【星幽塔】おつかいみんなでできるかな？（茹で蟹編）｜リアクション

【星幽塔】おつかいみんなでできるかな？（茹で蟹編）

「オラも剣の稽古をお願いするっちゃよ！　星の力があっても、最後に物をいうのは地力さ思う。んだから、手抜かりなくやっておきたいんだべ」
　２人の申し出に、リブラスは「ほほう？」と楽しげに声を上げる。相変わらずフルフェイスタイプの兜である為に表情はわからないが……。彼（彼女？）はがしっ、とガッツポーズをすると頷いた。
「君達の気持ち、よくわかった。それでは、君たちも訓練に混じるとよいっ！　マァアアアスルウゥウゥゥ！」
「「マッスルー！！」」
　気合の篭もった声でポーズを決める３人。その後にいた圭花は
（お腹がすいている身としては、少し辛いかしら……）
　なんと思うのだった。

　訓練兵たちに混じり、剛と海斗が訓練を受ける。その様子を眺めながら圭花はさり気なく自主鍛錬していた別の兵士と何気なく話していた。　
　最近の話題は、次の法王を選出する『コンクラーヴェ』で、皆どんな人がそうなるのか興味津々らしい。この階層を開放した際、前の法王は群集の手により引き摺り下ろされたと言っても過言ではなく、空位のままではより混沌してしまうかもしれないので、近々行われるらしい。
　あのどこか陰のある『偽りの平穏』よりも今の混沌としていながらも活気のある町並みの方が、圭花には、妙に居心地の良いような気がした。
　訓練を受けていていた剛と海斗は、武器の持ち方や扱い方を基礎から学ぶ。真剣な声色で指導するリブラスは実に厳しいものの、身体に自然と馴染んでいく。
「姿勢が歪んでいるぞ！　それでは相手に隙を突かれる」
「「はいっ」」
　激が飛ぶ中、２人は厳しい訓練についていき、リブラスとの手合わせでは海斗とリブラスが激しいつばぜり合いを繰り広げる。剛は剛で的確な攻撃を見せ、終わる頃にはリブラスに「君達も、騎士としての自覚があるようだなっ」と激励されていた。

　訓練が終わると、圭花がさり気なくアピール。
「第二階層での作業とかでちょっと疲れたわねぇ。私、お腹へってきちゃったわ。そういえば、ここの新しい名物という木の実のジュースってやつも飲んでいなかったし……」
　と、ここでさり気なく「食事がしたい」とアピール。
「おお！　確かに食事の時間になったな。ここの食堂は実に食事が美味しいのだ。是非共に行こう！　木の実のジュースも飲む事が出来るからな」
　リブラスは嬉しそうな声で彼らを食堂へと案内しようとする。だが、そこに女性が現れる。
「リブラス殿、少しお話が……」
「それは緊急か？」
　リブラスが問いかけると、女性は真面目な顔で頷く。リブラスは申し訳無さそうに３人を見た。
「君達は食堂で食事をとって行ってくれたまえ。私は、急用が出来てしまい、同行できなくなってしまった。申し訳ない」
　リブラスは「また会おう」と一礼して女性と共に去る。そして、新兵の１人が「案内します」と３人を食堂へ案内した。
「まぁ、残念やったな。リブラスとの食事は次へのお楽しみかもしれんな」
　剛の言葉に、「そうね」と残念そうに呟く圭花だった。

　帰りに聖なる木の実ジュースくじという物をみつけ、チャレンジする３人。そこで３人は結構な本数をゲットする。
（これはちょっと多いわ。差し入れに持っていこか）
　剛は結構な量になった木の実ジュースの瓶を見ながら小さく頷いた。