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三人は九夜山の道を歩き、途中から繁みに突っ込んだ。先頭はカジュアルなパンツルックの
桃川 圭花
が務めた。肩にはトートバッグを引っ掛けていた。逸る気持ちを抑えられない様子でずんずんと進む。
二番手は
新田 亮
であった。迷いのない足取りで付いていく。モスグリーンのオーバーオールに伸縮性のあるジーンズを穿いていた。右手には頑強そうな黒い筒状のハンドライトを握っている。
最後尾には
青木 学
がいた。藍色のダウンジャケットを着て、やたらと周囲を気にする。枯れ葉の音でさえ敏感に反応して
ハンディビデオカメラ
のレンズを向けた。
「本当にあの洞窟に行くのかよぉ。絶対に危ないって。魔方陣とか普通じゃないだろ」
「お前、カメラの前で次回予告をしてなかったか?」
学の前を歩いていた亮が振り返って言った。
「いや、まあ、それはそうなんだけど。もう少し時間を掛けて装備を整える必要があるんじゃないかなー、と思うわけで」
「それが今日でしょ」
先頭の圭花が力強い声で割って入る。歩きながら拳を作った。相当に力んでいるのか。小刻みに震えている。
「今でも実感はないんだけど。なんで私が、あんな小汚い狸の尻の臭いを嗅がなきゃいけないのよ。可憐な私になにさせんのよ、ってもんでしょ」
「まあ、そうだな」
怒りの理由に亮は一定の理解を示した。学は、可憐ねぇ、と呟いて本人に睨まれ、慌てて口を噤んだ。
「とにかくあの狸に、それなりのお返しをしなきゃ気が済まないわ。ちゃんとその用意もしてきたし」
圭花は唇の端を釣り上げて笑った。薄っすらと覗く犬歯は肉食獣の牙を想像させた。亮と学は顔を近づけて、悪だな、と囁き合った。
三人は道に迷うことなく、問題の扉に辿り着く。
圭花は踵を返して二人に宣言した。
「入る前に目的を伝えておくわね。私はあの古狸に会いたい。理由はわかるよね」
「俺も狸に用事がある。この洞窟について詳しい話を聞きたいと思っている」
言い終わった亮は学の方を見た。圭花も言葉を待つかのように腕組みをした。
「俺は、その、探検隊に相応しい映像が撮れると怖いし、足が竦むような事態には遭遇したくないっていうか」
「行くのをやめるか」
亮の言葉に学は強い否定で頭を振った。
「いやいや、カメラマンがいないと話にならないだろ。これでもホラー映画は好きでよく観るんだぜ? 怖いからすぐに叫ぶんだけど。今回も、まあ、そんな感じで最後まで付き合うつもりだ」
「わかったようなわからない宣言をありがとう。じゃあ、皆で古狸をブッ飛ばしに行くわよ」
圭花は話を纏めて左の扉を潜った。
学は亮の耳元で囁いた。
「そんな話だったか?」
「ブッ飛ばされる前に狸に話を聞かないとな」
二人は笑って後に続いた。
圭花は携帯電話のアプリを利用した光で洞窟内を照らす。亮のハンドライトは強力で闇を貫いた。後方から学が光源にもなっているカメラに収めていく。
光源が増えたことで前回よりは視界が開けた。しかし、入り組んだ洞窟の作りが三人を困惑させた。
先頭をゆく圭花の足が少し鈍る。
「なんか見え過ぎて、前と違う感じに思えるんだけど。これって私だけなのかな」
「俺にもわからない。狸が封印されていた場所も、どこだったのか。お前はどうだ、魔方陣の位置とか覚えてないか」
亮は後ろを振り返る。学の怯えた表情が尋常ではない。暗がりの全てが恐怖の対象に見えているようだった。
「お、俺は、ぎゃーーーー!!」
絶叫した。学は慌てて首筋を手で拭う。
「首、首をペロッて。お化けに舐められたー!」
「青木君、急にどうしたのよ」
圭花が戻ってきた。携帯電話の光を学に当てる。すぐさま床を見て、最後に天井を照らした。
「ただの水じゃない。洞窟なんだから、そんなことくらいで叫ばないでよ」
「み、水? 水なのか。いやー、まいったな。一本、取られたよ。こっちが撮る側なのにね!」
泣きそうな表情で無理に笑って見せる。学の精一杯の虚勢に二人は乾いた笑いで答えた。
思い直したように圭花が先頭に立って歩き出す。二人は各々で用心しながら共に行動した。
灰色のうねるような壁面が続く。無数に思える穴が先を急ぐ者の混迷の度合いを深める。三人も例外ではなかった。
