Hello New World｜リアクション

Hello New World

■チャプターＡ：理論創世
　世界が生まれる前、二つの神様が話し合いました。
　万物は死ぬべきか、否か。
　神、旅鴉月詠は言いました。
「『創造と破壊は表裏一体である』。神々が思うさま世界を作り続ければ、世界が創造物で飽和してしまう。生と死の流転、代謝こそが自然発生する生命に進化選択の余地を与えることになる」
　神・八神修は言いました。
「飽和の先にあるものを、この世界では生み出せるはずだ。死を迎えない代わりに強い知的欲求と高い精神性の発達傾向を与えれば、爆発的に文明は進化する。それらが、俺たちの想像範囲を更に拡張する未来が見られるかも知れない」
　二人の主張は対立しました。
　だから神・修はこう提案しました。
「旅鴉が類似地球を作る間、俺は『もう一つの地球』を作る。境界線で世界を分けて、二つの可能性を試そうじゃないか」
「…………」
　神は互いに争うことをしませんでした。
　世界を創造する力があっても、他の神を傷付けるに至らないことを知っているからです。
　創造物のチェスゲームをすることも選びませんでした。
　なにより彼らは、この世界を良い者にしたいという部分で共通していたからです。
　そして神・月詠は修と別々に地球環境を作り始めました。

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