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ねこ島温泉郷の五日間
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猫たちの一日は宴会から始まる。むしろいつも宿のどこかしらの間で宴が開かれていると言ってもいい。
竈の絵が紺地に白で染め抜かれた大暖簾の向こうから漂い出すは、鰹と煮干しの出汁の匂い、焼き魚の匂い、米の炊ける匂い。
磨き込まれて艶々光る、幅がちょっとした部屋ほどもありそうな廊下の端、
小犬丸 信乃
はご飯の匂いに空色の瞳を細めた。
番頭猫から支給された法被の裾をはためかせ、大暖簾の前に足早に近づく。
「番頭殿に命じられ、御厨の手伝いに参りました」
姓名を口にしようとして、ちらりと口を押える。ここに派遣される前、番頭の老猫からくれぐれも『犬』の一文字は口にしてくれるなと口を酸っぱくして言いつけられている。厨房の猫たちは特にそれを厭うゆえと。
暖簾を分けて二本足で立って出てきた作務衣姿の板長猫に、信乃は身体をふたつに折らんばかりにお辞儀する。
「信乃とお呼びくだされ」
板長猫は仰々しく頷き、厨房に戻った。その途端、何かの魔法のように暖簾の下に幾つもの漆塗りの膳が押し出される。
「なんと……!」
驚く信乃の足元を着物姿に襷掛けの仲居猫たちが数匹、わらわらと駆け抜けた。膳をひとつずつ抱え、整列して廊下を渡って行く仲居猫たちを呆然と見守っていれば、厨房から先程の板長猫のものらしい鳴き声が響いた。
どうやら己に与えられた先ずの仕事は膳を客間に運ぶことと理解して、信乃は腕まくりをする。
「お任せを、三つくらいなら余裕でござる」
言葉の通り、膳を三段に重ねて両手で持ち上げる。こちらの膳には鶏と野菜のスープに牛肉のカルパッチョ、別の膳には鮪の刺身に鯛の解し身、人間にも美味しそうなご馳走の膳を抱え、信乃は小走りに廊下を駆ける。
艶々に磨き込まれた廊下も、迷路のように突然現れる階段も曲がり角も宙吊りの渡り廊下も、勝手知ったる道のようにどんどん行く。
途中、酔っぱらったようにぐてりとした猫数匹を両腕いっぱいに抱えて運ぶ
七峯 亨
と鉢合わせるも、
「おっと」
「これはご無礼いたしたっ」
信乃は左に亨は右に、慣れた仕草で同時に跳ねのく。
ひとりは膳を、ひとりは餅のように胴体を伸ばす猫を、それぞれに抱えたねこの旅館の人間の従業員たちは僅かの間目を合わせ、小さく噴き出す。
「お疲れさまでござる」
「いやぁ大変だ、大変だ」
亨に与えられたは旅館の常連客らしい三毛猫たちの世話。御飯の支度に始まり風呂の支度、撫でろ構え遊べとお猫様のお気に召すまま、どんな時でも走らされては留められ、散々に振り回されて一日のほとんどが過ぎる。
「御付きの秘書だか執事だか召使だか、」
今も、うっかりまたたび酒に酔っぱらったお猫様たちに命じられ、抱きかかえて温泉に向かう途中。
「全部を兼任するような大仕事だ」
亨はそれでもくすり、楽しく笑う。
気紛れの代名詞たる猫に振り回しに振り回されて東奔西走する忙しさではあるけれど、これはこれで案外良いと思える。
「なればお互い、……ぬおおお!?」
がんばりましょうご同輩、と告げかけたところで、信乃は悲鳴を上げて後ろにのけ反った。鍛えた腹筋背筋で何とか持ちこたえ、膳を死守して身を起こして見れば、一房伸ばした後ろ髪に猫が一匹しがみついている。それどころか縄登りよろしくよじ登り、弄ぼうとまでしている。
「あ、危な、って、あ、ちょ、ま俺の髪は玩具ではございませぬ!」
せめて膳を下に、と慌てる信乃を助けようと、猫たちを床に下ろそうとした亨も、けれど猫たちの抗議の声を受けた。風呂に向かえー、そうだ向かえー今すぐー、にゃあにゃあ喚く酔っ払い猫を抱えた亨に、信乃は必死の声をあげる。
「構わずっ、俺に構わず先に行ってくだされ七峯殿……!」
散々弄ばれた髪を直す間もなく、背中に猫を貼り付けた信乃がやっとの思いで辿り着いた宴会場『かつおの間』の入り口では、何故か廊下の冷たい床に白猫と黒猫が全身を長く伸ばしていた。艶やかな毛皮を交互にひたすら優しく撫でさせられていた黒髪の大人な美女が物静かな黒い瞳を信乃へと向ける。
「仙藤殿」
「小犬丸君」
初日に顔を合わせた人間の従業員は互いに会釈を交わす。
「お疲れさまでござる」
「ええ、お疲れさま」
猫を淡々と優しく撫でる手を止めもせず、
