Hello New World｜リアクション

Hello New World

■チャプターＢダッシュ：眠らない国家
　神・修の作りたもうた鏡面地球には、独自の生命が生まれていました。
　既に神・修の手から離れたその地球に生まれたのは、枯れない花と青いままの草原でした。
　木々はいつまでも高く高く伸び広がり、花はいつまでも香りたかく揺れています。
　大地を花が埋め尽くし、そのなかに神・遠野まほろはいました。
　神・まほろは優しい世界を望みました。
　この地球は、神・まほろの望む世界を作るのにぴったりだったのです。
　まずはネコさんを生み出しました。
　次にイヌさんを。キリンさんにゾウさんを。
　やがて沢山の動物たちを生み出した神・まほろは、彼らが互いにコミュニケーションをとれるように共通言語を与えました。
　果実を食べたいクマさんと、子供を育てたい鳥さんが話し合い、いつまでも高くそびえる木を家にすることにしました。
　蜜を集めたい蜂さんとご飯が欲しいヘビさんが話し合い、どこまでも広い花畑に道ができました。
　やがて木々と花々は彼らの食料となり、家となり、地球をどこまでもどこまでも埋めていきました。
　神・まほろはこの世界に優しさを見いだして、安堵の眠りにつきました。
　けれど神・修が定めた一つのルールが、動物たちを星の外へと駆り立てました。
　それが、知的欲求です。
　かれらはどこまでも伸びる木々を育て、星の外を知る計画を立てました。
　どこまでもどこまでも伸びる大樹は、やがて巨大な柱となり、やがて星を飲み込み、やがて銀河をも貫き始めます。

　『宇宙の木』は動物たちの楽園です。
　この世界の住民はみな死ぬことは無く、草花を食べることで満足でき、争いもせずただただ木を育てることに熱心でした。
　この平和は、木が『世界の壁』をつくまで、続くでしょう。

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