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バレンタインデーなんて知んねーし!
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楢木春彦はまた歩き出すのである。
別に明確な目的や行き先があるわけではなかった。放課後に、ただ街をぶらぶらしたかったのだ。しいて理由をあげるなら、そんな気分だったから、としか言いようがない。
ところがあまり、ぶらぶら歩きに向いている日ではなかった気がする。もちろんバレンタインデーの前日だからだ。
押し寄せるラブラブ、逃れられぬハッピームード。おお、リア充の匂いに充満した街よ……!
しかも街の中心に近づくに従って、ますますバレンタインムードは濃くなるのである。
浮き足立っている街に人、のべつまくなしにどうにもこうにも、甘くふわついた感じに包まれているではないか。爆発しろと言うべきか。
「青春してやがる」
思わずそんな言葉が春彦の唇から漏れた。なぜだ。なぜ青春は、自分だけを避けて通り過ぎていくのだ。
それはそれとして。
ついさっき獅子目悠月とぶつかったおかげで、春彦の頭の中には、先日の鴻上彰尋と会ったときの記憶が蘇っていた。
変な遭遇だったと言わざるを得ない。
あの日あのときあの場所で……!
――タイミング悪いっつーか、気まずかったっつーか……まさかあの瞬間会っちまうなんてな……。
できれば、もうちょっと違ったかたちにしたかった。
あるいは、しっかり説明する心の余裕がほしかった。こう言えたらよかった。
『限定チョコ特集が凄ぇ美味そうだったから見てただけで、別に気になるヤツいるトカ誰かにもらえるかの期待してトカじゃねーし! あと、俺が作って渡したいトカもねぇし!』
ああもういっそ、
『バレンタインデーなんて知んねーし!』
と言えたらどれだけ楽だったか!
――鴻上も変な誤解してねぇだろうなぁ……。
密度の高いブルーな溜息が出そうになる。されていないとは言いがたい。
なぜなら、あの時点では速攻で否定したとはいえ、彰尋のほうはなんだか気まずそうにしていたし、そもそもきちんと聞いていたかどうかすら怪しいからである。
今度会った時にもっかい否定しとくか?
ケドそれもなんか言い訳がましいっつーか逆に怪しいか?
春彦の悩みは尽きない。
雑踏の中で頭を悩ませていると道に迷いそうだ。やっぱりこの、バレンタイン空間にいるのはどうにも落ち着かない。
帰ろうか、と考えたときショックが訪れた。
「って、ぅわぁっ!!」
春彦は声を上げた。すぐ前方の四つ角から出てきた、
鴻上 彰尋
その人と目が合ったのである!
彰尋はこの日、いわく言いがたい焦燥めいた感情に駆られながら、学校帰りの足をシーサイドタウンの街中に向けていた。
明日はバレンタインデー、一年に一度きりの日。
彰尋は最後の準備として、チューリップの花を買いに来たのだった。
色は、赤。
黄色や白、紫ではない。彼が求めるのは情熱の色だった。
フラワーショップに代金を納入し、明日の引き取りということで予約を取る。
「ガールフレンドにですか? ロマンティックですね」
女性店員が微笑みとともに告げた。
ええ、と言うわけにもいかず、そんなことは……と言うのもおさまりが悪くて、彰尋は『そうなったらいいんですけど』という意味を込めた愛想笑いだけを返して店を後にした。
赤いチューリップの花言葉は『愛の告白』。
七夜 あおい
に告げられない言葉を、花に託したというのが正確なところだ。
彰尋にはまだ、あおいの手を強引に握るるような自信はない。けれども気持ちの片鱗でも、伝わってほしいとは願っている。
もう一つ、彰尋があおいに渡そうと思っているものがある。
それは手作りチョコ。正しくは、手作りのマカロンにチョコをサンドしたものだ。色も形も見事に仕上がっていた。
もともとはビニールでラッピングするつもりだったが、花屋への途上、たまたま立ち寄った雑貨屋で見かけたマグカップが、サイズといい見栄えといいマカロンと見事に合いそうだったので、彼は迷わず購入している。
正確に言えば順序は逆だ。もともとは、マカロンだけを手渡すつもりだった。
ところがマグカップを買ったところで何か物足りなく感じて、彼はさらにチューリップも準備することにしたのであった。
フラワーショップから出ていくらもいかぬうち、
「って、ぅわぁっ!!」
彰尋は春彦と目が合った。
「ビ、ビックリさせんじゃねぇよっ! 鴻上っ!」
偶然の出会いにしては驚きすぎという気もする。春彦はまさしく仰天している様子だ。
「妙なタイミングで会うなぁ……」
思わずそう告げそうになって、彰尋はすぐに言葉を飲み込んだ。雑貨屋の紙袋を、音を立てぬように背後に隠す。
