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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【星幽塔】第八階層 妖精のオーブと２人の乙女
●洞穴
ピレーが閉じ込められている洞穴には、大きな分厚い一枚岩が嵌められていた。
「この中にピレーがいるのか……」
修が見上げながら呟いた。
「影が……いるかもしれない。用心しないと」
轟と共に桃白猫から降りてきた夏朝が身構える。と、後ろから声がした。
「ああ、影ならどっか行っちまったよい。中にいるのはピレーとやらだけじゃないかねえ……影が複数いるかどうかはあっしの知る所じゃないけどね」
「そうか、それなら安心……って何で知ってるんだ？！」
一度頷いた轟が慌てて振り返る。しかしそこにはもう誰もいなかった。
轟が首を捻る中、まほろが心配そうな声を上げる。
「影がいなくなっちゃったら、手紙の事が分からなくなっちゃう……。エイロスさんもここにはいないし」
「山小屋では確かにエイロスさんは手紙を出したって言ってたから、誰かが手紙を止めた事は間違いないと思う。だから、みんなでそれを伝えれば……」
夏朝は提案するが、圭花の表情は浮かない。
「どうかしら……突然異世界から来た私達の言葉を信じてくれればいいけど……」
尤もな意見に夏朝も考え込んでしまう。と、その肩をぽんと修が叩いた。顔を上げた夏朝の前に、修は自分の携帯を見せる。そして微笑んで言った。
「大丈夫だ、恵御納。エイロスの伝言は俺が預かってる。山小屋で携帯にエイロスに吹き込んでもらったんだ」
「よかった……！」
夏朝の瞳が輝く。美咲紀が修の隣で元気に言った。
「では、ピレーさんを助けましょう！ オーブに光をともせば、ここの混乱もきっと収まるのです。皆が穏やかに過ごせるように、オーブに光を取り戻しましょう。光あれ、なのですよ！」
＊＊＊＊＊＊＊
「じゃあ、ジン君、よろしくね」
夏朝がろっこんをこめたねこシールを修の携帯に貼り、ジンに渡す。ジンは自分の体ほどもあるそれを、夏朝のろっこんのおかげで軽々と受け取った。
「ここにエイロスの声が入ってるんだな。よく分からないけど、ピレーに聞かせてみるよ」
「もし言いたい事があるのなら……ジン君も『君の言葉で』伝えた方が良いと思う」
夏朝がジンの目を見ながら静かに言う。ジンは少しの沈黙の後しっかりと頷くと、携帯を持って大岩の隙間から洞穴に入っていった。
しばらく時が過ぎ、皆がそわそわと待っていると隙間からジンが戻ってきた。
「ピレーは分かってくれたよ！ 洞穴の奥にいるように言ったから、岩を壊して！」
明るく言うジンの声に、皆の顔も輝く。修が立ち上がった。
「俺のろっこんでこの岩を分解してみるが、こんなに大きくて分厚そうなものは全部は無理だと思う。……デイジーカッター、お願いしていいか？」
サキリも大剣を手に立ち上がった。
「八神が分解して崩したところを僕が破壊すればいいんだね。……了解、やってみよう」
２人は大岩の前に立った。修が両手で岩に触れ、思いを込めてろっこん＜分解＞を発動する。ピシリと亀裂が走り、ところどころがボロボロと崩れてきた。
ここまでくればサキリの出番だ。サキリは大剣ツヴァイハンダーを渾身の力を込めて大岩に打ち込んだ。ろっこんを孕んだ赤く輝く大剣がガガガッ！ と岩を切り裂く。大岩は見事に崩れ、皆から歓声が上がった。
もうもうと舞う土埃が落ち着くと、奥の暗闇に人影が見えた。
「ピレー！！」
ジンがひゅんと素早く飛んでいく。暗闇から出てきた人影は、微笑みながらジンをそっと撫でる。そしてこちらに顔を向けた。
流れる様な銀の髪。薄紫色の瞳を星のように輝かせながら、祝福の乙女ピレーはたおやかに頭を下げた。
「ありがとう、異世界の勇者達……私の弱さのせいで、このダソスを危機に陥れてしまいました」
「そんな……！ ピレーさんのせいじゃないよ。影が悪いんだよ」
まほろが心配そうに呼びかける。ピレーがまほろに微笑んだ。
「ありがとう……でも、私は自分の弱さに目を背けてはいけない。今回の事でよく分かりました」
ピレーは凜とした瞳でこちらを見た。
「異世界の勇者達。もう１つお願いがあります。……オーブに火を灯してください」
差し出されたのは精緻な細工が施されてあるランタンのような物。その中に光を失ったオーブがあった。
一同はお互いの顔を見て、頷く。そして全員が星の力を込めてオーブに手をかざした。
不思議な温かさと共にオーブが彼らの手と共にパアッと輝く。オーブが、光を取り戻した。
「本当に……ありがとう」
ピレーの瞳に涙が光った。
ピレーが閉じ込められている洞穴には、大きな分厚い一枚岩が嵌められていた。
