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バレンタインデーなんて知んねーし!
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特に誰かを想定したわけではないけれど、ほんの友チョコのつもりで、
市橋 誉
はチョコを作ることにした。
ところが材料を買い込んで寮の自室に帰ってきて、何を作ろうかと考えたとき、ふっと誉の頭に浮かんだ顔があった。
女の子の顔だ。
彼女はたいていいつも怒ったような顔をしているが、ときどきふっと、優しい顔をする。他にも、川底の砂に隠れた砂金のように、不意に恥ずかしそうな顔や、寂しそうな顔見せることがある。いずれもまれなことなのだが、それだけに貴重に思えた。
詠寛美の顔だ。
詠はチョコ好きだろうか、と誉は思った。
――甘いものは嫌いじゃないはずだ。焼き芋は美味しそうに食べてた。
このとき、いつのまにか彼は、『不特定多数に配る予定の友チョコ』に加え、『ある特定の人にあげるチョコ』も作り始めていたのである。ほとんど、無意識的に。
作成するチョコ菓子は三種類だ。
甘いものからビターまで、この全部が嫌いという人はそうそうおるまい。
ひとつめは、ビターチョコが甘過ぎないオランジェット。新鮮なオレンジピールの香りが爽やかだ。
つづいて、ナッツやドライフルーツで彩り鮮やかな、甘さ普通のトリュフ。こりっとした歯触りが絶品といえる。
最後は、生地にもチョコを混ぜて濃厚なチョコクリームが甘い、チョコ大福。意外な和洋折衷だが、この口溶け感は他では味わえないだろう。
作ったチョコをパンダ柄のタッパーに詰めると、アットホームな洋菓子店で買ったようなできばえとなる。
ストレートの温かい紅茶を、やや濃い目に淹れて魔法瓶に詰める。
おしぼりも鞄に入れると、うん、とうなずいて誉は、しっかりコートにマフラー、手袋装備で寮を出た。
山に入ると寒さはいっそうつのった。とうに夜なのだからなおさらだ。
落神神社への山道。風を遮るものがないから、マフラーがばたばたとはためく。
やがて鳥居をくぐって、ほっと安堵する。
風が止んだからではなかった。そこに誉が、寛美の姿を見つけたからだ。
あいかわらず稽古着ひとつで、つやのある髪を振り乱して、木に縛り付けたロープを引っ張っている。寒くないのだろうか。
「今日は寒いな」
と声を掛けると、寛美はぎょっとしたように振り返った。
ちょうどそのとき風が止まった。ふわっと誉のマフラーが下がり、寛美の前髪も垂れ下がった。
「市橋か……こんな晩にお参りか?」
こんな晩に寒稽古している人がそれを言うか、と、誉は笑いそうになったが、そこは抑えて呼びかける。
「ちょっと休憩しないか?」
「休憩……? そうするか」
ちょうどタイミングがよかったらしく、寛美は神社の石段に腰を下ろした。
「賽銭とか、先やっとくか?」
どうも彼女は、誉がお参りに来たと信じ込んでいるらしい。誉は否定も肯定もしないで、寛美の隣に腰を下ろした。
距離が近い。少なくとも普段よりは。
けれど寒さがその理由づけになったらしく、寛美はとくになにも言わなかった。
「明日はバレンタインだろ?」
「なんだ藪から棒に」
「チョコレート作ったから、一緒にどうかな、と思って。海外じゃ男から感謝を伝えるイベントでもあるらしいから……俺から詠へってね」
「なんだ市橋もイベントにかぶれてんのか」
一瞬嫌そうな顔をした寛美だったが、何か思うところがあったらしく、
「……まあ、前日だし、いいか。もらっとく」
珍しく素直に手を出したのである。ただ、受け取ろうとして箱の丁寧さを見て「わっ」と寛美は声を上げていた。
「お前これ……すごいな!」
「そうかい?」
「だったら、出しにくくなる前に出しとく」
ぱっと寛美は木のそば間で駆けて、ボロボロのリュックサックを手に戻ってきた。
そしてレトルトパックの『栗ぜんざい』を出してきたのだった。スーパーで売ってそうな普通のものだ。国内のナントカという食品グランプリで金賞をとったとか、そういう意味のリボンがついていた。
「そっちと比べるとすげー見劣りするけど……俺からもあるんだ……ほら」
「俺に?」
「そ、そーだよ……悪いか。感謝を示す日なんだろ、明日は。なんか、市橋には世話になってっからな、色々」
ぶすっとしているが、恥ずかしいようで寛美は視線を合わせようとしない。
「……今晩、おまえの下宿に投げ込んで帰るつもりだったんだけど、手間が省けたぜ」
多分本当だろう。窓がやぶれレトルトパックが飛び込んでくるところを想像して誉は内心苦笑した。
「ありがとう。大切に食べるよ」
「あげたのが『今日』ってこと、忘れんな。俺はバレンタインなんて知んねーから」
「わかってるって」
「……あと、さっさとしまってくれないか? お前のと比べると……ちょっと……」
「ああ、ごめん」
誉は『栗ぜんざい』をしまって、パンダのタッパーを開けた。
「チョコレート嫌いじゃなければ……あ、苦手な場合もオランジェットならイケると思う」
おしぼりを渡し、紅茶をいれ、詠を見守る。
「……嫌いじゃねーよ。あ、これ、チョコレートの話な」
手を拭き、おもむろにオランジェットを口にした寛美は目を丸くしたのである。
「うわ! ムチャクチャうま……! ……うん、悪くない」
と言いながらもう、彼女はトリュフに手を伸ばしていた。
チョコレートの甘さが油断を誘ったのだろうか。
寛美は、本当に嬉しそうな顔をしていた。
そんな彼女の首に、ふぁさっとマフラーがかかる。
「これはおまけ」
振り返った寛美の目を、誉はまっすぐに見つめ返した。
「……ば、ばかっ! 寒い中稽古するから意味があるんだ、そんなのいらん! っていうかお前が寒いだろーが!」
いいから巻いとけ、そう言って右手でマフラーを突き返し、またまた怒ったような顔をしてそっぽを向いた寛美だ。
けれど彼女の左手は、パンダのタッパーをしっかりつかんだままだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月17日
参加申し込みの期限
2016年09月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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