「な、なんか俺に用か!?」
と春彦が訊くので、彰尋は意図的に視線を上げつつ平静を装った。
「今日は、ただ買い忘れたものを買いに来ただけだ」
「買い忘れたもの?」
最初の狼狽が去るや、春彦にはピンと来たことがあった。にやりと笑って、
「ほう、鴻上は街に、誰かのプレゼントでも買いにきたのか~? そういや、この間ラッピングの本買ってたしアレは役に立ったのかよっ」
などと言いながらにじり寄る。もちろん春彦とて、だいたいの事情は察していた。
まずい――彰尋は追い詰められた気持ちだ。天下の往来であおいの名前が出てくるのは避けたかった。ならば攻撃こそ最大の防御、ここで彰尋は攻めに転じることにする。
「プレゼントと言えば、楢木こそ」
将棋でいえばピシッと駒を打ち、『王手』を宣言した心境、彰尋は言うのである。
「結局チョコは
誰かさん
にもらえそうなのかな?」
ガガーン、と稲妻が落ちる音を聞いた気がする。明白に効果があったらしい。
「うっせー! 余計なお世話だっつーの! こないだのコトはさっさと忘れやがれっ!」
彰尋はぴょんぴょん跳ぶようにして声を弾ませたのだった。
危険な状態だ。お互いにとって。
これ以上相手に尋ねればこちらも答えねばならず、答えればますます質問を呼びそうな気配がする……。
ところがこの、互いに『突っ込んでほしくない』会話に突入しかかったこの状況に、不意なる第三者の訪れが休戦をもたらした。
「おっ、あそこにいるのって同じクラスの詠だ」
唐突に声を上げ、おーい、と春彦は手を振った。
詠 寛美
、ちょっと前に転入してきた生徒である。目が大きく魅力的な顔をしているものの、いつも不機嫌そうなのでちょっと近寄りづらい雰囲気の少女だ。実のところ春彦は彼女とはあまり会話した記憶はないのだが、現在の話題から離れられるのならば誰でも歓迎だった。
「詠、何やってんだ?」
「何って」
険しい目つきで春彦を一瞥すると、寛美は簡単に言葉を返した。
「買い物だ」
先日、洞窟の件があるので彰尋も彼女を知っている。
「偶然だね。俺もだ」
「そうそう、俺も俺も」
なんとなくアピールしたい気持ちで、春彦も言葉尻に乗っかることにした。
「そうか。まあ、繁華街だし大抵の奴はそうだろ」
別に女性っぽい話し方をしろという気はないが、なんとも会話を続ける気にならなくなる回答ではないか。実際、寛美は有無を言わせぬ口調で、
「じゃあな」
と告げてその場を立ち去……りかけて、なぜかつかつかと戻ってきた。
「おい」
乱暴に春彦に声を掛け、「手を出せ」とまた問答無用とばかりに告げる。
「え……何?」
思わず従った春彦の手に、寛美は何やら小瓶を乗せた。
「岩海苔?」
そう、岩海苔。別名、海苔の佃煮。ほかほかご飯の友とも呼ばれる。……そんな素敵な食品の入った小瓶だった。
「やるよ。そういや楢木にはこないだ教科書見せてもらったからな。ほんの礼だ」
「あ、ああ……どうも、サンキュ」
なぜ岩海苔? なぜ今? 春彦の頭の中では『?』マークがワルツを踊っている。
寛美は照れくさいのか春彦のほうを見ない。自然、彰尋と目が合うことになった。そうして彼女は、なんだか弁明するように言ったのである。
「この時期は世話ンなった人になんかあげるといい、って聞いてよ」
ふっと彰尋は目を細める。なんとなくだが、これが彼女なりの『バレンタイン』解釈なのかもしれない。その解釈を間違っているというつもりはないものの、だったら提案してみたくもなった。
「……それなら、お花を贈る、とかも良いかもね。ちょっと値段が張るから一本とかだけになっちゃうかもだけど。
花束だとさすがに男側として受け取るのはちょっと気後れしちゃうけど一本ならいいかもしれないよ」
「花? そういうの、性に合わねぇんだがな」
可愛げのない寛美の言葉であるが、その実、冷たく却下すると言うよりは、素直に「それいいな」と言いたくないからこう言っている風でもあった。
「まあ、よくわかんねぇが、アドバイスと思っとく。……ほら」
黙って受け取れと言わんばかりに、寛美は彰尋の手にも岩海苔の瓶(いくつか持ち歩いているらしい)を置いて、ぷいと立ち去ってしまったのである。
「なんていうか……猫みたいな子だよな」
春彦は肩をすくめる。とりあえず、岩海苔は今晩にでも開けよう。
「猫みたいか。そうかもね」
彰尋も小さく笑った。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月17日
参加申し込みの期限
2016年09月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月24日 11時00分
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