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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
開かれた扉
朝鳥 さゆるは扉の前でぼんやりと立っていた。
「どうしてかしらね」
素っ気ない声で扉に話し掛ける。真紅のロングコートのポケットに片手を突っ込んで薄く笑う。背には黒い革のザックを背負い、ふらりと左手の扉を潜った。
スマートフォンが作り出した光の道を歩く。以前の道をなぞり、深遠に導く階段に辿り着いた。
「……どうかしてる」
迷いのない足取りで階段を下りていく。寂しげな足音が通路の壁に反響した。ゆっくりと表情が沈んでいった。
無機質な部屋に足を踏み入れた。そこにある色が感じられない。廃墟のような痛ましさもなく、何もないものが、そこにはあった。
距離感が無に侵されて、時間が絶えられずに溶けていく。全てが無に近づいて希薄となる。
地表に抉られた痕跡は意味を持たない。取るに足らない情報に成り果てて霧散した。
「見えない狂気が……ここにはあるのね」
目にすることはできない。何も感じない訳ではなく、何かの存在が心に留まる。
――あたしは狂っているから、わからない？
涼しげな顔で笑った。狂気を手懐けたかのように無機質な空間を歩いていく。どこにも行かないでひたすらに歩き回った。
空間がずれている。違和感を覚えた先を覗き込むと、横方向に亀裂のような通路があった。距離感が消失した表からは想像もできない。
――罠かもしれない。
「なら、それでいいじゃない」
狂気を引き連れて通路に身を捻じ込んだ。ざらついた壁がコートの表面を削った。か細い光を奥へと送り込み、強引に突き進む。
踏み出した足が軽く沈んだ。さゆるは新たな階段に出くわした。左方向は地の底に引きずり込むかのように暗い。右方向は天への近道で仄かに明るい。
さゆるは二択を迫られた。
「決まっているわ」
左方向へと踏み出した。光は階段の先を照らす。濃密な闇が見える。近づく程に離れていく。
やがて終わりを示す平らな床が見えてきた。最後は両足で着地した。
光は前方に向けられた。二体の巨大な骸骨が目に飛び込んできた。
巨大なアーチ形の扉の左右に骸骨が描かれていた。二体は両手で扉を開こうとしているかのように見えた。黒々とした眼窩を目にした直後、さゆるの身体が震えた。
――あたしが何かを感じている？
骸骨の姿をじっと眺める。二体は傷ついた骨格で扉の繋ぎ目に両手を当てていた。開いた足は踏ん張っているようにも見える。
「……閉じようとしている」
足が一歩、後退した。凍り付いた顔で階段へと戻った。小走りで階段を上る。光に向かって足を動かした。
さゆるは外気に触れた。額に浮いた汗を手の甲で拭う。足元に擦り切れた注連縄が落ちていた。踏み付けて景色を眺める。
正面の山に階段が見えた。眼下の集落と繋がっているようだった。
「少し距離があるわね」
さゆるは出てきた階段を振り返る。苦々しい表情となって集落の道を選んだ。
急な斜面に手こずりながら口元を緩める。
――このあたしが、狂気に染まり切っていないなんて……。
道の有無は関係ない。斜面を突っ切る。両手は擦り傷が絶えない。深い箇所は血が滲んでいた。
さゆるの勢いは増す。危険を顧みない駆け足で下りていく。
血の滲んだような空にけたたましい笑い声が響き渡る。
「どうしてかしらね」
素っ気ない声で扉に話し掛ける。真紅のロングコートのポケットに片手を突っ込んで薄く笑う。背には黒い革のザックを背負い、ふらりと左手の扉を潜った。
スマートフォンが作り出した光の道を歩く。以前の道をなぞり、深遠に導く階段に辿り着いた。
「……どうかしてる」
迷いのない足取りで階段を下りていく。寂しげな足音が通路の壁に反響した。ゆっくりと表情が沈んでいった。
無機質な部屋に足を踏み入れた。そこにある色が感じられない。廃墟のような痛ましさもなく、何もないものが、そこにはあった。
距離感が無に侵されて、時間が絶えられずに溶けていく。全てが無に近づいて希薄となる。
地表に抉られた痕跡は意味を持たない。取るに足らない情報に成り果てて霧散した。
「見えない狂気が……ここにはあるのね」
目にすることはできない。何も感じない訳ではなく、何かの存在が心に留まる。
――あたしは狂っているから、わからない？
涼しげな顔で笑った。狂気を手懐けたかのように無機質な空間を歩いていく。どこにも行かないでひたすらに歩き回った。
空間がずれている。違和感を覚えた先を覗き込むと、横方向に亀裂のような通路があった。距離感が消失した表からは想像もできない。
