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寝子島の橋の下
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(雨の匂いがする)
寝子島大橋の向こうから吹き寄せる風に顔を向けるなり、空から流れ落ちた雨粒に頬を打たれた。
獅子目 悠月
は榛色した瞳に髪と同じ赤銅色の睫毛の影を落とす。
(油断した)
今朝方に見た天気予報で、帰宅するまではぎりぎりもちそうだと判断し、傘を持たずに出かけてしまった。
寝子島街道に沿う歩道に立ち尽くす。
歩道を短足のハチワレ猫と共に歩いていた三つ編みの少女が、突然の雨を予測していたかのように空を見上げ、猫と共に足早に旧市街向けて歩いて行く。
大橋を渡る寝子電の音を耳に、電車の窓に灯る光を眼に、大橋の向こうを見遣る。夕暮れの茜よりも宵闇の群青を濃く映した冬の海の向こう、本島が闇色に広がっている。
海を渡ってどこまでも続いて行くはずの道を、本島が壁のように塞いでいるように見えて、悠月は瞳を僅かに顰めた。知らず歪む頬を瞼を再び雨粒が打つ。氷雨降らせる雲を仰いで追えば、九夜山の空は明るい。月の光さえ零れて見えて、ならば降雨はそう長くはあるまいと踏む。
頬濡らす雨を指先に拭い、雨宿りできそうな場所を探して視線巡らせる。
蜘蛛の糸のような雨に白く煙り始める旧市街、薄い雨雲越しの月明かりに滲む寝子温泉の街灯り、闇よりも深い群青をさざめかせる夜の海。今日いちにちを掛けてつぶさに目にして回った寝子島をぐるり見遣り、行き当たったのは寝子島大橋の下。街道に沿う堤防の片隅にある小さく急な石段を降りれば、橋の下に潜り込むのは難くないようだった。
次第に強さを増す雨を避け、橋の下へと移動する。
橋桁の下に入ってしまえば、鉄橋を渡る電車の音も、寝子島街道を行き来する車の音も、案外に聞こえなくなった。
橋の下、雨音に閉じ込められる。
思っていたよりも静かな橋の下に広がる砂利まじりの乾いた砂を踏んで足跡をつけながら、音もなく寄せる波打ち際に寄る。靴先に海が触れるか触れないかの際に立ち、橋や海に降る雨の音に耳を澄ませる。
思うのは、この島に渡って来るまでのこと。
それから、この島に渡って来てからのこと。
(この島に来るまでは)
水族館に行ったり、海に行ったり。そういう『フツウ』を経験することも、楽しむことすらも容易く許されなかった。
(けれど)
この島に来て、自分なりの自由を見つけた。道を見つけた。厚い雲を抜けて青空に突き抜けるが如く先が開けたように思えるようになったのは、それ以来だ。
この島で出会った人々と共に過ごす『フツウ』を大事に思えるようになってからだ。
――Mio destino
あの日、異国の言葉で真っ直ぐに向けられた言葉が胸を過る。
(俺の運命)
そういう意味なのだと、あの不思議な舞台の後に彼は言っていた。
二人でユニットを組んでみないか、とも。
彼の人懐っこい笑みが瞼に浮かんで、知らず頬が緩む。
この島に来ていなければ、得ることのなかった縁を思う。
この島に来ていなければ、人とユニットを組むことなど許容できなかった己を思う。
「Mio destino」
彼と同じ言葉を口にしてみる。
高校を卒業するまでに己の道を定めねばならない。少なくとも、父に抗える力をつけねばならない。そうせねば、遠からずこの自由は、――歌う自由は奪われる。
掌が拳となる。冷たく凍えた爪先を掌に刺さるほどきつく握り込む。
(……俺の、運命)
自由になりたい。そう切に願う。父が定めた運命になど、従いたくない。
身を苛む焦りが消えたことはない。けれど、この島に暮らすうちに、様々の不思議を、フツウを経験するうちに、己は着実に前に進んでいると信じられるようになった。
昂然と顎を上げる。
見据えるのは、橋の向こう。
(家に、父に相対する時、……)
家督を継がせようとするばかりの厳格な父を思えば、身が固くなった。
(きっと俺は独りだろう)
軋むほどに歯を食いしばっていることに気付いて、掌で強張った頬を擦る。詰まっていた熱い息を吐き、海と雨の匂いするこの島の冷たい空気を胸に流し込む。
(いや、)
いつか父と対峙する時のように、悠月は顔を上げる。真っ直ぐに、橋の向こうの本土を見据える。
(誰かを巻き込まない様に独りで戦わないといけない)
それでも、本当の意味で一人だとはもう思わなかった。
一緒に出かけようと声をかけてくれる人間がいる。
歌を聞きたいと言ってくれる人間がいる。
共に歌う相方がいる。
(この島に、味方がいる)
それはなんて心強いことだろう。
島の地を強く踏みしめ本土を見つめていて、ふとコートのポケットの携帯電話がメールの着信を知らせた。
画面を開いて確かめてみれば、それは件の彼からのメール。歌唱練習の都合を問う連絡に、素っ気ない文面で日時を打ち込み返信しようとして、
「……」
改行ボタンを連打する。画面を少しスクロールさせたその先、
『やるぞ』
たった一言を添える。
今度こそ返信ボタンを押し、ポケットに携帯電話を押し込む。
(俺の運命――)
寄せては返す波に、橋の上の街灯の光が花のように咲いている。
白く揺れる光が純白の薔薇のかたちに見えて、白薔薇の花言葉のひとつが胸に浮かんで、悠月は淡く微笑んだ。
(雨が上がったら)
己を閉ざす雨を眺める。
空の一角が明るい。雨は遠からず止む。
(白薔薇モチーフの物を何か買いに行くか)
それを使って、彼の申し出への応えとしよう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月29日
参加申し込みの期限
2016年10月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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