【思い出の記録（部活編その４）】

　陸上部から離れ、部室棟の二階でも昼食を取り終え新聞を読んでいた生徒が居た。
「～♪」
　軽音楽部の部室内で、雨寺 凛は耳につけたイヤホンから流れる曲を聞いていた。
　以前、自分達軽音楽部が作成した曲と、そして新歓祭で作った時の曲。
　思い出深いこの曲を聴きながら、凛は自分の記事とアリーセの記事に目を通していたのだ。
「アリーセちゃんも色々やってるんだなぁ……うん、私も負けないように頑張らないとね！」
　軽音楽部員として、凛もまたアリーセには負けていられない。
　近くにおいてあった自分のギターをケースから取り出し、凛は部室内で弾き始めていた。

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軽音部での活動、そこで出会った友達

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　私はこの春に、音楽の勉強の為にこの寝子島に越してきて寝子島高校の芸術科に入学したんだ！
　前から高校に入ったら軽音楽部に入りたいと思ってたんだけど、聞けば去年は軽音楽部は部員が少なくて活動出来なかったんだって。

　でも今年になって音楽がやりたい仲間が集まった結果、見事軽音楽部は再結成することができたんだよ！
　そして入部して間もない日、『らくがお仮面』が現れるという噂が立って、それに対抗するためにライブを慣行したんだ！
　学校に入って早々に念願のライブができるなんて願ってもない話だったよ！盛り上がって良かったなぁ

　それから少し経って、新歓際があったんだ。
　そこで舞台上で同じ軽音楽部のアリーセちゃんと一緒に題に沿って曲と歌詞をその場で作って発表するという演目にチャレンジしたんだ！
　これも大盛況でアンコールまで来たんだよ！

　こういったイベントを通じて今では素敵な音楽仲間にたくさん出会えたんだよ！
　ほんと、この学校の軽音楽部に入って良かったって心から思うよ！

　【軽音楽部の大切な音楽仲間達との一枚】

記事コミュニティ：軽音楽部
記事提供：雨寺 凛

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【思い出の記録（部活編その５）】

　公式として認められてない為、部室を間借りしている寝子島高校ミステリ研究会（ミステリ研）の室内にも生徒の姿がある。
　昼食のお弁当を全てちくわでコーディネイトしていた新井 すばるは、満足そうにそれを平らげ、新聞へと目を通していた。
「はは、載ってるね、僕達の記事」
　楽しげに自分と、そして部室内に設置されている、無駄に豪奢なテーブルの上に置かれた紅茶を飲んでいるブリジット・アーチャーにすばるは声を掛ける。
「ふふん、どう、すばる。私の記事、ミステリアスに書けているでしょう？」
　匿名で記事を提供したブリジットは、自信満々にすばるへと答えを返す。
　あえてブリジットが匿名で記事を提供したのは、ミステリ研の存在自体をミステリに紹介したいが為であった。
「もちろん、これなら十分そう見えるだろうね」
　すばるが目を通した記事。
　ミステリ研の紹介という名のそれは、確かに【部室に便器があった】という思いもしないミステリが書かれていたのだった。

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ミステリ研～謎の便器の真相やいかに！～

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　ミステリ研、正式名称は寝子島高校ミステリ研究会。

　間借りしている部室棟の一室は、無駄にハイスペックなＰＣやティーセット陳列棚も置かれ、リッチでリラックスできる快適スペースになっていますが…この部屋になぜか便器があるという情報が流れました。
　ええ、便器です。トイレのアレです。
　それも、暗い中では利用者に対し優しくブルーライトが便器を照らし、その上ウォッシュレットも完備。
　果ては、用を足している時でさえ、心を鎮めてくれる音楽が流れる機能までついている、高級便座です。
　なんでこんな高性能の上、高級な便器がトイレでもない部室内にあったのか……誰でも不思議に思うでしょう。

　もちろん、その真偽を確かめるべく関係者に問いただしてみました。

「あ、あれね。あれは妖怪トレペちぎりをおびき寄せるために、私が持ち込んだの。
別の場所で捕獲されたから使われなかったけど」

　以上が、同好会の設立者ブリジット・アーチャーさんの弁。
　謎は深まるばかりですが、ミステリ研の部室には便器がある、という噂は事実でした。
　残念ながら、取材に訪れた時にはすでには便器は撤去済みでありませんでしたが……
　今は、部員の芸術科１年、新井 すばる君の実家で有効利用さているそうです。

