コロシアム再戦！　オーガがコピーろっこんを使用！？｜リアクション

コロシアム再戦！　オーガがコピーろっこんを使用！？

●●●絶望の淵に●●●

　上がった歓声より先に目を覚ました風雲児轟扮する、ザ・ストレイト。
　周りを見渡すと見覚えのあるコロシアムと、オーガのようなものに襲われそうになっている武井琴代。
　事情も分からないが、動き出していたのはヒーローの性ともいえよう。

「間に合え…ッ！」

　フツウなら間に合わないその距離を全力で走り、振り下ろされた大剣に体当たりができた。
　剣筋が逸れ、琴代を外して地面を深々とえぐる大剣。
　しかし、一安心と安堵する時間もなく、別の鎧を纏ったオーガから琴代へ拳が振り下ろされる。

「危ない！」

　桜庭円が飛び出し、琴代を守るように身を挟む。
　そして、できるだけ強い力でオーガのいない方向に琴代を押し飛ばす。
　ごめんね、と心の中で謝りながらも窮地にその身を捧ぐ円。

「ふんっ！」

　そこに力強い掛け声とともに現れた尾鎌蛇那伊はオーガの腕に飛び掛かる。
　体をひねってオーガの体の重心を崩させ、円たちへの攻撃を防ぎ、オーガの隙も生み出す。
　その隙を逃す寝子島のもれいび達ではなかった。

「あんたらも、飽きないな」

　興味のなさそうな、それでいて多分に怒気を帯びたその言葉を発するのは御剣刀。
　蛇那伊とは逆の手に行き、オーガの小指を素早く取ると本来の駆動とは逆に力一杯折り曲げる。
　これで攻撃をしにくくなり、あわよくば狼狽えてくれるだろうと思案する。
　しかし、予想に反してオーガはザ・ストレイト、蛇那伊、刀を振りほどいた。

「うわぁぁ！？　ちょっとちょっと何よ！？」

　また別の鎧のオーガから鷲掴みをするような攻撃を間一髪で躱し続けるのは伊藤緑。
　普段から探偵のアルバイトをし、常に冷静であろうとしているが、これはそう簡単に慣れることではない。
　だが、それは執念とも言えるほどの力で手に持っていたメモ帳とペンを手放すことはしなかった。

「闘技場か…妙な場所に来たな」

　少し離れたところで座していた夏神零はゆったりとした動作で立ち上がる。
　緑を襲ったオーガに向かって舞うかのように腕を振るう。
　するとオーガの鎧の継ぎ目から、緑色の液体が流れ出る。

「西洋の鬼か…仕方あるまい」

　そう呟いた零はオーガに対し尚も舞い続け、腕が振るわれる度に鎧を、オーガを傷つけて行く。
　零のろっこん【朱雀之舞・翼刃】であり、その手刀を振るえば、振るった先にあるものを切断できる。
　だが、想像以上に効果がないことに零は眉をひそめる。

「敵はオーガ！　数、およそ10！　できるだけ纏まり、一人になるな！」

　八神修は叫ぶ。
　冷静さを保てたのは、このコロシアムに見覚えがあった事やこういった厄介事によく巻き込まれるからだ。
　そして、こういった突発的な状態から脱するためには情報共有が大事だとも。

　修は大きく息を吸い、ろっこん【分解】を起動するため、オーガ達の武具を注視する。
　動き回っているオーガの武器までは分解できなかったが、フルプレートアーマーはバラバラになる。
　そのヘルムの下にはまぶたが縫い付けられ、歯がむき出しになった顔面が隠されていた。

「シュー君、ありがとう！　武井先輩、大丈夫ですか？」

　隣にいた椿美咲紀は修からの情報で状況を把握する。
　同時に円達に守られ、呆然としている琴代に駆け寄る。
　意識を失っているのではないことを確認した美咲紀は躍り始める。

　訳が分からず美咲紀を見上げていた琴代は自分の異変に気がつく。
　動かせないはずの腕が、自らの意思で動き始めたのだ。
　美咲紀のろっこん【舞花の祈り】であると知るのに、そう時間はかからなかった。

「ええっと…またあのどっきりじゃないんだよね？」

　羽生碧南は以前、熱でうなされていたときに寝子島高校でピエロと戦っていた。
　その時の事を思い出しながら、今回の敵に目をやり、動きを吸収していく。
　そうすることで致命傷を避ける道筋を構築していた。

「敵の数が多いな、それに強い。八神、奥にもう5体ほどいる」

　鎧を分解されたオーガに切りかかっていくのはサキリ・デイジーカッターだ。
　所持していた小型のナイフを手にろっこん【斬空赤刃】を発動させる。
　オーガの攻撃を文字通り目の前から姿を消し、オーガの背に瞬間移動したサキリ。
　赤を帯びた刃をオーガの背中に大きな切り傷を付けるも、気にした風もなく反撃を仕掛けてくるオーガ。
　危なげ無く回避するが、サキリの必殺とも言える一撃を耐え、反撃までする胆力は厄介だと評価する。

「大荒れ模様の開幕！　今回の地球人も、不思議な力でオーガを圧倒している！」

　コロシアムに実況が響く。
　異世界の力のお披露目は始まったばかり。

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