【思い出の記録（部活編その１）】

　昼休みが開始され、半ばを過ぎた頃にはちらほらと昼食を食べ終え、それぞれが談笑を始める場面も見え始める。
　そんな中で、七音 侑もまた、教室内でお菓子を齧りながら新聞へと目を通していた。
「部活の事を書ければって思ったけど、やっぱり一番初めが印象的だったもんにー」
　侑は自分が所属している陸上部を含め、一年の生徒達が入学後に行われた勧誘の風景を思い起こす。
　既に部活に所属している生徒や、元から入っていた二・三年、そして仮入部を含めた一年生達の姿。
　それらもまた、侑にとっては思い出深いものであったのだ。
「ま、あれがあったからこうして陸上部にも居るわけだしね。うにっ、インハイ予選も近いし、私も頑張らないと！」
　真央と同じく、侑もまたインハイに向け練習を行っていたのだ。
　一つ気合を入れなおし、侑はとりあえず残った記事へと目を通していく。

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４月の部活紹介～大騒ぎオリエンテーション～

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　それぞれの特色を出していた部活紹介。

　今年は初めからどこの部活に入るか決めていた生徒が多いみたいで一年生が積極的に勧誘、説明をしている光景が多かったようだ。

　運動部では既に入部している1年生含め生徒が実演をしてみせたり、競技の内容を教えており、仮入部に来た生徒達も気兼ねなく質問できている様子だった。

　文化部はビラ勧誘をはじめ、軽音楽部の演奏などパフォーマンスも多く遠目に見学していた生徒達も足を止めて魅入っていた。

　それぞれの生徒達は元気に、そしてこれから部活に所属してくれる新入生達に全力で伝えていた事をうちは覚えている。

　途中ハプニングもあったようだが、このオリエンテーション期間は無事に終了する。
　新入生達は新しい学校生活に向けて、そして在学生達には新たな1年の始まりを。
　それぞれが期待に満ちあふれることになっただろう。

　うちも、所属している陸上部で結果を残せるよう、この三年間を全力で頑張りたいと思う。

記事提供：七音 侑

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【思い出の記録（部活編その２）】

　７月に入れば、各運動部や文化部でも大きな大会が多くなっていく。
　その為に、それらの部活を応援する側の生徒達もまた、忙しくなっていくのだ。
「う～ん、次の応援のダンスどうしよう……」
　チアリーディング部に所属する姫神 絵梨菜も、そうした忙しさの中で悩みを抱える一人である。
　これから色々行われるであろう大会に対し、応援というものは決してなくてはならない物なのだ。
　その中でも、声を出して応援する応援団とは違い、チアリーディング部はその動きで選手達を応援する。
　だからこそ、練習や動き、そしてダンスと言った練習は欠かせないものとなっていた。
「新聞にも記事を載せてもらったしね。これから忙しくなりそうだよ♪」
　悩みはするが、絵梨菜の顔には苦難と言った表情ではなく、楽しいといった表情での笑顔が映る。
　宣伝は十分、これから行われる大会に向けて、絵梨菜は他の部員と相談すべく、昼食を食べ終えた教室を後にしていく。

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応援の華、チアリーディング部をよろしく♪

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　寝子高にもチアリーディング部あるって知ってるかなっ？
　まだ非公認サークルだからあんまり知られて無いんだけど、ちゃんとあるんだよ！

　今居る部員数は部長さん入れて６人。
　第一グラウンドか体育館で、放課後にみんなで練習してるんだよ♪

　お揃いのコスチュームとかチーム名とかもみんなで考えてるところなんだ。
　可愛いのが出来るといいなっ！

　運動部の試合とかあるときは是非声をかけてね！
　応援に行くよ☆

　あ、でも、ローアングルからえっちな写真撮ったりするのは禁止だからねっ！
　最近変態さんが多いからちょっと困りものなんだよ。

　チア部は学園の華だけあってみんな美少女揃いだけど運動神経のいい子ばっかりだから、セクハラさんにはお仕置きしちゃうよ！
　うこん色の変態さんも撃退したし、可愛い仔猫は爪を隠してるんだから♪

　華やかなチアガールとは表の姿。
　しかしてその実態は、乙女の敵を必殺のチアガールハイキックで撲滅して少女達の平穏な学園生活を影から応援する、美少女仕置人軍団★
　――なーんてね。冗談だよっ。多分ね☆