――罠かもしれない。
「なら、それでいいじゃない」
狂気を引き連れて通路に身を捻じ込んだ。ざらついた壁がコートの表面を削った。か細い光を奥へと送り込み、強引に突き進む。
踏み出した足が軽く沈んだ。さゆるは新たな階段に出くわした。左方向は地の底に引きずり込むかのように暗い。右方向は天への近道で仄かに明るい。
さゆるは二択を迫られた。
「決まっているわ」
左方向へと踏み出した。光は階段の先を照らす。濃密な闇が見える。近づく程に離れていく。
やがて終わりを示す平らな床が見えてきた。最後は両足で着地した。
光は前方に向けられた。二体の巨大な骸骨が目に飛び込んできた。
巨大なアーチ形の扉の左右に骸骨が描かれていた。二体は両手で扉を開こうとしているかのように見えた。黒々とした眼窩を目にした直後、さゆるの身体が震えた。
――あたしが何かを感じている？
骸骨の姿をじっと眺める。二体は傷ついた骨格で扉の繋ぎ目に両手を当てていた。開いた足は踏ん張っているようにも見える。
「……閉じようとしている」
足が一歩、後退した。凍り付いた顔で階段へと戻った。小走りで階段を上る。光に向かって足を動かした。
さゆるは外気に触れた。額に浮いた汗を手の甲で拭う。足元に擦り切れた注連縄が落ちていた。踏み付けて景色を眺める。
正面の山に階段が見えた。眼下の集落と繋がっているようだった。
「少し距離があるわね」
さゆるは出てきた階段を振り返る。苦々しい表情となって集落の道を選んだ。
急な斜面に手こずりながら口元を緩める。
――このあたしが、狂気に染まり切っていないなんて……。
道の有無は関係ない。斜面を突っ切る。両手は擦り傷が絶えない。深い箇所は血が滲んでいた。
さゆるの勢いは増す。危険を顧みない駆け足で下りていく。
血の滲んだような空にけたたましい笑い声が響き渡る。
あとがき
担当マスター：
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！
「現れた扉」の続編に当たる「開かれた扉」はいかがでしたでしょうか。
皆さんの行動によって得られた情報で謎は解明されていきます。
洞窟が存在する理由も薄っすらと見えてきました。人気のない集落の真相にも迫りました。
今回の探索で洞窟に新たな扉が発見されました。とても禍々しいですが。
二人のＰＣさんの奮闘で謎めいた石柱が見つかりました。五角形の窪みが気になります。
一人のＰＣさんは素敵な空間で五角形の石を取得しました。何かに使えるのでしょうか。
現状でもシナリオを終わることができます。
もちろん、要望があれば続けることも可能ではあります。
皆さんはどちらを望むのでしょうか。感想がてらに書き込んでいただくと、私が大いに助かります。
あ、それとですね。前回の行動の続きで書かれていたアクションは全て後日という形に統一しました。
対抗策を練ってきた方々が多かったので、準備の為に全員を帰宅させました（ご容赦ください）。
ここでま読んでいただき、ありがとうございました。
また、新しいシナリオでお会いできれば幸いです。
皆さんの行動によって得られた情報で謎は解明されていきます。
洞窟が存在する理由も薄っすらと見えてきました。人気のない集落の真相にも迫りました。
今回の探索で洞窟に新たな扉が発見されました。とても禍々しいですが。
二人のＰＣさんの奮闘で謎めいた石柱が見つかりました。五角形の窪みが気になります。
一人のＰＣさんは素敵な空間で五角形の石を取得しました。何かに使えるのでしょうか。
現状でもシナリオを終わることができます。
もちろん、要望があれば続けることも可能ではあります。
皆さんはどちらを望むのでしょうか。感想がてらに書き込んでいただくと、私が大いに助かります。
あ、それとですね。前回の行動の続きで書かれていたアクションは全て後日という形に統一しました。
対抗策を練ってきた方々が多かったので、準備の為に全員を帰宅させました（ご容赦ください）。
ここでま読んでいただき、ありがとうございました。
また、新しいシナリオでお会いできれば幸いです。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年12月11日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年12月18日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年12月18日 11時00分
