【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】白銀の世界へようこそ！

●温泉ハプニング

　宿泊施設のロッジには温泉があるので、スキーやスノボの疲れを癒すのにはもってこい。
　生徒の大半の興味は露天風呂。外は寒いが、温かいお湯に浸かれば大丈夫。
「わー！？　……広い」
　露天風呂を見渡す恵御納夏朝は、想像以上の広さに驚いた。
「今日一日の疲れを癒せそうね。本当に疲れた……」
「スキーで疲れた体には、温泉は本当によく効くよ！」
　野々ののこに話しかけられた仙藤紫は「そうね……」と答える。
　３年の彼女は今年でスキー合宿も最後だ。
　あまりしんみりとならないように湯に浸かりながら、ののこの滑り方とか、どこをどうすればいい、といったことを話した。
　離れたところで椎井莉鳥はいい湯だわと堪能しているが、男子が覗きに来ないかと周囲を見渡している。

　修学旅行等、宿泊を伴う校内イベントでは必ずといっていいほど覗きを目論む男子がいる。北里雅樹も例にもれず。
「北里さん、風呂桶を積み上げ、踏み台にして覗きですか？」
　檜製の風呂桶をせっせと運んでは積んでいるので、覗きをしようとするのは鳴鏡院総悟でなくてもわかる。
「覗きは駄目です。伊織さんも、そう思いますよね」
　伊織源一に覗き阻止を手伝ってもらおうと総悟が手助けを求めるが「……その通りだ」と風呂から出ず。
「おまえらストイックだな。覗きは男のロマン！　止められても俺はやる！」
　せっせと作り上げた風呂桶を踏み台によじ登り、雅樹は女湯覗きにトライ。
「北里、危ないからよせ！」
　浅井先生が止めたが、既にてっぺんに到達。覗きに成功していた。
　やった！　と喜んだのは束の間。元カノの莉鳥に見つかった。

「どうしたの？」
　無言で一方を睨みつける莉鳥が指差すほうを見たののこは、固まった表情の雅樹に気づいた。
「の、覗きー！！」
「覗きですって？」
　タオルで体を隠してから紫は風呂桶に熱湯を汲み、それを雅樹にぶっかけた。
「あちっ！！」
「……女の敵」
　間髪入れず、夏朝が投げた風呂桶が雅樹の顔面にヒット！
「雅樹はあの程度のことで死ぬタマでもないから、ほっといても大丈夫よ」
　風呂でも懲りないことをしてることに、莉鳥は呆れてしまった。
「油断ならないわね」
　こうなると思ってたけど、と紫は予想してたが、実際に起こってしまったので頭が痛くなってきた。
　男湯から盛大な音がしたので、痛い目に遭った雅樹はもう覗きができないだろう。
　覗き騒動が収まったので、女性陣は背中を流し合ったり、談笑したりと露天風呂を満喫。
「ナイターの時間ぎりぎりまで滑った後の疲れが取れるー」
　ゆっくり浸かっていた白真白だったが、あんまり長湯してるとお湯を汚しちゃうからほどほどに。

　風呂桶の下敷きになった雅樹は助けを求めるが、誰も助けてはくれず。
「……自業自得だ」
　露天風呂から上がる源一に続き「当然の報いです」と総悟も露天風呂を後にした。
　生徒のためにならないと、浅井先生も助けず。
　その数分後。騒動を知らない吉田先生が疲れを癒しに露天風呂に。
「何をしとるか」
　吉田先生に助け出された雅樹は、何故こうなったか問い詰められたので事情を話す。
「このバカタコがっ！」
　怒鳴られたのは言うまでもない。

　夏神零とナスティ・クローヴァは、ナイターを終えロッジに戻る前にある場所に向かっていた。
（露天風呂で雪見風呂も悪く無いでござる。だが、嫌な予感が……）
　ナスティに引っ張られてロッジと反対方向へ。
　どこに行くのかと思いながら連れられたところは、混浴の露天風呂。
　嫌な予感的中、と零は焦った。
「ここにも混浴があったでござるか！？」
「混浴でございます！　さあ、入りましょう！」
「ちょっと待て！　そっちに入ってしまったら拙者は生きて帰れぬよ！？」
「零さんなら、普通に入ってきても多分わからないですよ」
「見た目は女に見えるというのは反論できぬが、服を脱いだら男だとバレるでござる！」
　ある程度の抵抗はしたが、何をしても無駄そうと観念した零は覚悟を決め、混浴露天風呂へ。
「いい湯ですわね、零さん」
「結局、こうなるのでござるか……」
　２人が入っている間、誰も来なかったのは不幸中の幸い。それだけが、零にとって唯一の救いだった。