FEAR THE FORCE：変異-METAMORPHOSE｜リアクション

FEAR THE FORCE：変異-METAMORPHOSE

　――五回鳴ったことになるのか。
　校舎から出て、如月庚は空を見上げる。
　屋上にたかっていた蟲たちが、山に帰る烏の群れのように、その場を離れ空に消えて行くのが見えた。もう、あそこに駆けつける必要はないのではないか。

　一度も『現実』に呑まれなかったのは、今が充実しているということだろうか。
　それとも、理想とするものがないだけのことだろうか。
　庚は少し考えたがすぐに、考えるまでもない、という結論に達した。

◆◆◆

　太陽が顔をのぞかせた。
　ほぼ南中した日輪は、影らしい影を生み出さない。
　開き放たれた校門から、転がり出るようにして逃げていく人影がひとつあった。
　背の高い女性だ。両腕を交差させて背をかがめ、顔を隠すようにしている。
　ちょうど校門のところで、彼女は胡乱路秘子を追い抜かしていた。
　秘子は何も言わず、ただ口を半開きにして、にちゃりとした音を立てたのみである。

◆◆◆

　朝鳥さゆるは暗い眼をして窓の外を眺めている。
　寝子島高校の学舎が見えた。
　その屋上付近から、黒い群れが空に向かって消えて行く。
　それが一通り済んでのち、
「……あ」
　さゆるは声を洩らし、手を伸ばしていた。
　最後に一条、細長いものが飛んで行ったように見えたのだ。
　届くはずもないのに、それに触れたいとさゆるは思った。

　――『FEAR THE FORCE：変異-METAMORPHOSE』　了
　

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　ご参加いただき本当にありがとうございました。
　マスターの桂木京介です。

　今回もまた、大変にしんどい執筆作業でした。
　とりあえず読み直しと更正作業の前にこれを書いているのですが……もうなんだか頭グラグラの状態です。
　しかしそれは、皆様のアクションが力強かったから！　そうして私も、それに全力で応じたから！　と思って下さい。
　疲れましたが、楽しい仕事でした。

　シリーズ第三弾にして完結編は、もうちょっと早いペースで出したいと思っております。思っているだけ、かもしれませんけれども（汗
　
　それではまた、次回のシナリオでお目にかかりましょう！
　お待ち申し上げております。
　桂木京介でした。

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