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バレンタインデーなんて知んねーし!
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並んで歩くとたちまち、七音侑と工藤耀の間のわだかまりは消えていた。
バレンタイン一色の通りをゆく。ハートがあふれている。チョコレートが山積みになっている。たくさんの女性たちでごった返している店も少なくない。夕焼けに照らされたこの光景が、今日はさらに燦然と輝いているように見えた。
「やっぱバレンタイン前日なだけあって盛り上がってんな。甘い空気に甘い匂い……」
何気なくつぶやきながら、耀はスタボの新作ドリンクに口を付けていた。最初は熱いくらいだったが、歩くうちに冷めてきて、今ではちょうどいいくらいの温かさである。
「……この新作もすげえ甘い」
しかしこの唇に触れるフレーバーコーヒーときたら! 濃厚な甘さに咳き込みそうになる。たしかにコーヒーの味もまじっているが、甘酒なみの濃度の液体は、そのほとんどがチョコ味だった。これは本当にコーヒーなのか、本当はチョコレートをどろどろに溶かしただけのものにコーヒーの香りを付けただけでは……? そんな気すらしてくる。
ところがさすがは『お菓子な少女』、侑はまったく苦にせぬ様子で、
「そう? おいしーよ!」
と、もうその大半を飲み終えていた。
「おいおい、味覚大丈夫なのか。甘党の俺でも、こいつにはちょっと苦戦してるぞ」
「工藤君、まだまだ修行が足りないにー。明日はいよいよチョコ本番だというのに」
「チョコ本番って……」
その妙な言語感覚に、思わず耀は笑ってしまった。
本当に、七音と一緒だと楽しい。
こんな気持ちはいつ以来だろう。これまではこれが彼と彼女の『フツウ』だった。なのにずっと忘れていたような気もする。
しかしこのとき既視感というのだろうか、ふと耀は、ある感覚に襲われたのである。
――夕焼け、帰り道、隣に侑。どこかで見た光景だ。確か……。
そうだ。豁然として悟った。
それは耀が、最近見た夢のなかの光景だった。
思いだすと急に話したくなり、耀は「そういやこの前、変な夢を見て」と話し始めていた。
「……なぜか侑がお姫様で、俺が王子だったんだ。そしてどこかへ遊びに行く夢だった。もちろん、姫と王子の扮装のままで。しかもそれが、お菓子みたいなデザインだったりするんだな。メルヘンすぎて笑っちまうよな……」
一笑に付されてもおかしくない話だと思っていた。なのに意外にも侑は目を丸くして、
「そっくりな夢、見たよ!」
と声を上げたのである。
「工藤君と、学園祭のときみたいに王子と姫になって楽しいレストランで食事する夢なんだ」
侑は声を弾ませていた。
「工藤君がリンゴの国の王子様っていうのはピッタリだったに♪」
「リンゴの……!? マジかよ……」
偶然にしてはできすぎではないか、と耀は怪訝な顔になった。たしかに夢の中で、彼はそう名乗っていたのだ。『人のラブの味……俺の自慢のりんごとどっちが美味いかな?』という奇妙な台詞を口にした記憶もある。
まあしかしありえない話ではない、そう彼は考え直していた。
侑とのとりとめのない雑談で、同じ映画とかアニメの記憶を話した結果、互いに似た夢が形成されたという可能性はないでもない。
そんな耀の様子に気付かず、侑はまだ夢の記憶を語っている。だんだん、失念していたディテールも蘇ってきたようだ。
「ただ、工藤君がレストランを出るときに言った言葉が思い出せないんだに……工藤君?」
このときようやく侑は、耀が黙りこくっていることを認識した。
耀の心はもう、侑と同じ夢を見たかどうかという視点から離れていた。それはもう問題ではない。
――あれ。待て、何か大事なことを忘れている……凄く、大事な……!
耀はあの夢の内容を必死で思いだそうとしていたのだ。固結びされたロープの、解けない結び目をほどこうとするようにして。
あの夢にはなにか、大事なポイントがあった気がする。あったはずだ。
「夕焼け、帰り道、隣に……」
口にしたとき、ついに耀の記憶の封印は消えた。
――思い、だした。
自分の言葉を。その時抱いてた感情を。
「夢のときだけじゃない、多分それよりずっと前から……」
胸が熱くなる。レトリックじゃない。本当に、鼓動が高まり心臓が痛いくらいなのだ。
耀は足を止めていた。
そして、改めて侑に顔を向けていた。青ざめたような、あるいは上気したような顔を。
こんなに寒いのに、彼の額にはじわりと汗が浮かんでいた。
彼の顔を見た瞬間、侑もまた、思いだしていた。それこそ、突然スイッチが入ったかのように。
夕暮れの街は、たくさんの人が行き交っている。その雑踏の中、侑は耀だけを、耀は侑だけを、見つめていた。
いまなら引き返せる、それはわかっている。耀も侑も、わかりすぎるほどに。
気が合う友達同士という安全圏、非武装地帯にとどまりたいのなら、それ以上は言うべきではない。
しかし耀は、口を開いた。
「当たり前のように一緒にいて、遊んで、離れたら寂しくなって、不安になって……気が付けば、俺の時間の中にはいつもお前がいた」
やめて! と両手で耳を塞ぎたい欲求に、駆られなかったと言ったら嘘になる。
しかし侑は逃げなかった。その先を、待ち構えた。すでに知っているその言葉を。
『俺は、侑が好きだ』
夢の中で彼女に告げた言葉をもう一度、耀は現実の世界で口にした。
もう風を逃れることはできない。船は港を離れてしまった。
侑は黙っている。
ただ顔を赤らめて、黙っている。
耀はたちまち後悔に襲われた。
沈黙が、重い。
しかし侑は沈黙しているのではなかった。むしろその胸中には言葉の暴風雨が吹き荒れている。何百、いや何千と。
なのにこの状況に、ぴったりの一つが見つからないのだ!
こう言われるのをずっと何ヶ月も、待っていたくらいなのに!
――言わなきゃなのに、言わなきゃなのに! ちゃんとお返事しなくちゃなのに!
気ばかり急いて、頭はもう白い煙を噴きそうだ。嬉しいのだが恥ずかしすぎて、もう耀の顔をまともに見ることができない。
手はもちろん膝まで震えて、侑はこれだけ告げるのが精一杯だった。
「あ、明日ちゃちゃちゃちゃんと好きって言うからー!!」
早回しにしたビデオみたく口走ると、めちゃくちゃな足取りで侑は走り出した。次の瞬間にはもう、『ろっこん』を発動させて空を駆けていく。
――フライングすぎだよ! 工藤君のバカー!
どうしたらいいのか!? 明日、侑はどうしたらいいのか!?
「お、おい……! 侑……!?」
侑が流れ星のごとく消えた方角を見上げながら、耀は固まってしまっている。幸か不幸か、空を見上げる人は周囲になかった。
耀は固まったままだが、顔色は良くなっていた。口元には笑みすらある。
「……言ってるじゃねーか……好きって……」
けれど頭はぼうっとしている。39度くらい発熱している気分だ。
ああ、明日が来るのが待ち遠しい……ような、恐いような。
――勘違い……じゃない。本気だ。俺は。
咄嗟のことで言えなかった台詞を、耀は心の中で繰り返していた。
俺は彼女に恋をしている――。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
オールジャンル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月17日
参加申し込みの期限
2016年09月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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