「この中にピレーがいるのか……」
修が見上げながら呟いた。
「影が……いるかもしれない。用心しないと」
轟と共に桃白猫から降りてきた夏朝が身構える。と、後ろから声がした。
「ああ、影ならどっか行っちまったよい。中にいるのはピレーとやらだけじゃないかねえ……影が複数いるかどうかはあっしの知る所じゃないけどね」
「そうか、それなら安心……って何で知ってるんだ？！」
一度頷いた轟が慌てて振り返る。しかしそこにはもう誰もいなかった。
轟が首を捻る中、まほろが心配そうな声を上げる。
「影がいなくなっちゃったら、手紙の事が分からなくなっちゃう……。エイロスさんもここにはいないし」
「山小屋では確かにエイロスさんは手紙を出したって言ってたから、誰かが手紙を止めた事は間違いないと思う。だから、みんなでそれを伝えれば……」
夏朝は提案するが、圭花の表情は浮かない。
「どうかしら……突然異世界から来た私達の言葉を信じてくれればいいけど……」
尤もな意見に夏朝も考え込んでしまう。と、その肩をぽんと修が叩いた。顔を上げた夏朝の前に、修は自分の携帯を見せる。そして微笑んで言った。
「大丈夫だ、恵御納。エイロスの伝言は俺が預かってる。山小屋で携帯にエイロスに吹き込んでもらったんだ」
「よかった……！」
夏朝の瞳が輝く。美咲紀が修の隣で元気に言った。
「では、ピレーさんを助けましょう！ オーブに光をともせば、ここの混乱もきっと収まるのです。皆が穏やかに過ごせるように、オーブに光を取り戻しましょう。光あれ、なのですよ！」
＊＊＊＊＊＊＊
「じゃあ、ジン君、よろしくね」
夏朝がろっこんをこめたねこシールを修の携帯に貼り、ジンに渡す。ジンは自分の体ほどもあるそれを、夏朝のろっこんのおかげで軽々と受け取った。
「ここにエイロスの声が入ってるんだな。よく分からないけど、ピレーに聞かせてみるよ」
「もし言いたい事があるのなら……ジン君も『君の言葉で』伝えた方が良いと思う」
夏朝がジンの目を見ながら静かに言う。ジンは少しの沈黙の後しっかりと頷くと、携帯を持って大岩の隙間から洞穴に入っていった。
しばらく時が過ぎ、皆がそわそわと待っていると隙間からジンが戻ってきた。
「ピレーは分かってくれたよ！ 洞穴の奥にいるように言ったから、岩を壊して！」
明るく言うジンの声に、皆の顔も輝く。修が立ち上がった。
「俺のろっこんでこの岩を分解してみるが、こんなに大きくて分厚そうなものは全部は無理だと思う。……デイジーカッター、お願いしていいか？」
サキリも大剣を手に立ち上がった。
「八神が分解して崩したところを僕が破壊すればいいんだね。……了解、やってみよう」
２人は大岩の前に立った。修が両手で岩に触れ、思いを込めてろっこん＜分解＞を発動する。ピシリと亀裂が走り、ところどころがボロボロと崩れてきた。
ここまでくればサキリの出番だ。サキリは大剣ツヴァイハンダーを渾身の力を込めて大岩に打ち込んだ。ろっこんを孕んだ赤く輝く大剣がガガガッ！ と岩を切り裂く。大岩は見事に崩れ、皆から歓声が上がった。
もうもうと舞う土埃が落ち着くと、奥の暗闇に人影が見えた。
「ピレー！！」
ジンがひゅんと素早く飛んでいく。暗闇から出てきた人影は、微笑みながらジンをそっと撫でる。そしてこちらに顔を向けた。
流れる様な銀の髪。薄紫色の瞳を星のように輝かせながら、祝福の乙女ピレーはたおやかに頭を下げた。
「ありがとう、異世界の勇者達……私の弱さのせいで、このダソスを危機に陥れてしまいました」
「そんな……！ ピレーさんのせいじゃないよ。影が悪いんだよ」
まほろが心配そうに呼びかける。ピレーがまほろに微笑んだ。
「ありがとう……でも、私は自分の弱さに目を背けてはいけない。今回の事でよく分かりました」
ピレーは凜とした瞳でこちらを見た。
「異世界の勇者達。もう１つお願いがあります。……オーブに火を灯してください」
差し出されたのは精緻な細工が施されてあるランタンのような物。その中に光を失ったオーブがあった。
一同はお互いの顔を見て、頷く。そして全員が星の力を込めてオーブに手をかざした。
不思議な温かさと共にオーブが彼らの手と共にパアッと輝く。オーブが、光を取り戻した。
「本当に……ありがとう」
ピレーの瞳に涙が光った。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年12月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年12月31日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年12月31日 11時00分
