らっかみ桃太郎伝説｜リアクション

らっかみ桃太郎伝説

●モモタロウ・アクト１
　むかしむかしあるところに――。
「うわー！　亀がとまらないのだー！　助けてあげた恩を忘れ……ハッ、そういえば助けたのは親の方だったのだ！」
　ひたっすら回転する亀にのって飛ぶ浦島太郎（役：後木真央）がおりましたが君の出番はまだ先だ。帰りなさい！
「昔話といえば三太郎が基本なのだゆえに主役を立てつつ――」
　空のかなたへ飛んでいった真央からカメラをずいーっと下……ではなく横にずらすと、青空を飛ぶ一機の輸送ヘリ。
　むかしむかしあるところに某国のスパイとその上官がおりました。
『お前の任務はこの国の桃太郎を暗殺して成り代わり、鬼ヶ島の秘密を手に入れることだ。世界情勢に関わる重要な任務だと思っておけ』
　画面ごしに語る上官（役：桜崎巴）。
　スパイ（役：サキリ・デイジーカッター）は黙ってその任務を聞き入れていた。
『現地では他の桃太郎が既に活動を始めているはずだ。彼らに出し抜かれるなよ。では、成功を祈っている』
「……」
　会話は終わりだとばかりに通信を切るサキリ。
「鬼ヶ島の秘密ね……眉唾な話を押しつけてくれたものだよ。さて」
　ヘリの扉を開けると暴風が流れ込み、サキリの髪を大きく乱した。
　身を乗り出し、眼下を見やる。
　サポーターの立てた『降下準備よし』の親指に頷いて、サキリはドアから飛び立った。
　自由落下に身を任せながら、パラシュートのヒモにてをかける。
　今度の仕事は早く終わればいいが……。

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