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バレンタインデーなんて知んねーし!
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雪こそ見ないもののやはり今日も、骨身に染みるほどの寒さである。
吐く息が白い。頬を撫でる風は冷たくて、乾ききった質感は紙やすりのようだ。
ダークブラウンのチェスターコート、そのポケットに両手を突っ込んで、
獅子目 悠月
はいくらか肩をいからせつつ歩く。やや強くなった風と早い歩調のためか、巻いたカシミアのマフラーは、吹き流しのようにはためいていた。両手に提げているのは、輸入食材店の紙袋だ。
食材の買い出し、といっても悠月にとっては、なかなか気合いの入る道のりだった。
来島のチョコよりは期待していい、とはいったものの――。
先日のことを思いだしている。あのとき、悠月はいささか大見得を切ってしまった……かもしれない。なぜなら彼にはそれまで、お菓子作りの経験らしいものがなかったからだ。
しかし悠月は口だけの人間ではない。言ったからには、と、さっそくその日からチョコレート菓子作りに邁進したのだから。人に渡すものである以上、半端なものを作るわけにはいかない。
書籍を買い込みネットも駆使して、慣れぬ手つきながら毎晩練習を繰り返した。おかげで一週間というもの、毎晩悠月の夕食は『試作品』の消化に費やされてしまった。今夜のディナーはチョコケーキ、明日のディナーもチョコクッキー……カカオ、カカオな毎日である。なかなか厳しかった。
しかれど短期集中特訓のおかげあってか、今の悠月はなかなかのパティシエぶりである。本職クラスとはさすがに言えないが、ちょっとした技量は身についている。
そうして、「今日は完璧に仕上げてやる」と、いよいよ本番、明日のための菓子に着手しようとして、悠月は材料が不足していることに気がついたのだ。練習で使いすぎたらしい。
そういうわけでいま悠月の提げている袋からは、卵にバターとチョコレート、加えて苺も顔を出している。いずれもひとつやふたつではない。菓子屋でも開けそうなほどの量だ。これではあと一週間は、カカオ夕食を続行することになるかもしれない。少し買いすぎた気もするが――とは、購入途中に悠月自身も気付いていたものの、足りなくなるよりは、と考え直してレジに直行していたのだ。
といった経緯で大荷物を左右に、それでも意気揚々と悠月は冬の街路を歩んでいるのだった。
そんな帰路の途上、
「うわっ」
と声を上げたのは悠月であったか相手であったか。
絵に描いた正面衝突を演じ、悠月は尻餅をついていた。バターと小麦粉の袋が落ちる。幸い、袋の底の方に入っていた卵は無事だ。
「よそ見してたらすんません……!」
同年代の少年である。彼は道に膝をつき、散乱した材料を拾い集めた。
「いや、こちらこそ。すまない」
無塩バターの包みを受け取ったとき、悠月と少年の目がぴたりと合った。それも、十と数センチの至近距離でだ。
ん? という顔をした少年は、
楢木 春彦
なのである。春彦は思った。コイツ海で見かけたヤツだよな? と。
見覚えがあるのは悠月も同様だ。
「ああ……あのとき鴻上が焼いた肉を食っていた……。そういえば星幽塔でも会ったな」
「確かに」
春彦はうなずいて立ち上がった。
なるほど見覚えがあるはずだ。道路脇にチョコレートが落ちているのに気がついて拾い上げる。
チョコにバター、それに小麦粉、手作りチョコ菓子の材料だろう。
納得しかかった春彦だが、引っかかるものを感じ、改めて相手に目を向ける。
くりっとした猫目、薊のように長い睫毛、赤銅色のポニーテール……たしかに女顔ではある。あるのだけれど、
――海んトキ胸なかった……よな?
少し、記憶に自信がない。
まさか相手は少女なのだろうか。声もどちらかといえば中性的だし女物も似合いそうだが、服装は男っぽいし。
気になる。
しかしだからといって、いきなり「お前女か!?」と訊くわけにはいくまい。「男……だよな?」のほうがダメージが少ないだろうか。いやいや、どっちにせよ間違っていたらちょっとした惨事だ。
そんな春彦の心を読んだわけでもあるまいが、
「獅子目悠月だ。寝子高一年」
と『彼』のほうから名乗ってくれた。女性でもいけそうな名前だけれど、まず男性だろう。同じ高校、しかもタメということも知って、春彦は少し楽になる。
「俺は楢木春彦、同じ寝子高の一年 体育科9組」
「俺は芸術科8組」
「なんだ、ご近所さんじゃねーか」
「そうらしい」
「その材料は……自分用?」
「まさか」
とすると……うーむ、と春彦はまた考え込みそうになるが、別に男性がチョコを作ってあげても悪いわけではなかろうし、あんまり指摘して物欲しそうに思われても困るので、
「じゃ、ま、そういうことで」
と片手を上げた。
「拾ってくれて感謝する」
ふっと笑みを浮かべて悠月も歩き出した。
「何かの機会にまた会うこともあるかもな」
という言葉を置いていく。
十歩ほど進んでふと、春彦は振り返った。
悠月の背が遠ざかっていく。特徴的なポニーテールも。
――誰にあげるんだろうな、あのチョコ。
あの悠月というのはクールな少年のように見受けられたが、それでも渡すときは、ほんのり頬を染めたりするのだろうか。「ほら、さっさと持ってけ」なんて照れ隠しを言って、投げ渡すようにするのだろうか。それともこっそり、普通に、相手の鞄に忍ばせたりするのだろうか。
なんとなく気になった。自分には関係のない話ではあるのだけれど。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月17日
参加申し込みの期限
2016年09月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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