play a game～escape from dead～｜リアクション

play a game～escape from dead～

【感染者ニヨル強度低下】
対象：Ａ３・Ａ５第一バリケード

【感染者侵攻数】
Ａ３：１０人（足止め中）
Ａ５：２３人（足止め中）
Ｂ１：２人

【感染進行】
対象：八十八旗信彦【３５％】

Round3【Day1 夜】

　夕方まで続いた攻防は、バリケードの足止めと３階の生存者達の奮戦により一時的に落ち着きを見せる。
　ゆっくりと落ちた夜の帳は、無常にも校舎内を暗闇の中に落とし、唯一の光源は窓から入る月明かりのみになっていた。

【Ｂ５：２－３右階段】

　月明かりの中で、武道達は３－９に居た生存者達との会話で、既に資料室を調べ終えたことを聞く事となる。
「ありゃりゃ、こっちもかい。なんとも、一歩出遅れたって感じかねぇ」
　弱ったといった形を作り、瓢が口にする。
　中に何があったのか、それを語りはしないが、それでも資材は好きに使えばいいと提供されていた。
　――ただし、資料室にあったストーブには触らないで欲しい、と言った由貴奈の要請も含めて。
「でも、２階の状況が悪くなってるし、悪くはないんじゃない？」
　瓢達が事前に女子トイレで取得し、階段下に置いていた【水の入ったバケツと洗剤】を３階に運びながら、タルトは瓢にそう口にする。
「タルトちゃんの言う通りだな。後悔よりも、先にやる事をやるべきだと思うぞ」
「私もそう思います。少しでも守れるうちに」
　武道と月もまた同じように賛同を返す。
　右側階段のバリケードには、まだ多少の強度が残ってはいたが、増えた感染者全てをこのまま抑え続ける事は難しい。
　その為に、少しでも時間があるうちに、こちらにもバリケードを構築すべく武道達は階下のバリケードを放棄し、３階へと来ていたのだ。
「まぁ……どっちにしろ急いだほうがいいんじゃないっすかね？」
　３－９の生存者がそれぞれ行動していく中、３階に残った感染者を排除した事を確認し、優が全員にそれを告げる。

「そいつぁそうだ。あっし達はやる事をやろうかい。生き残る為に、ね」
　――どこか不吉な笑みを浮かべ、瓢はそれだけを口にし、資材を運ぶ為に資料室へと入っていく。

【Ａ３：２－６教室内】

　外部から聞こえてくる音は、近くに作ったバリケードを破壊していく音のみ。
　それらを聞きながら、巴と修は、壁に寄りかかる形で座っている信彦の様子を見ていた。
「……どうだい、気分は」
「悪くない、ってのは嘘かな。ちょっとキツイかも……」
　息を荒く吐き、信彦は辛そうに巴の質問に答える。
　――ここに来るまでに、巴も修も、そして信彦も感染者がどういった過程を踏まえてなるのかを見てきている。
　だからこそ、体調の変化はその前兆である事も理解していた。
「八十八旗、いいんだな？」
「それで治ってくれるなら、な。期待はしておくけど、無理ならネムルくん達が見つけたのに頼るさ」
　由貴奈が見つけた特効薬の存在は、既に巴達にも伝えられている。
　一本を無駄にするかも知れない――それでも、巴は分の悪い賭けを信彦に提案していたのだ。
「責任はあたしが持つさ。ミスったんなら、あたしは命を賭けてもあんた等を守る」
　強い意志を籠め、巴はそれを口にする。

「はは、レディーにそこまで言われちゃ断るわけにもいかないって。だろ、やがみん」
　辛そうに笑顔を作る信彦に、修は静かに一つだけ頷きを返す。
　――互いの了承はこれで得られた。
　巴は、自分が持っている特効薬を取り出し薬の半分を信彦に投与する。
「これで、後は結果を待つだけだね。とはいえ……」
　修が先ほど廊下を確認した際、すでに２階には自分達しか残っていない事を二人に伝えていた。
「八十八旗を担いででも、３階に向かうべきだろう。誰かがもう一つのバリケードを作る必要もあるしな」
　修の意見に、巴と信彦は頷きを返す。
　崩壊までの時間が少しでも長く持ってくれるように願いながら、三人は２－６を後にする。

未承認：正規ノ使用方法以外ヲ検出。桜崎巴ノ薬ノ効果ヲ変更開始