記事コミュニティ：寝子島高校ミステリ研究会
記事提供：匿名

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　ミステリというよりも、主題が便座に行っているような気がしないでもないが、これはこれで十分ミステリ研の宣伝になる。
　――あくまで、興味の対象、という事での意味であるが。
「当然ね。すばるだって、あのトイレ、ちゃんと使ってるんでしょ？」
　記事内に書かれている内容に書かれている、すばるが持っていった、という一文は、ブリジットも確かに確認した事である。
　現に今、この部室内には存在していないのだから、すばるが持っていった事は間違いは無いのだ。
「もちろんさ。記事にも書いた通り、有意義に使わせてもらってるよ」
　ブリジットが提供した記事に続く形で、すばるの記事は載っている。
　そこには、持って言った後の事までしっかりと書かれていた。
「そ、なら大切に使う事ね」
　テーブルの上に置かれたティーカップを手に取り、ゆっくりとブリジットは口をつける。
　すばるもまた、自分が書いた記事を満足そうに見ながら、ミステリ研の二人はどこか満足げに昼休みを過ごていく。

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ちょっと甘い思ひで～二人はくさい仲？～

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――匿名の記事について、新井 すばる氏に疑問をぶつけてみました。

　あ、便器ね、あれ、部室に置いといてイスとして使っても、なかなかお洒落だなとかも、一瞬考えたんだけど、絶対にやがみん（八神 修）が激怒するだろうから家に持って帰ったよ。
　うん、彼は潔癖だからね。そのままにしておけば、何を言われるか分かったものじゃないのさ。

　だけど、ブリジットさんとの思い出の品だし、ほんとは時計の鎖につけて記念にしかったんだけど、いかんせん大きすぎたね。
　ほら、重いしさ。部室から出すだけでも大変だったんだよ？

　――デザイン？
　さぁ、はどうなんだろ？
　ボクは便器の専門家じゃないからわかんないけど、いけてる方じゃないかな？
　いや、うんごめん、適当言った、今（笑

　って、そうじゃないね、鎖にはつけられないから持って帰って来たよ。
　えっちらおっちらってね、ほんと重かった。
　両親？ そりゃ、びっくりしてたよ。何事だって。
　ま、息子がなんの脈絡もなく便器抱えて帰って来たら驚くよね、そりゃ。
　買えば高いもんだからって、なんとか丸め込んだ。
　光って音楽が鳴るのに、妹のつくねが喜んだのも勝因だったね。
　うん、というわけで、あのトイレは、いま家にあるよ。

　ふふふ、これで謎は解決かい？
　じゃ、ご一緒に――
　「Ｑ．Ｅ．Ｄ!!」

記事コミュニティ：寝子島高校ミステリ研究会
記事提供：新井 すばる

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【広告欄：部活編その５】

　昼下がりの北校舎屋上は、教室がある南校舎とは違い、生徒達の姿もほとんど見受けられる事が無かった。
　そんな中で、添木 千唐は一人、ペットボトルのお茶をお供に新聞を読みふけっていく。
「支援部はここか……」
　誰もいないこの場所で、千唐が普段浮かべているような偽りの笑顔や口調と言ったものを作る事は無い。
　外面としては確かに必要であるが、せめて一人の時であれば、そんな無用な気遣い等をする必要もないのだから。
「はは、浅山さんも一言書いてくれてるか。これなら、見栄えもするだろうな」
　千唐がこの新聞に提供した記事、それは自分が所属する学生支援部の宣伝であった。
　少しでもこの支援部の名を広めたい。
　小淋が新聞部側を手伝っている為に、千唐は自分からこの一言を小淋に話していたのだ。
「さぁて、そろそろ戻るとしようか……普段の俺に、ね」
　ポツリと、千唐はそれだけを口にし、新聞を畳みながら立ち上がる。
　広告として載せられたのなら、これを見た生徒達から支援部に相談しに来るかもしれない。
　支援部の一員として働く事。
　それは千唐にとっても重要な、そして大事な事なのだから。
　――普段のへらりとした笑顔を作り、千唐はそのまま屋上を後にしていた。

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あなたの活動支援します！

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　寝子島高校 学生支援部。

　寝子島高校の学校生活を支援すべく発足した部です。
『寝子島高校での学校生活を円滑に、かつ生徒の自主的成長の手助け』を理念に、生徒達や他人が抱えるトラブルや悩みを解決し、安心できる学生生活を送れるよう手助け・ボランティアする活動を目的としています。

　困った事、やりたい事がある方はお気軽にご相談ください。
　私達があなたをサポートします！

　※寝子島高校の関係者ならば、先生や卒業生の方々でもお気軽にどうぞ。

　また一緒に活動してくれる部員、顧問、協力者も随時募集しております。
　一緒に寝子高の皆の為に頑張りませんか？
（現在、久保田先生が協力を表明してくれています）

【学生支援部部長：浅山 小淋より】
　支援部というのはより生徒達の為に常に依頼に応えていく部活です。
　アウェアネスリボンを元としたこのマークには、寝子島の象徴である猫の意味も込められたものとなっています。

　猫の手も借りたい人のための部活動、そういった思いのもとに支援部は設立しました。
　もし何か悩みを抱えた時、私達に相談に来てください。

　何時でも、私たち支援部は皆様の相談をお待ちしております。

広告コミュニティ：学生支援部
記事提供：添木 千唐・浅山 小淋

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