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寝子島高校
FEAR THE FORCE:変異-METAMORPHOSE
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歪んだ鐘の音を耳にしたのは、学内の人間に限らない。
寝子島高校の周辺、風に乗って住宅街まで音は伝播した。
朝鳥 さゆる
は窓を開け、
振り返って彼を見つめた。
ベッドから半身を起こし、彼は目をすがめて光を見ている。さゆるの背後から差す、日曜午前中の光を。
さゆるはぞくりとした。服をやすやすと貫き肌すらも破って、心臓を直接見ているような彼の視線に。
餓狼のような目をした男。眼差しだけでさゆるを射殺せる男。
彼は名を、
片篠藍人
という。
数ヶ月前、世間的にはクリスマスイブと言われる夜のことだ。
さゆるは豪華客船『夜の女帝号(ナイト・エンプレス)』内のバーで藍人と再会し、まるで異世界のような悪徳の巣窟に囚われていた彼を、そこから連れ出すことに成功していた。
あの夜『アンダーグラウンド・バー』において、にわかに乱闘が発生した。うわべの優雅さはたちまち剥がれ、投ぜられた椅子によって、カウンターに並べられたボトルが爆竹のように次々とはじけた。これに乗じて、さゆるは藍人の手をとりバーを脱したのだ。
とはいえ危ないところだった。暴力が彼らに襲いかかったためである。悲鳴が起こり何かが破裂するような音がたてつづけに響き耳を聾した。
シャンパンのボトルが、藍人の頭部にも振り下ろされていた。
だが、血まみれになりながらも藍人は倒れなかった。彼は振り返るとさゆるの盾のように、さらなる追撃から彼女を護りきった。そうしてふたりはついに、上階への階段に到達したのだった。
さゆるは無傷で終わったものの、彼は酷い状態だった。それでも、息があっただけ幸いだったのではないか。
逃げるというさゆるの判断がいま少し遅れていれば、階段にたどりつくことすら不可能だったかもしれない。いや、そうなったとしても、おそらく藍人は彼女だけは逃がすことに成功しただろう。けれども自身は人身御供のように、禍の濁流に呑まれていたのではないか。
そうなっていたとしたらさゆるはおそらく、二度目の喪失を味わうことになっていたはずなのだ。
だからさゆるは感謝している。
こうしてまた、藍人と暮らせることを。
たとえ彼の記憶が、失われたままであったとしても……。
「さゆるさん」
ふっと藍人が微笑んだ。すでにあの、刺すような視線は消えている。現在の彼の表情は、むしろ柔和とすらいえる。
「おはよう。来てたんだね。少し、寝過ぎてしまったみたいだ」
穏やかな……穏やかすぎるほど穏やかな口調で藍人は言った。支度したらお茶を入れるよ、と告げてベッドから滑り降りる。すっくと立つ姿はほとんど裸に近い。けれども彼にはまるで恥じる様子がなかった。目の色は澄んで、少年のように無垢な印象だ。
あの夜、どうやって下船したのかさゆるは覚えていない。
ともかく彼女は雪の降る中、傷だらけの藍人の身体を引きずるようにして、なんとか彼をその隠れ家まで連れて帰った。虫の息ながら彼が示した方角に迷いはなく、難なくこの一室にたどり着いている。
最低限の家具しかない殺風景なマンションだった。
安全圏にたどり着いたと知ってか、まもなく藍人は昏倒した。そのまま高熱を出し、あとはうわごとと、おぼろげな正気の間を行ったり来たりしたのだった。
病院を頑なに拒む藍人のため、さゆるはつきっきりで彼の手当てをした、傷を拭い、消毒し、包帯を替え続けた。彼を永遠に奪われることへの恐怖に駆り立てられるごとく、文字通り我が身を削って看病を続けたのだった。
その甲斐あって数日後、ついに藍人の熱が下がった。起き上がった彼の肌に血の気が戻っていた。
肋が浮くほどにやせ衰えた彼の第一声は、
「ここはどこ、ですか」
だった。
自分の名前、現在の状況、これまでのこと、いずれも思い出せなかったのである。無論、さゆるのことも何一つ知らなかった。あたかも、最初から互いには、縁もゆかりもなかったとでもいうかのように。
さゆるが悲しんだこと、それは言うまでもないことだろう。
けれども同時に、彼女は密かにそれを喜んだ。
――もう彼を失いたくない。
その願いを達成する方法に気がついたからである。
記憶がないのなら、作ればいい。『創れば』と書いたほうが勘定に合うだろうか。
着替える前に藍人は、さゆるの頬に軽く口づけた。
「今日も綺麗だよ」
と言って、くすぐったいように笑った。
さゆるが藍人に教えこんだのは、『彼が自分のことを深く愛している』という偽りの記憶だった。この数ヶ月、何度もそのことを彼に言い聞かせた。あるときは言葉で、あるときは身体を使って。
――愚かしいことくらい、判っている。でもどうすることもできなかった……。
口づけを返しながら、さゆるは長い睫毛を伏せた。
他に、どんな方法があったというのだろう?
これが『現実』だ。さゆるにとってはこれこれそが、最も好ましい理想の姿なのだ。
さゆるは、空気に混じるタンジェリンのような香りを胸に吸い込んでいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
FEAR THE FORCE:前哨
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
21人
参加キャラクター数
21人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月22日
参加申し込みの期限
2017年01月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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