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中学生の期末テストのあれやこれや<物語編>
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津島 直治
は旧市街を歩いていた。足取りは重い。周囲から楽しそうな笑い声が聞こえると自然に足が止まる。生気が抜け出しそうな溜息を吐いた。
見上げる空は青かった。雲の一つも見られない。
――空の青さが目に沁みます。
眼鏡の中央を押し上げて歩き始めた。
参道商店街から少し離れた木造の店の前で立ち止まる。数回の呼吸を経て中に入っていった。
柔らかい香りが直治を包み込む。太い梁の合間から吊るされた幾つもの淡い照明が店内に落ち着いた雰囲気を醸し出していた。壁の一部と化した無数の書籍は図書館のようでもあった。
静かな店内をゆっくりと歩く。
「おかえり」
カウンターの奥から声を掛けられた。
店主の
柏村 文也
であった。鶯色の着流し姿でコーヒーカップを磨いている。
カウンター席に着いた直治は小さな声で、ただいま、と口にした。
「ナオ、浮かない顔だな。暗いとも言えるか。切れそうで切れない蛍光灯みたいな感じ?」
「……そこまで顔には出てないよね?」
「顔に出さないようにしているみたいな言い方だな。結局は暗いってことだろ?」
文也は爽やかな笑みを浮かべた。手にしていたカップを食器棚に収める。
「まあ、少しは」
「そう言えば今日は期末テストの最終日だったんじゃないか。出来としてはどうだ?」
直治は唇を引き結ぶ。やや視線を下げて顔を曇らせた。
その態度を見て文也は納得した表情を浮かべる。
「ま、テストなんてもんは赤点さえ取らなきゃいーんだよ。まさか、赤点コースなのか!?」
「赤点はない、と思う。家庭科は少し自信がないけど」
「なんでだろうな。こーんなに家庭的な俺が側にいるっていうのに」
わざとらしく小首を傾げる。直治は苦い笑いで見ていた。
――叔父さん、ありがとうございます。重苦しい気分が少し軽くなりました。
「例えテストの点数が悪くても、ちゃんと大人にはなれるから安心しな」
文也はひらひらと手を振って背を向ける。コーヒーミルで豆を挽く音がした。香ばしい匂いが漂い、直治は大きく息を吸った。
湯が沸き立つような音がする。間もなくして文也がにこやかに振り返った。白いソーサーに乗せられたコーヒーを差し出す。受け取った直治はカップの中身を覗いた。黒々とした様子に心配そうな表情を見せる。
「そんな顔しなくても大丈夫だ。ちゃんと砂糖は入れてあるよ」
「別に、そんなこと、気にしてないし。そんな子供じゃないし」
直治は背筋を伸ばしてカップを持ち上げる。そのまま飲むのかと思えば、少し口を尖らせて息を吹きかけた。子供っぽい仕草に文也は堪え切れずに目で笑う。
カップの縁に口を付けて飲んだ。
「にがっ、え!?」
驚く直治の前で文也は噴き出した。楽しくて仕方がない、という風に声を上げて笑った。
「……叔父さん、砂糖が入ってないんだけど」
「あ、あれー、入れ忘れたの、かな?」
「そんなに笑ってたら誰も信じないよ」
「ナオの、せいだろ。子供全開で、大人ぶるとか。お、俺の腹筋が、笑い過ぎて、切れるだろ」
目に溜まった涙を指先で拭う。笑いのピークは越えたようだった。直治は不機嫌な顔で睨み、おどおどした目でコーヒーを飲んだ。苦々しい顔で堪えていると、また笑い声が聞こえてきた。
「だ、だから、その顔は、やめろ」
静かに笑いがぶり返した。
二人の間に穏やかな時間が流れる。今日は珍しく客の姿がなかった。
文也は自分用に淹れたコーヒーを、ゆっくりと味わうように飲んだ。悠然とした態度には大人の風格が備わっているように思えた。
「……叔父さんが学生の頃、テストは好きだった?」
「俺か、決まっているだろ」
「好きとか?」
「まさか、テストなんて大嫌いだよ。家でテスト勉強をしたこともなかったな」
文也は残っていたコーヒーを飲み干した。
「でも、それだと内申に響くよね」
「なんで響くんだ? 常に成績は上位をキープしていたからな」
「え、なんで勉強しなくて上位なの? それ、ウソでしょ」
直治は真剣な顔で身を乗り出す。
「本当の話だって。確かにテスト勉強はしなかった。でもな、学校ではちゃんと授業を受けていたからな」
「学校の授業だけで上位をキープできたってこと?」
「その通りだよ」
直治は文也の顔をじっと見る。相手はおどけた態度で顔を突き出した。
――顔だけでは全くわかりません。本当に叔父はテスト勉強をしないで上位をキープできたのでしょうか。
本当の話だとすれば、次のテストに備えて叔父さんに勉強を教わることができるのですが。日頃の態度がアレだけに、すぐには信じられません。
直治は一段と表情を引き締めた。
「……その話は信じていいんだよね?」
「俺は嘘吐きじゃないよ」
「それがすでにウソなんだけど」
早い切り返しに文也は舌を出した。
「嘘という名のスキンシップだよね」
「ちゃんとしたスキンシップの方がいいよ」
横を向いた直治はあからさまに溜息を吐いた。文也は両手を軽く上げて、わかったよ、と笑いながら言った。
「まあ、テスト勉強の話は本当だ。証拠を見せるわけではないけど、勉強で何かわからないところがあったら、俺を頼ればいい。その時には喜んで力になるよ」
「本当に頼るよ」
腰が浮き上がった。直治は期待を込めて見詰める。
「いつでもいいぞ」
文也は片方の目を閉じ、親指を立てて見せる。胡散臭いポーズに座り掛けた直治が立ち上がった。
「頼るからね」
「わかったって」
押し返すような手で文也は言った。
そこに三人組の若い女性客が現れた。店内の装飾を口々に褒めて、空いているテーブル席に着いた。
「ちょっとは叔父さんのことを信じてくれてもいいのに、グスングスン」
拗ねたような言葉を残して文也は愛想よく接客に当たった。
「あの態度の変わり方も、なんだかなぁ」
それとなく後ろを窺いながら微笑んだ。
――叔父さんは嘘吐きだけど、私は嫌いではないですよ。
この気持ちは本当です。
目立たないように椅子から立った。
「……言わないけどな」
明るい表情で直治は店の奥へと歩き出した。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月14日
参加申し込みの期限
2017年01月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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