記事コミュニティ：チアリーディング部
記事提供：姫神 絵梨菜

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【思い出の記録（部活編その３）】

　チア部が動きで応援するのであれば、もちろん声の花形は応援団である。
　インタビューで記事にされていた灸と共に、昼休みの南校舎屋上で、深民 実々は新聞に目を通していた。
「ママキュー、朝のアレはビックリだったよー。私のクラスまで声が聞こえてたもん」
　新聞からちょっとだけ目を離し、実々が灸へとその事を伝える。
　朝の一件、インタビュー記事を読んだ際に、灸が校庭で応援歌を歌いだしたその時の事を。
「はは、わりぃな。つい気分が盛り上がったもんでよ」
　豪快な笑顔のまま、灸は実々へと返事を返す。
　正直、ノリで動いたといった方が大きかったが、その行動自体は実々にとっても灸らしいと思えるものであったのだ。
「だろうねー。でもほら、チアリーディング部の記事もあるし、これからの大会の応援とかで協力できないかな？」
　互いに応援を行う者同士、手と手を取り合えばより大きく、そして選手達にも力を与える事が出来る。
　今の所、応援団の唯一の女子である実々にとっては、彼女達の援護は助かるものになるのは違いなかった。
「そうだな……悪くはねぇと思うが……」
　チャラチャラした雰囲気になるのは余り好きじゃない。
　実々と違い、灸にとってはこの一点が気になるところではあるが、それでも今はまだ応援団を再建したばかりであり、力が足りないのもまた事実であったのだ。
「だよね？ それに、この記事で女子の団員が来てくれれば私も嬉しいしさ！」
　軽やかに、綺麗な笑顔を浮かべながら自分の記事を見せる実々に対し、灸はそれ以上を口にせず、ただ一つだけ頷く事で返事を返す。
　――再建したばかりの応援団を、より盛り上げる為に。
　二人の意志は、ただ一直線にそれだけを目標としていた。

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応援団に入って

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　寝子島高校1年3組　深民 実々
　今年の4月、私は私立寝子島高校に入学しました。

　昔から身長が低くて子供っぽいと言われてたので、髪型をお団子頭にして背を高くしてみたり伊達メガネをかけて知的っぽい印象にしたりしてみました。
　でもそれじゃだけ駄目です。外見だけじゃなく行動もしないとと思いました。

　入学式の後、たくさんの部活が勧誘している中で私は応援団に惹かれました。
　大声を出すのは得意だし誰かを応援してみたい、そしてなにより制服の学ランに赤いハチマキの姿がとてもカッコイイと感じたんです。
　制服を着てあんな風に声援を送っている自分の姿を想像したらもっと自信が持てると思いました。

　入団した後倉庫を探して、ようやく体に合うXSサイズが見つかり憧れの制服を着ました。
　屋上での練習、団室での話し合い、まだまだ始まったばかりだけどみんなで頑張ってます。
　体育祭や部活の大会で一生懸命演技できる日が楽しみです。

　――私たちと一緒に応援団、やりませんか？――
　もし興味があれば部活棟の応援団団室へ是非！
　女子部員も活躍中！

記事コミュニティ：応援団
記事提供：深民 実々

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【広告欄：部活編その４】

　昼休みの部室棟。
　こちらで昼食を取った生徒も少なからずおり、陸上部の室名札がかけられた一室では、同部活に所属する志波 拓郎と、顧問である浅井 幸太が新聞を読んでいた。
「むぅ……あれだけしっかりやったのに、結局誤字があったんだな」
　二人が読んでいる記事は、この陸上部を多くの生徒に知ってもらおうと広告として出した記事である。
　拓郎が本文を書き、幸太がそれをチェックする形で新聞部の部室へと持っていったのだが、事前に新聞部よりの報告で、幾つかの誤字が見つかっていたのだ。
　掲載時には、これを新聞部側で修正を行っていたのだが、拓郎はこの状況に少しだけ落ち込んでいた。
「すいません……もう少し……確認……したほうが……よかった……です」
「いや、志波のせいじゃない。最後に確認したのは俺だ。責任があるなら、俺にある」
　強く拓郎の肩を叩き、幸太はその言葉を掛ける。
　失敗なんて誰にでもあるもの、気にする時間があるのなら、それ以上に頑張ればいいだけだと、後に続けながら。
「……はい。ありがとう……ございます」
「はは、なんのこれしき！ それに、これで陸上部の部員が増えるのなら、俺だって嬉しいしな！」
　からりと、好青年張りの笑顔を作り、幸太はグッと拳を握る。
　陸上部全体がインターハイ予選への練習へと向かう中、少しでも部員が増えてくれる事を期待しながら、二人はそのまま記事と陸上の話題で盛り上がっていた。

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来たれ陸上部！～共に青春を駆け抜けよう！！～

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　「楽しく頑張りたい！」というやる気があれば経験者、未経験者、運動を高校になってから始めたいという方でも皆大歓迎！

　陸上競技には、
　長距離、短距離、障害走、走幅跳、走高跳、ハンマー投げ等……
　走るだけでなく、跳ぶ、投げる、と様々な種目があります。
「早く走るのが苦手！でもなにかしたい…！」という方も、自分に合った種目がきっとある！

　経験豊富な先輩方、そして親しみやすいと皆の注目を集める浅井 幸太先生が丁寧に指導してくれます。
　選手だけでなく、マネージャーも募集中！
　体験入部や見学も３６５日受け付け中！
　気になった方は是非陸上部の部室を覗いてみませんか？

広告コミュニティ：陸上部
広告主：志波 拓郎

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