仙藤 紫
は淡く瞳を細め、身を伸ばす。両手の塞がった信乃のために『かつおの間』入り口の襖を開く。
「かたじけない」
「いいのよ」
襖が開いた途端、ふわりと蜜柑の匂いが流れ出した。猫が苦手なはずの匂いに目を瞬かせる信乃と紫の前を、
「ごめんなさい、ごめんなさーい」
食べ掛けらしい蜜柑の皮を仲居エプロンのポケットから覗かせて、
岡野 丸美
が宴会場から逃げて行く。どうやらお腹が空いた挙句、どこからかこっそり持ち込んだ蜜柑を口に入れ、挙句うっかり呼ばれるままに宴会場に入ってしまったらしい。
廊下の果てで仲居頭の猫に捕まりお小言を食らって、それでも全く堪えていないようなのんびりとした笑顔で謝るふくふく顔の少女を見守って後、信乃はそっと宴会場を覗き込む。
蜜柑の匂いに襲われて大騒ぎかと思ったが、広い『かつおの間』は然程被害は広がらなかったらしい。
「そう叱ってあげないで」
紫は仲居頭を宥め、三段積みの膳を運び込む信乃を見遣る。その背にしがみつく猫を二度見したところで、床に伸びていた白猫がぱたりと耳をはためかせた。左右色の違う瞳を細めて大欠伸をしたかと思うと、寝ぼけた仕草で紫の正座の膝を前脚で幾度か踏み踏みする。かと思えば、ぱちりと瞬きし、もどる、と『かつおの間』を向く。
席に運べということだろうと理解して、紫は白猫を抱き上げた。にゃう、と一言喚いて足にしがみついてきた黒猫も一緒に抱え、朝から宴続きな『かつおの間』に入る。
廊下よりも温かな空気に混ざって、食べ物や酒や、湯上りの猫の匂いがふわりと身を包む。小さな茶虎猫に膳のご馳走を食べやすい大きさにして甲斐甲斐しく差し出す
桜庭 円
の姿を視界の端に捕らえつつ畳を踏んだ途端、腕に収まっていた二匹の猫が揃って腕から抜け出した。歓声を上げんばかりにして駆けていくのは、五十畳はあるだろう広間の真ん中に出来上がった猫団子。
ふわふわの猫たちが至福の表情で寄り添いあい丸くなり、寝がえりをうっては複雑に手足も尻尾も絡め合う、その団子の中央、肩にも頭にも膝にも乗っかられ、身動ぎもできず重そうにしながらも温かそうに幸せそうに、
上下 左右
が座っている。
「……大丈夫?」
白猫黒猫の後に続いて猫団子に近づき、人間猫タワーと化した白い少女に紫はそっと問いかける。
「重いけどあったかいですわ~」
伏せていた雪色の瞳を開き、左右は笑った。膝に乗った猫の一団が一斉にもふりと動く。動くな撫でろ、と猫たちに理不尽な要求をされてもやっぱり笑い、左右はかろうじて動く右手を持ち上げた。そうっとそうっと、猫たちを順繰りに撫でる。
左右の手の届かぬ場所で微睡んでいた猫たちがもふもふと動いた。撫でろ撫でろと殺到され、目を白黒させる左右を助けるべく、紫は人間猫タワーの裾に腰を下ろす。
ふらふらと寄って来てはまたたび酒を呑めと迫る若猫の機嫌を損ねぬようやんわりと断りつつ膝に乗せ、何もかもを慰撫するような慣れた手つきでその背を撫で始めれば、近くの猫たちが我も我もと紫の足元に集った。
「なに、今度はこっちなのか?」
片手に猫じゃらしにブラシ、もう片手に猫用布団を抱え、
御剣 刀
が猫数匹に従って猫タワーの周りの猫の群れに混ざる。
「ここに敷くのか? それで俺も一緒に寝るのか?」
畳に布団を敷いて猫を寝かせ、招かれるまま布団に入って、数分経たずに蹴り出された。
「……なんでさ……うを!?」
出ようとしたところにいい威力の猫キックを腰に受け、結構な痛さに黒い瞳をムッと顰めるも、
(……我慢我慢)
猫キックをぶちかましたその猫に今度は撫でろと要求され、苛立ちを抑え込む。ふかふかの首を撫で、顎の下を撫でる。気持ちよさげにごろごろと喉を鳴らされてしまえば、胸にわだかまりそうだった苛立ちは一瞬のうちに霧散した。思わずふわふわと和み癒されそうになって、
(って俺が癒されてどうする)
刀は緩みかけた頬をぎゅっと引き締める。
(猫達が癒されないと駄目だろう)
ここでは、猫たちは折角訪れてくれたお客様。きっと気持ちよく過ごしたいに決まっている。
(頑張ろう)
思いも新たに、刀は生真面目に猫のおもてなしに励む。
「ウチも手伝うでー」
肩と腕に猫を乗せて運んできた
マリベル・ロイス
もその傍らにひょいと座る。猫を飼ったことのないマリベルにも、猫たちは遠慮会釈なく近づく。
「ここ? ここでええ?」