「狸の仕業なのか?」
亮は立ち止まって目頭を揉んだ。圭花は強く瞼を閉じて頭を振った。
その時、またしても叫び声が上がった。反応した亮がハンドライトで周囲の闇を追い払う。
「一人、いないぞ」
「青木君、もしかして別の穴に迷い込んだのかな」
「探すしかないか」
亮は一つの穴に一歩を踏み出し、動きを止めた。
「これを見て驚いたのかもな」
「え、これって骨だよね」
床には朽ちた白い破片が散らばっていた。関節を思わせる丸い球体もあった。側には衣服の切れ端のような物が丸められていた。
「よくわからないが、他にもあるぞ」
丸められた中に折り畳まれた紙の一部が見えていた。亮はハンドライトの先端を使って取り出した。
紙の中身を目にした途端、渋い顔付きとなる。圭花は横から覗き込んで力なく頭を振った。
「これは読めないわね」
「今の時代の文字ではないようだ。あの狸なら、読めるかもしれないな」
亮は散乱した欠片に向かって手を合わせる。入手した手紙はオーバーオールの内ポケットに収めた。
「あの古狸、どこにいるのかな」
周囲に目をやる圭花の側で、そうだな、と亮は神妙な顔で言った。
粘着質の恐怖に学の心は呑まれた。身体は逃げることを優先して記憶は置き去りにされた。曲がりくねった通路を狂乱した状態で走った。
天井が高い。左右が広く、開放感がある。疲労の蓄積と重なって学は考える力を取り戻した。
「ううっ、どこだよ、ここは……」
同時に寂しさが募る。一緒に訪れた二人の姿がどこにもなかった。カメラの光が証明した。
「新田、近くにいるんだよな? 桃川、返事をしてくれよ」
それでも呼び掛ける。何かを期待して弱々しく歩いた。
「……邪神とかいそう」
恐怖の一端が口から零れた。自身の言葉に追い詰められ、両膝が激しく震えた。
「う、ううっ、怖いし、キモイよ」
「なんじゃ、騒々しいのう。眠ることもできんわい」
「あっ、狸さんだー! 助けて!」
光の先に狸が寝そべっていた。学は涙目になって駆け寄る。
「また、お主か。今日は仲間はおらんのか?」
「それがはぐれちゃってさ。おっと、その前に撮影の許可が欲しいんだけど。ちゃんと毛並みとか綺麗に映るように調整するからさ」
俄然、元気を取り戻した学はカメラを掲げて見せる。
「ただの狸を映して何が面白いのかのう。悪戯の場面ならば話はわかるのじゃが」
「ここで出会ったのも何かの縁ってことで! タダで二人の元に連れて行って貰うのは悪いし」
「そうじゃのう」
億劫な様子で狸は立ち上がる。ゆっくりと通路を見比べて一方に歩き出した。学は嬉々として付いていく。
一度、狸は立ち止まって首を捻る。
「いつの間に案内することになったんじゃ?」
「さあ、張り切って行きましょう!」
「お主に騙された気分じゃよ」
穏やかな声のあと、歩みを再開した。
分岐で決まって狸は立ち止まる。聴覚と嗅覚を研ぎ澄ますようにして進む方向を選ぶ。三度目の選択で前方に明かりが見えた。
嬉しさのあまり、学は大きく手を振った。
「俺だよ、俺! 無事に帰って来れたよ!」
「青木君、探したわよ」
圭花が大股でやってきた。すぐに足元の狸の存在に気が付いた。途端に表情が柔らかくなった。
「こんにちは。この間は世話になったわね」
「あの時のおなごか」
狸はくるりと背を向けて尻を振り出した。圭花の顔の一部が微かに引き攣る。
「これでも私、反省したのよ。ここはあなたの居場所なのよね。そこに部外者がずかずかと入ってきたら、悪戯くらいしないと気が治まらないよね」
「気にしとらんが。こう見えて心が海のように広いからのう」
「あら、そうなのね。なるほどね、海のようにね」
早口になってきた。柔和な表情の崩壊が始まる。遅れてきた亮は圭花の肩に手を置いた。
「そうね。先に新田君の用事を済ませちゃってよ。こっちはお返しの用意をするから」
「まあ、程々にな。聞きたいことがあるんだが、いいか」
「わかる範囲に限るがのう」
亮は先程、手に入れた紙を取り出して広げた。
「ここに書いてあることがわかるか」
「これは備忘録じゃよ。人語ではないがのう」
「どういう内容が書かれているんだ?」
亮は半歩、前に出る。狸は紙に顔を近づけて頷いた。
「鹿が美味かった。猪が美味かった。明日は野鳥を狙う、と書かれているのう」
