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冬至の頃よりは長くなったように思えても、二月の日暮れはまだ早い。
窓から流れこむ黄昏の光を白い頬に受けつつ、
椎井 莉鳥
は帰り支度を始める。
教室の窓の外のグラウンドに、莉鳥の所属する陸上部の部員たちの姿は見えない。今日は陸上部の活動はない。
鞄からスマートフォンを取り出し、巻き付けていたイヤホンのコードを解く。使い込むうちに元々の黄緑色が随分くすんでしまったコードをちらりと指先につまみ、離す。耳にイヤホンを押し込み、音楽アプリを起ち上げようとして、ふと、画面の隅に表示された日付が目に入った。
(二月二十七日)
今日で莉鳥は十七歳になる。
思い出すのは去年の今頃。
(……あいつと一緒に過ごしたっけ)
あの頃はまだ、近所の幼馴染であり彼氏だった。同学年だった。
今年はもう、近所でもない。元より父親と折り合いの悪かった彼は、猫鳴館の寮生となっている。
そうして彼氏でもない。期末試験を受けず、留年するという選択を取った己の行動が引き金となったのか、なんとなく付き合いだした幼馴染とは、幼馴染の進級と共、学年的にも心情的にも家の距離的にも、隔たりが開いた。
栗色の瞳に黒い睫毛の影が落ちる。けれどそこに浮かぶ感情は皆無に近い。
(今年の誕生日は一人で過ごすか)
何の感慨もなくそう決め、鞄を肩に、スマホを片手に夕暮れの教室を出る。
「よっ」
出た途端、戸口に立っていた幼馴染の元彼がいつもと変わらぬ軽い口調でひらりと手を振った。
見ないふりして通り過ぎようとして、
「ちょっ、待て待て、待てったら」
慌てた様子で正面に回り込まれた。両腕を広げて通せんぼをされた。
「……何」
仕方なしに足を止める。イヤホンを外しもせず、極めて不愛想にぶっきらぼうに言い放ったのに、幼馴染の元彼――
北里 雅樹
はまるで見えない尻尾を力いっぱい振るかの如く、満面の笑顔を浮かべた。
「一緒に帰ろう」
言うなり返事も待たずに先に立って歩き始める。
今は猫鳴館でしょう、と問うよりも先、雅樹は振り返った。全速力で走りつつ飼い主がついて来ていると信じて疑わぬバカな犬のような視線に、莉鳥は小さな息を吐く。バレンタインデーにメールでチョコレートをねだってきたときも、節分祭に呼びだされたときも、そういえばそうだった。
もう彼氏彼女ではなくなっても、これでは傍から見れば彼氏彼女だ。
行こう行こうと急かす雅樹をあからさまに不審な瞳に映して、けれど莉鳥は雅樹の隣に並ぶ。昔と変わらず軽い口調で冗談とも本気とも取れぬことを口にする元彼を時折醒めた流し目で見遣ったり、
「……馬鹿」
時折は短く鋭い突っ込みを入れたりする。
学校を出、夕暮れの街をふたりで歩く。帰ろう、と言ったその癖、雅樹が足を向けたのは雅樹が今暮らす猫鳴館ではなく、莉鳥が暮らすシーサイドタウン方面。
「あれ乗ろう!」
賑わうシーサイドタウン駅前に至ったところで、雅樹は不意にシーサイドアウトレットの大観覧車を指し示した。
高所恐怖症な元彼の言葉に、莉鳥は瞬く。
(そういえば)
去年の誕生日はアウトレットのゲームセンターに行って、互いに欲しい物を買い、大観覧車に乗った。去年のあの日も、雅樹は怖い怖いと言いながら楽しそうだった。
彼氏彼女だった去年と同じ場所に行こうと言う元彼の言葉に、けれど莉鳥は小さく頷く。雅樹の本意は分からぬまでも、
(……誕生日だし)
一人きりで過ごすのは嫌なのかもしれない。ちらり、己の心中を思った。
張り切って乗り込んだはいいものの、観覧車が動き出すなり雅樹の顔は引き攣った。乗り込んだ当初は寒い寒いと言いながらも端に寄って窓の外の夕闇を眺めていたその癖、今はベンチの真ん中で全身を強張らせている。
「ゆ、ゆゆ揺らすなよ、揺らすなよ」
「……高いところ苦手なくせに、高いところへ行きたがる」
向かいのベンチに腰掛け、窓の外に広がるシーサイドタウンの夜景を眺めながら、莉鳥は栗色の瞳をほんの僅かに細めた。
「……バカと煙は――」
「それを言うなって!」
震える声で喚けばいつものように冷静な流し目を寄越し、それきり興味を失くしたように窓の外を眺める。
(変な奴だと思われてるんだろうな)
無口な元彼女の横顔を見つめたまま、雅樹は鞄から小さな包みを取り出した。
「椎井」
呼びかければ、莉鳥の瞳は己を向く。
不愛想で大雑把なせいで取っつき悪そうに見えるけれど、本当のところ、莉鳥は優しい。困っていれば手を貸してくれた。彼氏彼女の関係でなくなった今も、誘いを断られたことはほとんどない。
雅樹が差し出した包みを見、雅樹をもう一度見、莉鳥は僅かに首を傾げた。
「……これ、誕生日プレゼント?」
「バレンタインデーのお返しとは別だからな」
雅樹がおどけて言ってみせても、莉鳥の表情は動かなかった。
「……ありがとう」
それでも、付き合いの長い雅樹には分かる。莉鳥はそれなりに喜んでくれている。
(感情表現が苦手なんだ、こいつは)
包みを開き、中身が今使っているスマホのイヤホンと色もタイプも同じ、実用一点張りのものであることを確認した莉鳥は、無表情のまま早速イヤホンの交換に取り掛かった。
好みが以前と変わっていないことに雅樹が安堵するうち、観覧車は一巡りして元の場所へと戻った。観覧車を降りたふたりは、吹きさらしの乗り場を離れ、海の見える道を歩く。
(去年は、この後……)
隣を歩く莉鳥の細い肩に腕が触れそうになって、気づかれぬうちに僅かに距離を取る。
「寒いな」
「寒いわね」
何ということのない会話を交わしながら、雅樹は去年を思う。
去年は、観覧車を降りた後、莉鳥の家に向かった。
「……今年は一人かと思った」
「今年も、おじさんとおばさん留守なのか」
莉鳥がぽつりと零した言葉に、雅樹は白い息を吐き出す。
去年の今日も、莉鳥の家には親がいなかった。だからこそ、莉鳥と雅樹は、――バレンタインデーの初めての夜と同じように、自然と体を重ねた。
「送るよ」
「……ありがとう」
今年最後の雪さえ降りそうな冷たい空気の中、帰路を辿る。
「なあ、……」
問いかけて、止めた。口を噤む雅樹を見遣り、言いかけた言葉を問おうとした莉鳥も唇を閉ざす。
本当は、一緒に高校二年になるはずだった。
莉鳥が期末試験を放り出した理由を、雅樹は知らない。分かっているのは、それがなんとなく始まったふたりの恋の自然消滅のきっかけだったということだけ。
(元々大人びていたけど、今は俺より大人だよ)
夜道を送り届けてくれた雅樹に軽く手を振り、暗い家に入っていく莉鳥の華奢な背を見つめる。
(なんか、)
取り残されているような、気がした。
自分の家を素通りして猫鳴館への道を歩きながら、雅樹は冬の夜空を仰ぐ。
先に二年生になったのは自分の方なのに。彼女を置き去りにしたのは自分のはずなのに――
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月14日
参加申し込みの期限
2016年11月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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