Hello New World-Reloading｜リアクション

Hello New World-Reloading

■チャプターＡ：まれびとがみ
　大天使天吏も、新世界の栞を手にした神様の一人でした。
　けれどもう世界のほとんどができあがっていましたから、自分にとっておもしろい文明を生み出すことが、きっとできるだろうと思っていました。
　彼女が最初に作りだそうとしたのは、大海に顔をだした大きな島でした。
　主要な文明は大陸によってつながって居ましたから、人々は漁業や学術をのぞいて大規模な航海というものをしていません。なので、天吏の作った島は実質的には隔絶された一つの小さな世界と言えました。
　こんな島は、天吏が普段暮らしている世界にもありまたね。ガラパゴスといって、独特な環境にいくつかの生物が流れ込んだ結果、長い年月をかけて独自な進化を遂げたという島です。
　天吏もまた、この島に独自な進化をもたらしました。
　けれどそれは、それまでの常識を大きく越えた進化形態でした。
　天吏はこの進化について、魚が空を飛んだらおもしろいし、四足動物が二足歩行をしてもおもしろいと言いました。
　彼女の望む通り、島の動物たちは異常ともいえる速度で進化を続け、ついにはカメやシカや、サカナや鳥が、それぞれ人のように二足で歩き文字を開発し、互いに生存競争を続けながら彼らなりのコミュニティを形成していきました。
　そこまできて天吏は、ある概念を彼らの中に植え付けました。
　『神』という概念です。
　大陸には、そして世界には信仰は存在していました。
　ギアガーデンは時計塔を神の建造物であるとして国教を敷いていますし、カエレルはカエルを神聖な動物としていますし、ユノハナは温泉を神のお恵みだと考えています。
　けれど、神の実存を本能的に認識したのは、この世界では彼ら――超進化動物たちだけでした。
　彼らは自らが急激に進化した意味を考え、そして急速に滅ぶ危険を察し、神をあがめる運動を始めました。
　彼らなりの基準で許しを請うて平伏し、生命を全うするようにつとめました。
　そしてある時代。
　選民思想が生まれました。
　神の実存を認識できない人類を蔑視し、宗教戦争を始めたのです。
　宇宙より絶対悪が襲来し、人類と敵対し始めたのは、まさにそんな時期でした。

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