Hello New World｜リアクション

Hello New World

■チャプターC：正義誕生
　この世界には正義と悪が必要だと考えました。
　神・風雲児轟と、神・ナタリア・シシロヴァの言葉です。
「私は人々に恐怖をプレゼントします。人に害をなす、絶対悪という存在です」
「俺は世界にヒーローを作りたい。正義や悪の種になる、秀でた才能をちりばめる」
　この世界には三種類の悪意が生まれました。
　天災として訪れる火山の噴火や洪水や、宇宙のどこかから訪れる形容不明の破壊者や、どこから来るかわからない神秘的な悪魔です。
　ある者は絶望し、ある者は抵抗し、ある者は利用しようとしました。
　それができるだけの才能を持った人々が、この世界には生まれていたのです。
　人々にとって、悪は必要なのでしょうか。
　神・轟はこう考えています。
「悪が居るから、人は正義を生み出せるんだ。正義があるから、人は美しく生きられる。平和も愛も、人々が自分で作らなきゃいけないもんなんだ」
　一方で、神・ナタリアはこうも思っていました。
「もしヒトにとって絶対的な敵が現われれば、世界はどうなるのか。興味があるのです。争わずにいられぬ人々は、協力するのか、対立するのか、それとも自滅してしまうのか」

　世界は混乱を迎えました。
　ナタリアの生み出した『侵略者』が三つの国に現われたのです。
　平和な国々は彼らとの対話を試みました。
　知的な国々は彼らの利用法を探りました。
　力ある国々は彼らとの戦闘を決めました。

　平和な国は対話が出来ないことを知りました。
　知的な国は利用が出来ないことを知りました。
　力ある国は武力が通じないことを知りました。

　やがて人々は絶望に落ち、乱れ始めました。
　手を取り合うことを辞める者。
　知恵を捨て去る者。
　一時の優越のために力を振りかざす者。
　才能ある人々が笑い、力ない人々を利用する社会が生まれようとしました。

　けれど世界は壊れませんでした。
　勇気を持った人が。
　正義を持った人が。
　愛情を持った人が。
　世界のあちこちで立ち上がったでのす。

　彼らはまず世界と戦いました。
　いがみ合う人々をとりなし、絶望する人々をはげまし、死に行く人々を救いました。
　やがて世界は一つになり、『侵略者』との戦いを始めました。
　犠牲になったものは少なくありませんでした。
　けれど皆一つの目標を見定め、『侵略者』を打ち払うことに成功したのです。

　けれど神は、絶対悪をたった一度だけのものにはしませんでした。
　また再び、世界は『侵略者』に犯されるでしょう。
　苦難を乗り越えた世界は復興と混乱の波に呑まれるでしょう。
　けれど、人々は世界の中に、自力であるものを生み出しました。
　それは神々の誰もがあえて与えず、自ら作り出すことを求めたものでした。

　人はそれを。
　夢を呼んでいます。

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