猫たちのうち、意思疎通のかなう老猫に教えられるまま、マリベルは猫たちの柔らかで温かな身体をマッサージする。その素直な手の動きに、猫たちはたちまち虜になった。
(今回の夢はえらい長いなあ)
もっふもっふと猫たちを撫でながら、マリベルは翠の眼をそっと顰める。
周りを見回せば、信乃は何段重ねにもした膳を運んで大忙し、左右はその場にいるだけで猫たちを和ませ、刀は辛抱強く真面目に猫たちに付き合い、紫は何匹もの猫たちを撫でるだけでうっとりと寝かしつけている。
(ウチ、力になっているんやろか……)
たとえ夢の中でも、やるからには何でもちゃんとやりたかった。
(……ウチの特技言うたらティンパニくらいやし)
上手だと褒められたのはそれくらいのもの。
近い位置に丸くなる猫たちの言うなりにマッサージしてやりながら、猫たちにも気づかれないほど密かな息を吐くマリベルの脇、和太鼓に琴に尺八、和楽器を色々と持った着物姿の猫たちが通り過ぎた。
「っ、……あのう!」
うつらうつらし始める猫たちのもとをそっと離れ、マリベルは和太鼓を持つ猫に思い切って話しかける。
「和太鼓、ウチにも打たせてもらえへんかな」
(和太鼓なら)
ティンパニとは違うけれど、和太鼓は日本に来た時に嗜んだことがある。
演奏よりも宴会に混ざりたそうだった猫から二つ返事で和太鼓を借り受け、マリベルは猫の演奏家たちと共に広間の奥に立てられた屏風の前に座した。
神楽笛が陽気に吹き鳴らされ、着物の裾を引き摺った猫が扇を手に舞えば、お祭り騒ぎの好きな猫たちがそわそわと集まり始める。離れた場所でうたた寝する猫たちを驚かさぬよう、集まり始めた猫たちの心を弾ませるよう、マリベルは掲げた和太鼓をひとつ、打った。
どん、と心地よく響く和太鼓の低い音色に、
如月 蘇芳
は伏せていた純白の睫毛をもたげる。
右手には猫タワーを中心とする大きな大きな猫団子、左手には和太鼓の音にうっかり二本足で踊り始める猫の一群れ。賑わう宴会場の中にあって、蘇芳の控える一角だけが静まり返っている。
(猫たちに色々お願いされるって聞いたんだけど……)
猫団子から抜け出し、楽の音に浮かれた足取りで屏風の前に陣取る楽団に近づくために蘇芳の前を過ぎようとした猫が、ぎくりと目を瞠り、そそくさと蘇芳を大きく迂回した。
(……うーん?)
宴会場に派遣された昨日から今日にかけて、一度たりとも猫たちに我がままひとつ言われていない。むしろ避けられ続けている気さえする。
壁の花でいるにも飽きて、立ち上がる。途端、通りがかった猫が慌てた仕草で飛び退った。それどころか毛を逆立てて威嚇される。
「どうしたの?」
そっと問うも、猫はますます怯えたようにくるりと方向を変えて逃げ去るばかり。
(……まあ、)
然程堪えた色も見せず、蘇芳は瞬く。こちらが粗相をしたわけでもない。
(ほうっておいていい……のかな?)
猫たちの食い散らした膳の後片付けに忙しそうな信乃を助けてやろうと一歩を踏み出して、
「……ん」
足元に何かがまとわりつくような違和感を感じた。見下ろせば、ようやくの催促なのか、脛に尻尾を絡ませ頭を擦りつける長い毛も綺麗な猫。
足にすり寄る雌らしい猫の傍ら、蘇芳はそっとしゃがみこむ。
求められるまま、頭を撫で、顎の下を撫でる。猫は蘇芳の顔をじっと見上げて後、くすりと笑うようにごろごろと喉を鳴らした。
プライドの高い女性がふと見せるような甘えを見せられ、蘇芳は目を細める。
(うん、かわいい)
自分に言い聞かせるように思う。
元より、他人の求めに応じることは得手だった。相手が猫であっても、それは変わらない。
(懐かれるのは悪いものじゃないね)
甘く微笑む。求められるままに応じつつ、ふと視線を上げれば、薄く開いた襖の向こう、廊下を駆けて行く幼馴染、
来島 アカリ
の姿が見えた。
「ウィルー!?」
呼んでいるのは、いつかの冬の日、橋の下で蘇芳が見つけ、アカリが拾った子猫の名前。あの子猫は家で留守番しているのではなかったかと首を傾げる蘇芳には気付かず、アカリは廊下を一心に駆けて行く。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年12月30日
参加申し込みの期限
2017年01月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月06日 11時00分
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