【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！

●ドキドキナイター

　１日目の講習を終わったら、ロッジで夕食を。
　本日のメニューは熊鍋。身体を温め、滋養効果があるので講習で疲れた体にはありがたい。
「熊鍋なのだ！」
　期待していたものが出てきたので、後木真央は大喜び。
「熊肉にはコラーゲンが含まれているから、お肌に良いわよ」
　尾鎌蛇那伊が言うように、熊肉には美容と美肌にも良いコラーゲンが含まれている。
「野生の肉は臭みが強い、固いと聞いたが、これは食べやすい」
　八神修の言葉を聞いたロッジの従業員は、冬眠直前に木の実を豊富に食べた熊を解体方法が上手な猟師が捌いた肉ですからと教えてくれた。
　肉の柔らかさと匂いは季節によって食べる餌、狩猟後の血抜きといった仕方で個体差が出るので、信頼している腕の良い猟師が処理したものを調理している。

　腹を満たした生徒は、就寝時間まで各々の行動に。
　ナイターをしたくて誰よりもウズウズしていた白真白を先頭に、召喚したがおーを頭に乗せた後木真央。
　雪山探検気分の龍目豪、新聞部の取材を兼ねて行く八神修、椿美咲紀、常闇月、羽生碧南もゲレンデへ。
「滑りに行くぞー！」
「真央ちゃんも滑るのだー！」
「ナイターを楽しむぜ！」
　意気込む３人を見て、修は楽しくなりそうだと微笑む。

『一日目ナイター滑走：熊が出るかも！』

　見出しはこれで決まり！　と、美咲紀は寝子高新聞の記事に掲載する夜のゲレンデを撮影している。
「気合入ってるな」
「良い写真使いたいですから。夜に滑ったことが余りないのでドッキドキです。ライトで、雪で乱反射しているので案外明るいのですね？」
「そうだな。夕光に葉や雪が光る様は実に詩的だ」
　スキー場の様子を見ながら、修は思わず一句詠む。
「……お見事な句です。八神さん、午後はいろいろと教えてくれてありがとうございました」
　ウィンタースポーツは初めてだが、体を動かすことは得意な月は高野先生や修の指導で上手に滑れるようになった。
「さあ、滑るぞ」
　講習と違い、思う存分滑れるのが気持ち良いと修は準備運動をしてから樹間コースでターンを楽しむ。
　滑っている合間に、この時期に骨折すると色々困るんだよ。テストとか……と考えていた。
　本当はあおいにチョコを渡すのにギプスは……という恋する青年的だが、知られたくない。
「……大丈夫ですか？」
　滑り終えた修の顔色がすぐれないことが気になった月が心配する。
　少し疲れただけ、と、恋する青年的思考がバレないよう誤魔化す。
「今度は皆で滑ろう」
　美咲紀と月は、修から夜滑るコツを聞き、講習での反復練習をするようにゆっくりと滑る。
「その調子だ、椿。もう少しスビード出しても大丈夫だぞ。常闇はそのままで」
　怖いからゆっくり滑りますー、とゆるゆる滑る美咲紀は、夜間にコースアウトするのが怖いのでルールを守って滑っている。
（コース外のトコを滑るのは危険すぎます、と新聞に書いておこう）
　そう思いながら、修の後に続いて滑る美咲紀だった。
　美咲紀の滑りを見ながら、月はあらかじめ周辺で熊等の自然動物の情報をロッジの人に聞いていたので、出ないかどうか気になっている。
（……出没するかもしれないので、熊避けの鈴を用意してもらって良かったです）
　3人の横を、手を振りながら猛スピードで真央が滑っていた。
「修ちゃ～ん、美咲紀ちゃ～ん、月ちゃ～ん！」
　体育科の血が騒ぐ、と真央はおもいっきり楽しんでいた。

　照明があるとはいえ暗いので、碧南は注意しながらいろいろな滑り方を試してスキーを満喫する。
「綺麗だなぁ……こんなロマンティックな光景じゃ……」
　一休みしている時、この前プレイした乙女ゲームでスキー場でのナイターで告白するシーンがあったのを思い出した。
　彼女の脳内でその時のボイスとイケメンスチルが再生された。
　その情景が脳裏にありありと浮かんできたので、もう完全にトリップしてしまっている。
『このままずっと、お前と一緒に滑っていたい』
　イケメンボイスが脳内に響くなりトリップしてしまうと、気がすむまで止まらない。
（私も、あなたとずっと滑りたいわ……）
　約30分間、イケメンと並んで滑る脳内妄想を楽しんでいたが現実に戻りゲレンデの時計を見ると……。
「残り30分しかない！」
　時間までに戻らないと、吉田熊吉先生に「バカタコがっ！」と怒鳴られてしまう。
　少ない時間で皆と一緒に滑っていた碧南は、いつかは彼みたいな素敵な人と……と思いを馳せる。

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