、あるはずです――
この階層にいる人
■ピエロット
この階層のアステリズム。
ふんわりとした金の髪をひとまとめにし、羊の角を生やした眠たげな青年です。
幸福な夢を見せる力を所有し望む相手に見せることが出来ますが、あまり使用しません。
アルゴーの船長を務めていますが、基本的にはのんびりとお昼寝をしています。
■黄金花
ピエロット曰く「生きてしゃべるかわいい女の子のお花だよお」ということです。
来るべき人――星の力――に反応し、その姿を現すそうです。
■商人さんたち
1の島にいる商人さんです。魚人のような人たちです。
みんな気さくでいい人ですが、商売と情報については少し思うところがあるそうです。
■空鯨
大海原に存在する巨大な影。非常に強力な力を持ち、アルゴーを常に狙い続けています。
ピエロット曰く巨大ながおー。
■空イルカ
乗りこなすのは中々難しいですが、移動用にも使用される翼の生えたイルカです。
アルゴー周辺に人懐っこい空イルカたちが存在しています。
■ステラ
1の島でうろうろと。冒険はご一緒しません。
「みんな、いってらっしゃいなのー!」
星の力
星幽塔の中では、ひとりにひとつ、不思議な光が宿っています。
剣士の光(青) :剣技が上手くなる
闘士の光(橙) :腕っぷしが強くなる
狩人の光(紫) :弓矢が強くなる
盗人の光(金) :普段より勘がはたらき、器用になる。
(例:宝物を見つけたり、鍵開けが得意になったりする)
魔火の光(赤) :火の魔法を使える/星の光が宿った武器が火属性になる
(例:火の玉を飛ばす魔法が使える、刃に炎を纏ったりできる)
魔水の光(水色):水の魔法を使える/星の光が宿った武器が水属性になる
(例:水流を鉄砲の様に飛ばす魔法が使える、刃に水を纏ったりできる)
魔風の光(緑) :風の魔法を使える/星の光が宿った武器が風属性になる
(例:つむじ風を起こす魔法が使える、刃に旋風を纏ったりできる)
魔土の光(茶) :土の魔法を使える/星の光が宿った武器が土属性になる
(例:土礫を投げつける魔法が使える、刃に砂を纏ったりできる)
癒しの光(白) :自分や他者を癒すことができる
騎士の光(桃) :乗り物(生き物や機械類。大きさは馬程度まで)を巧みに操り戦う
星の力を小型の乗り物に変化させることもできる。
ペガサスなど架空の生き物、一般的な装備などもOK。
(例:炎を吐くチビドラゴン、手綱や鞍のついた馬)※機銃のついたバイクはNG
※アクション例
【騎士の力/剣】馬を巧みに乗りこなす。※この場合乗り物は別途調達
【騎士の力/馬】星の力を馬として実体化し、巧みに乗りこなす
呪術の光(黒) :呪いの力で対象を弱体化させる
(例:体力を奪う、敵の攻撃魔法を弱くする)
光は体に宿ったあと、その者にあわせた形状に変化し、身につけることになります。
(例:指輪、体に埋め込まれる、武器になっている、愛用の武器の装飾に)
※星の力のサポートは、星の力が宿ったアイテムを所持していない時は受けることができません。
※武器(剣、弓、斧、杖など)はひとりひとつ。双剣など2つで1セットのものなども可。
※星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようです。
(このシナリオの中では変化しませんので、今回はひとつだけ選んでください)
※もれいびは「星の力」と「ろっこんの力」の両方使えます。
※ひとは「星の力」を使えます。
※塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
※もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
どの星の光をまとい、その光がどんな形になったかを
アクション冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のようにお書きください。
衣装にこだわりがあればそれもお書きください。