Hello New World-Reloading｜リアクション

Hello New World-Reloading

■チャプターＨ：世界を欠けた戦い
　最初で最後とも言えた世界大戦からおよそ百年。
　亜人の国ガラパゴスを含む主要四国および、時計姉妹都市サンドガーデンや大集落ヨミを含む五つの国際連合が生まれ、世界は経済によるバランスを保っていました。
　一時期はガラパゴスが示した銃器の有効性によって各地で治安の悪化も起こりましたが、それらもすぐに鎮圧され、再び平和な時代がやってきたのです。
　この鎮圧に活躍したのが『ヒーロー』と呼ばれる人々でした。
　カエレル、ギアガーデン、ユノハナ、ガラパゴスの人々が自由に互いの国を行き来し、定住を続けるうち、それぞれの技術や体質が混ざった存在が各地に現われ始めたのです。
　そしてそれらを有効に活用できる才能もまた、この世界に生まれ始めました。
　たとえばネコから進化したネコ人間がカレーの魔法を使いこなしたりワーウルフが時計精霊術を使いこなしたりといった具合です。
　彼らは国家の枠を超えたヒーローチームを組織して、各地で巻き起こった小規模な悪事の鎮圧をはかりました。このとき悪事をはたらく者を仮にヴィランと呼称します。
　ヒーローとヴィランの戦いはしばらくの間拮抗しましたが、被害が大きくなることはなく、大きな目で見て平和な時代となったのです。
　絶対悪の襲来は、そんな時にやってきました。
　これまでも各地でごく僅かに、そして偶発的におきていた『悪魔』の出現が、大規模かつ集中的におきたのです。
　それは、宇宙から降り注ぐ大量の隕石という形で引き起こされました。
　最初に気づいたのは、各地でゲリラ的に社会奉仕活動をするという不思議なヴィランチーム『猫の爪団』でした。
　社会的にはヴィラン視された彼らの主張に各国家は耳を貸しませんでしたが、ある意味一番の理解者であるヒーローチームが最初に彼らの主張を受け入れました。
　世界各地に下りたった『悪魔』と、世界に点在した神々の力のミックスチームがぶつかったのです。
　最初は劣勢を極めました。
　これまでの戦いとは異なる、ただ人間を破壊することだけを目的とした未知の知的生命体に困惑したのです。
　ですが、そんな戦いは地下で百年近く鉱石を掘っては娯楽追求ばかりを続けていたロボット帝国が大集落ヨミの大地を穿ったことで大きな転機を迎えたのです。
　彼らロボット帝国は実のところ、人類を鍛えたりかくまったりするためにこの世界に生まれたものでした。
　多くの人々は地下に逃げ延び、未熟な人々もロボットとの訓練でめきめきと力をつけました。
　なかでも突然変異的に特殊な才能をもったロボットＡＩが、国連加盟の五つの代表戦士を乗せた合体ロボットを作り上げた頃は、この戦いは末期といえたでしょう。
　やがてヒーローもヴィランも関係なく悪魔との戦いに身を投じ、そんな彼らに触発された普通の人々もかつて戦争の引き金ともなった銃火器を手に悪魔への反抗を始めたのです。
　いかに悪魔が人類を攻撃する絶対的脅威であったとしても、人類全てが力を合わせて倒せないものではありません。
　むしろ、『そうなるように』創られたようなものでした。
　人類は、自らの手で世界の脅威を打ち払ったのです。

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