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バレンタインデーなんて知んねーし!
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ここは『ジオフロント』、その名の通り地下にあるバー。
薄暗くて狭い店だ。五人も入ればいっぱいになってしまうだろう。
けれども小綺麗に片付いていて、実際のスペースより広々とした印象を与えるのは、ママこと
ミッシェル・ナイスゲイ
の整理と掃除が行き届いているからだ。小洒落た内装、有線ではなくミッシェル選曲による落ち着いたBGM、嫌みにならない程度のハーブの香り、居心地の良さでは、そこらの一流店にもひけをとるまい。
会員制はとっておらずチャージ料もなし、劇団員やアングラ作家といった一癖ある客に、それなりに人気があるという。男女を問わず、心の傷ついた人間を優しく包み込んでくれる店としても知られているらしい。
店は混んでいるときと空いているときの落差が激しい。ひどいときは、最後までひと組も客がないときもあるという。
今夜もいまのところ、客はカウンターに陣取る一人きりだった。
「お代わり」
私立探偵
天利 二十
はそれだけ告げて、黙ってカクテルグラスを指で押しやった。室内なのにコートを着たままだ。
「あらあ、今夜はいつになくハイペースじゃない? またラムコークぅ?」
「……なんでもいい」
「じゃ、マティーニ作っちゃおうかしら」
ミッシェルは茶化し気味の口調だが、今夜の天利が、軽口を叩きたい気分ではないことは察している。ミキシンググラスに酒を入れ、緑色の瓶から注いだウオッカを加えて軽くステアした。
どうせ今夜もツケでしょうね、と半ば諦め気味のミッシェルなのである。
「ところで、明日はバレンタインよね」
空のグラスを下げ、水滴で円ができたコースターの上に、新しいカクテルグラスを音もなく乗せる。
「そうらしい」
まるで興味なさそうに天利は応じた。
「二十ちゃんは誰からチョコをもらう予定なの?」
「ないな」
「あら? 全然?」
少し間があった。天利がグラスを手にして、軽く唇を付けたからだ。
「甘いな……! これ、チョコレートリキュールがベースかよ」
「そう、チョコレート味のマティーニことチョコティーニよん♪ バレンタインだけにね」
うっふふとミッシェルは笑った。最初は顔をしかめていた天利だが、コクのあるウオッカは悪くなかったらしく、また黙ってもう一口つけた。
「で、二十ちゃんがチョコをもらう予定だけどぉ?」
「ないって言ってたろ。全然だ」
悪いか、と言うが早いか、天利はグラスを干したのだった。
「もうひとつくれ」
と告げて、天利はグラスに視線を落としている。
「……昔の彼女から、結婚式の招待状が届いた」
おやまあ、とミッシェルは髭の剃り跡を撫でる。
「チョコでいい?」
しばらく黙っていた天利だったが、ふてくされたようにうなずいた。そういう気分なのだろう。
ならばミッシェルにできることはひとつだ。
「でもね二十ちゃん、二十ちゃんにチョコを上げた子もいるのよ?」
天利は顔を上げた。
そうして、凍り付いたのである。なぜってそこには、
「アタシがアナタの本命チョコよ~ん♪」
どういう仕掛けなのか一瞬にして服を全部脱ぎ捨てたミッシェルが立っていたのだから!
しかも、そのたくましい肉体はリボンで飾りつけられているではないか!!
「チョコバナナはお好き?」
「お前……下品すぎる!」
「いやーん、不器用って言ってぇ~♪」
スツールから転げ落ちるようにして扉に逃れ、文字通り這々の体で天利は階段を駆け上がっていった。もしかして彼がコートを着たままだったのは、いつでも逃げられるように、という準備だったのだろうか。
「いやん待ってぇ~」
と身をくねらせるミッシェルに、
「支払いは月末だからな!」
天利は捨て台詞を投げていった。
「ふうん。ま、ちょっとは元気出たかしら?」
惜しい気もするケド、と、ぺろり舌を出しながら、ミッシェルはゆっくりと服を着ていく。いつも当然のように『ツケで』とだけ言って店を出て行く天利が、今日は珍しく月末に払うと告げていったのは、彼なりの感謝の表し方なのかもしれない。
ミッシェルが愛の賛歌(Hymne a l’amour)を鼻歌しながら蝶ネクタイの位置を直していたとき、ドアが開いた。
「……取り込み中かしら?」
「えっ? と、とんでもない! 歓迎よウェルカムよぉ~」
飛びついてキスの雨をあげたい気分! なぜってそこにいたのは、細身のスーツに黒のロングコートをあわせた
クローネ
だったからだ。そう、と短くいらえると、クローネは洒脱な仕草でコートをクロークにかけた。その目線、口元、革手袋をした指先に至るまですべてから、男装した戦前の映画女優のような危険な魅力を振りまいている。染めた黒髪がたまらなくセクシーだった。
気が向いてね、と妖しく告げると、するりとカウンター席にクローネは腰を下ろした。
もちろんミッシェルは、クローネにもチョコティーニを出す。
「今日は来てくれて嬉しいわ♪ 色々とすっっごく、お疲れ様!」
「それはお互い様ね」
ふふっと唇を歪めると、クローネは両手を差し出す。ミッシェルはかしずくような心境と面持ちで、ゆっくりとクローネの手袋を脱がせるのである。白く、美しい手があらわれた。思わず頬ずりしたくなる。
ミッシェルは近況を語った。先日の事件のおり、クローネの元に行きたかったのに記念アイテムがなくて参加できなかったことを詫び、『宗教法人クローネ教団』を立ち上げたことも明らかにする。その間しきりと、クローネは笑みをたたえてうなずいてくれた。
「そういえばクローネちゃんは誰にチョコをあげるのかしらん? 気になるわ~ん」
「さあねえ?」
クローネはつかみどころのない返事をする。
ここでミッシェルは小さな包みを取り出した。
「ハッピーバレンタイン、まあ一日早いけどね♪」
「あら?」
丁寧にラッピングされた小箱だった。
「友チョコ……い、苺チョコなの。もらってくれたら、うれしいわぁ」
断られるかも――ミッシェルは乙女のように緊張している。「いらない」と軽やかに拒絶されても、仕方がないとも思っていた。ところが、
「ありがとう! 感激ね。大事に食べるわ」
彼の手を包み込むようにして、クローネは笑顔でこれを受け取ってくれたのだ。
どぼー!
ミッシェルの目から、滝のように涙があふれた。ついでに鼻水も。
「受け取ってくれるのぉ~!」
「もちろんよ。ありがと♪」
「ミッシェル、感激!」
どどぼー!
大量の分泌物が怒濤の勢いで落ちていく。店が水没するのではないかという勢いだ。
「あともうひとつ、、チョコバ……チョコナナ!」
いそいそと自分の蝶ネクタイを引っ張ったミッシェルだが、そのときもう、クローネは席を立っていた。
「ごめんね」
懐中時計をのぞいて告げる。
「これから用事があって……ふふ、お礼はまた、時間があるときにでもさせて頂戴」
そうしてクローネは一陣の風のように、颯爽とドアをくぐったのである。
「ま、待って!」
慌ててミッシェルはクローネを追う。
しかし階段までたどりついたときにはもう、その姿は消えていた。幻であったかのように。
「クローネちゃん……」
鼻をかまなくちゃ、とミッシェルは思った。
なんというかもう、べたべただ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月17日
参加申し込みの期限
2016年09月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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