「それは本当か? 人を、襲ったようなことは? 破れた服が近くにあったんだが」
「それ以外はないようじゃ。それと人間の衣類はいい寝床になるのじゃよ。あれを敷くと温かいからのう」
狸は大きな欠伸をした。嘘を見破る術がない。亮は言葉を信じるしかなかった。
「この洞窟にはどんな神が封印されているんだ?」
「知らん。封印されていたんじゃ。当然じゃろ」
「このまま洞窟を放置して大丈夫なのか」
「それもわからん、とは言わん。中を歩き回ってみたのじゃが、奥の方が怪しいかのう。全体の一部なのでな、明言は避けるが」
カメラで撮影していた学が興奮した口調で乗り出す。
「探検隊の活動らしくなってきたぜ!」
「お前は妙なところで元気だな」
考えることが多いのか。亮は少し離れて腕を組んだ。
圭花が素早く入れ替わる。手には年代物の徳利を持っていた。
「そんなわけで、私が特別に用意しました」
「ほほう、気が利くのう。今日は気持ちよく酔えそうじゃ」
「お詫びと友好の印に、どーぞ遠慮なく」
飲み易いように徳利を床に置いた。狸は近づいて鼻を近づける。
圭花は過剰なまでに口角を上げた。
「では、頂くとするかのう」
尻餅を搗いた状態で狸は徳利の口の部分を咥えた。一気に顔を引き上げて中身を胃の腑に流し込む。
水が激しく逆流するような音を引き起こす。狸は倒れ、打ち付けられた徳利が割れた。黒い液体を噴き出しながら激しく咳き込む。
「どうかしら。めんつゆの濃縮三倍の味は?」
「な、なぜ、じゃ」
横倒しの状態で声を絞り出す。圭花は得意げな表情で答えた。
「狸って蕎麦やうどんにあるでしょ。だから、めんつゆも普通にいけるかなーってね。それに私は未成年だからお酒は買えないし」
口元に黒い泡を吹いて狸は動かなくなった。
「え、冗談でしょ? そんなことないよね」
その場にしゃがんだ圭花は狸の身体に触れた。一気に表情が強張る。
「冷たいよ。ウソでしょ。めんつゆで、ちょっと、おかしいよ。皆も黙ってないでなんか言ってよ!」
亮と学は顔を見合わせた。
「いや、その、言葉が見つからないというか。お前は何かないのか」
「俺はカメラマンだし。さすがに二回目だから、引くっていうか」
「なに、わけわかんないこと言ってるのよ!」
圭花の目が少し潤んでいた。怒鳴られた二人は苦笑いを浮かべた。
そこに飄々とした解説が入る。
「あのおなご、根は優しいのう。めんつゆやらを一飲みにして斃れた狸に、あのように必死になるとはのう」
二人の側には狸が立っていた。圭花の狼狽する姿をのんびりと眺めている。
亮は呆れたような声を返した。
「徳利を置いたところから、何かおかしいとは思っていたが、やはりそういうことか」
「狸の嗅覚を侮ってはならん。よい余興であった」
「もう十分だろ。術を解いてやれよ。とんでもない神だな」
「ただの悪戯好きの狸じゃよ」
狸はすたすたと歩き出す。圭花は抱え上げるような格好で、起きてよ、と自身の身体を揺さぶっていた。
「あれが術を解く方法なのか?」
「この場面だけは、カメラマンの役目を放棄させて貰うよ」
狸は尻を突き上げた。圭花の顔の前で陽気に振り始める。強烈な悪臭に見舞われ、瞬く間に仰け反った。
「クッサッ、この臭い! またなのね、どこよ、古狸は!」
徳利は置かれたままの状態を保っている。
肝心の狸の姿はなく、闇の向こうからしゃがれた笑い声が聞こえてきた。
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3人まで
シナリオジャンル
冒険
動物・自然
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
12人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年12月11日
参加申し込みの期限
2016年12月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年12月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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